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米11月NFIB中小企業楽観度指数、5ヵ月ぶり低水準

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NFIB Optimism Index Hits Lowest In 5 Months. 米連邦準備制度理事会(FRB)の労働市場情勢指数に含まれる米11月NFIB中小企業楽観度指数は94.8となり、市場予想の96.4を下回った。前月の96.1にも届かず。42年平均の98以下の水準を維持したものの、2014年3月以来の低水準を示した6月の94.1を超える水準は確保した。 発表元である全米独立企業盟(NFIB)のウィリアム・ダンケルベルグ主席エコノミストは、雇用に着目し「事業拡大へのエネルギーは全く感じられない」とのコメントを寄せた。 NFIB中小企業楽観度指数、ISMと歩調を合わせてきました。 (出所:My Big Apple NY) 内訳をみると、12項目中プラス圏にのせた項目は前月の7項目から6項目へ減少。今回は「売上が拡大する」がマイナス圏に落ち込んだ。その他「雇用を増加させる」が横ばいで、「設備投資を拡大する」は前月以下に。一方で「賃金を引き上げる」と「販売価格の上昇」のみ、前月値を上回った。マイナス圏にある「経済がより良くなる」、「黒字トレンドにある」、「在庫満足度」はそろって悪化した。以下は、項目ごとの変化。 「求人件数」27%→前月の27%と変わらず、6ヵ月平均は27% 「設備投資を拡大する」25%→前月の26%から低下、6ヵ月平均は25%「賃金を引き上げる」20%→前月の17%から上昇、6ヵ月平均は15% 「事業拡大に良いタイミング」12%→前月の13%から低下、6ヵ月平均は11% 「雇用を増加させる」11%→前月の11%で変わらず、6ヵ月平均は11% 「販売価格の上昇」3%→前月の2%から、6ヵ月平均は3% 「在庫を拡大させる」0%→前月の0%で変わらず、6ヵ月平均は0% 「売上が拡大する」−1%→前月の4%から悪化、6ヵ月平均は4% 「経済がより良くなる」−7%→前月の−4%から悪化、6ヵ月平均は−6% 「在庫満足度」−6%→前月の−4%から悪化、6ヵ月平均は−5% 「信用状況が緩和する」−4%→前月の−5%から改善、6ヵ月平均は−5% 「黒字トレンドにある」−19%→前月の−16%から悪化、6ヵ月平均は−17% ——NFIB楽観度指数は8月後半の世界同時株安や中国発の世界景気減速懸念を乗り越え下げ渋っていましたが、遂に力尽きたのか鈍化の兆しが現れました。2008年時点で中小企業はGDPの46%を担うだけに、雇用や設備投資に影響を及ぼすリスクが点灯したと言えそうです。 (カバー写真:Internet Association/Flickr  )

米10月雇用動態調査、求人数は減少も新規採用数が増加

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Job Openings Decrease, But New Hires Hit 4-Month High. 米労働省が発表した米9月雇用動態調査(JOLTS)の件数ベースでは求人数が前月比2.7%減の538.3万人と、市場予想の550万人を大幅に下回った。前月の553.4万人以下となり、減少に反転。2000年の統計開始以来で最高を記録した7月の566.8万人が遠のいた。なお米10月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)は、改定値で29.8万人増と、年初来で最高に達していた。 求人数が減少した半面、新規採用人数は1.1%増の513.7万人と前月の微減から増加に転じた。4ヵ月ぶりの高水準となる。リセッションが開始した2007年12月時点の500万人という大台を8ヵ月連続で保った。なお6月は518.2万人と、人数自体で年初来で最高に至る。10月は離職者数が0.5%減の486.3万人となり、9月の横ばいから小幅減に転じた。ただ、少なくとも年初来で2番目に低い水準だった7月の479.6万人を上回る水準を保つ。定年や自己都合による退職者は1.9%増の277.9万人となり、5ヵ月ぶりの低水準だった前月の272.7万人から増加した。解雇者数は6.5%減の167.0万人と、2014年9月以来で最低だった7月に次ぐ低水準だった JOLTの求人率をみると、前月の3.7%から3.6%へ低下した。民間が前月の4.0%から3.9%へ緩んでいる。民間のうち製造業、小売、ヘルスケアが前月を下回った。特に専門・サービスは前月の5.7%から5.1%へ急低下。同セクターは足元で8月に5.0%から5.7%へ急伸した反動とも考えられる。一方で建設が上昇していた。政府は下方修正された前月分もあり、3ヵ月連続で2.2%だった。 就業者に対する新規採用率は、4ヵ月連続で3.6%だった。2014年12月の高水準に並んだ6月の3.7%、およびリセッションに陥った2007年12月の3.8%以下を保つ。全体は横ばいだったものの民間は前月の3.9%から4.0%へ、政府も前月1.5%(1.6%から下方修正)から1.6%へ戻した。 自発的および引退、解雇などを含めた離職率は4ヵ月連続で3.4%だった。民間は前月まで2ヵ月連続で3.8%だったものの、3.7%へ低下。もっとも政府が前月の1.4%から1.6%へ上昇、3ヵ月ぶりの高水準となり全体を押し上げた。自発的離職率は4月から6ヵ月連続で1.9%と、2008年4月以来の高水準だった3月の2.0%を下回る。2007年12月の2.1%到達が、またお預けになった。解雇率は前月の1.3%を下回り、1.2%だった。 10月までの過去1年間で、離職者数は5830万人だったところ採用人数は6100万人だった。採用者の純増幅は、270万人増となる。求人1件当たりの競争倍率は1.5倍となり、9月と変わらず。もっとも、景気後退に突入した2007年12月の1.8倍を下回る水準を維持した。 JOLTS、米雇用統計と足並みをそろえ新規採用率の上昇が顕著。 (出所:My Big Apple NY) ——以上、米10月雇用動態調査を受けたイエレン・ダッシュボードをおさらいしてみましょう。前月に続き、9項目中4項目が合格点に達していました。()内の最悪時点とは、金融危機以降での最も弱い数字を示します。 1)求人率—○ 2009年7月(最悪時点) 1.6% 2004-07年平均 3.0% 現時点 3.6% 2)解雇率—○ 2009年4月(最悪時点)2.0% 2004-07年平均 1.4% 現時点 1.2% 3)自発的離職率—× 2010年2月(最悪時点) 1.3% 2004-07年平均 2.1% 現時点 1.9% 4)採用率—× 2009年6月(最悪時点) 2.8% 2004-07年平均 3.8% 現時時点 3.6% 5)非農業部門就労者数—○ 2009年3月までの3ヵ月平均(最悪時点) 82.6万人減 2004-07年の3ヵ月平均 16.2万人増 現時点の3ヵ月平均 21.8万人増 6)失業率—○ 2009年10月(最悪時点) 10% 2004-07年平均 5.0% 現時点 5.0% 7)不完全失業率—× 2010年4月(最悪時点) 17.2% 2004-07年平均 8.8% 現時点 9.9% 8)長期失業者の割合—× 2010年4月(最悪時点) 45.3% 2004-07年平均 19.1% 現時点 25.7% 9)労働参加率—× 2014年9月(最悪時点) 62.7% [&hellip

MBA住宅ローン申請件数は上昇、卸売在庫は低下

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Mortgage Loan Applications Rebound, Wholesale Inventories Fall. MBA住宅ローン申請件数指数と、米10月卸売在庫をおさらいしていきます。 全米抵当貸付銀行協会(MBA)住宅ローン申請件数指数は、12月4日週に前週比1.2%上昇し424.1だった。3週ぶりに反発。新規が±0%の228.2と前月の大幅上昇から一転したものの、借換3.5%上昇しの1570.1と3週連ぶりに上昇した。前年比(季節調整前)は、全体で12.5%上昇し前週の20.0%から上げ幅を縮小。新規も28.6%と前週の30.2%、借換も3.4%と前週の13.1%をそれぞれ下回った。 新規は直近で好調だったものの、今回は横ばい。 (出所:Market Realist) 30年固定金利型の住宅ローン金利(平均)は4.14%と、前週の4.12%から上昇した。1年前の水準である4.11%も超え、7月以来の高水準近くを保つ。2013年5月以来の低水準を示した1月30日週の 3.79%から、上振れしたままだ。15年固定金利型(平均)は前週の3.36%から3.39%へ上昇。FHAのローン金利は3.91%となり、前週の3.89%を上回った。 申請全体に占める借換の割合は58.7%と、前週の58.6%から上昇した。2009年6月以来の低水準となった7月3日週の48.0%から切り返した水準を維持している。ただし、2013年5月以来の高水準となった1月16日週の73.9%からは、大きく遠ざかったままだ。 ▽米10月卸売在庫、耐久財と非耐久財そろって減少 米10月卸売在庫は前月比0.1%減と、市場予想の0.2%増に反して弱い結果を迎えた。前月の0.2%増(0.5%増から下方修正)にも届かず、2013年5月以来の減少を示した7月に次ぐマイナスとなる。 内訳をみると、耐久財が0.1%減と前月の0.6%減と合わせ2ヵ月連続で減少した。耐久財のうちコンピューターが0.7%減と2ヵ月連続で減少したほか、自動車は0.5%減と直近で久々に減少に転じた。機械は前月に1.3%減だった後、±0%にとどまる。原油安を背景に非耐久財も0.1%減と3ヵ月ぶりに減少した薬品が1.5%増と2ヵ月連続で増加したものの、食品が2ヵ月連続で0.9%減だった。原油関連を除く卸売在庫は、ヘッドラインと変わらず0.1%減となる。 卸売売上高は±0%となり、前月の0.5%増から転じた。在庫と売上高とも芳しくなく、在庫相当は3ヵ月連続で.31ヵ月。前年同月の1.20ヵ月を超える水準を維持している。 ——住宅ローン申請件数指数はFedの利上げ開始が視野に入るなか、今回は出遅れ気味だった借換が全体を押し上げました。新規が後退したのは前週の反動に加え、金利上昇が挙げられます。あるいは、申請はできても承認されないケースを見極めたのか。米7−9月期家計債務でも、自動車ローンと住宅ローンには信用スコアに大きな差が確認できましたよね。 米卸売在庫をめぐっては、10月分の在庫が予想外に減少しただけでなく9月分が下方修正されたため、バークレイズのジェシー・ヒューウィッツ米エコノミストは「米7−9月期国内総生産(GDP)確報値は改定値の2.1%増から1.9%経下方修正される」と予想。米10−12月期GDPも「1.9%増から1.7%増」ヘ引き下げました。在庫投資が成長に寄与する期待は、はく落しつつあります。 (カバー写真:Wally Gobetz/Flickr)

米新規失業保険申請件数は増加、米11月輸入物価は低下

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Jobless Claims Hit 5-Month High, Import Prices Fall Less Than Expected. 米新規失業保険申請件数は12月5日週に28.2万件と、市場予想の27.0万人を上回った。前週の26.9万件から増加し、8月29日週以来の28万件乗せに。1973年11月24日以来の低水準に並んだ10月24日週の25.6万件から遠ざかった。米労働省は今回、特殊要因を挙げていない。4週平均は27万750件と前週から増加し、1973年12月以来の低水準に至った3週前の25万9250件を上回った水準を保つ。 11月28日週までの継続受給者数は224.3万件となり、前週の216.1万人を超えた、2000年11月以来の低水準を記録した10月24日週の214.6万件(修正値)を超える水準を継続している。被保険者に占める失業者の割合は1.7%となり、11週ぶりに1971年以来の最低から0.1%ポイント上昇した。 遂に低下トレンドにブレーキが掛かるのか。 (出所:My Big Apple NY) 州別で増加が目立ったのはウィスコンシン州で4677人増、オハイオ州で2212人増と中西部の州が目立つ。他にケンタッキー州で1953人増、カンザス州で638人増、アーカンソー州で612人増だった。一方で減少した州は前週に大幅増だったカリフォルニア州で2万308人減だったほか、ニューヨーク州も3042人減、フロリダ州も2898人減、オレゴン州も2432人減だった。 ▽米11月輸入物価、5ヵ月連続で低下も予想ほど悪化せず 米11月輸入物価指数は前月比0.4%低下し、市場予想の0.8%より下げ幅を狭めた。前月のマイナス0.3%(0.1%から下方修正)と合わせ、6ヵ月連続で低下している。前年比は9.4%低下し、10月に続き2009年9月から2番目の下げ幅を示した9月の11.3%(10.7%から下方修正)ほど下振れしていない。 前月比での内訳をみると、原油先物の下落再燃を背景にエネルギーが2.5%低下し、前月の0.4%の上昇から転じた。石油を除いた場合はドル高を一因に0.3%低下し、マイナス基調を維持している。ドル高の余波から産業財が1.5%低下し、5ヵ月連続で落ち込んだ。自動車・部品は0.1%低下し、4ヵ月連続でマイナス。資本財も0.1%低下し、16ヵ月連続のマイナスをたどる。食品・飲料は0.5%低下し、前月の1.1%と合わせ3ヵ月連続で沈んだ。一方で、消費財は前月に続き±0%だった。 ——米11月チャレンジャー人員削減予定件数、米11月ADP全国雇用者数、米11月雇用統計はそろって労働市場の健全ぶりを示したものの、今回の米新規失業保険申請件数は芳しくありません。輸入物価も引き続きドル高と原油をはじめとした商品価格の下落を反映し、市場予想ほど悪化しなかったとはいえ弱含み中。消費者物価指数はコアがしっかりしていましたが、輸入物価の押し下げ圧力と無縁でいられるのでしょうか。 (カバー写真: COD Newsroom/Flickr)

米11月小売売上高、ホリデー商戦を追い風に息を吹き返す

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Holiday Spirit Cheers Retail Sales, PPI Rise More Than Expected. 米11月小売売上高は前月比0.2%増となり、市場予想の0.3%増を下回った。前月の0.1%増は超えている。米11月新車販売台数が快進撃をたどったものの、中古車や部品などの値下げ効果からか自動車を除いた場合は0.4%増と市場予想の0.3%増から加速。前月の0.1%増(0.2%増から下方修正)も上回った。国内総生産(GDP)に反映されるコア小売売上高(食品、自動車、燃料、建築材を除く)は0.6%増。ホリデー商戦開幕に伴い、力強い伸びを達成した。 内訳をみると、主要13カテゴリー中9項目増加。前月分の速報値である6項目から増加した。ホリデー商戦が火蓋を切ったせいか服飾、一般小売、雑貨などが上位に入っている。 (プラス項目) ・服飾→0.8%増、前月は0.5%減 ・スポーツ衣料→0.8%増、前月は0.1%増 ・一般小売→0.7%増、前月は0.1%減(*百貨店は±0%、前月は0.1%増) ・雑貨類→0.7%増、前月は0.3%減 ・食品・飲料→0.7%増、前月は0.2%減 ・健康→0.7%増、前月の0.2%減 ・外食→0.7%増、前月は0.3%増 ・オンラインを含む非店舗→0.6%増、前月は1.4%増 ・電気製品→0.6%増、前月は0.1%減 (マイナス項目) ・ガソリンスタンド→0.8%減、前月は1.0%減 ・自動車→0.4%減、前月は0.3%減 ・家具→0.3%減、前月は0.9%増 ・建築材→0.3%減、前月は0.9%増 全体的に好調ながら、前年比の小売売上高は1.4%増と2009年11月以来の小幅な伸びに。 (出所:Census Bureau) JPモルガンのダニエル・シルバー米エコノミストは、結果を受け「9月分のコア小売売上高が0.1%増から±0%へ下方修正されたため、米7−9月期GDP確報値の予想を従来の1.8%増から1.7%増へ引き下げる」とした。11月分に対しても、慎重な見方を維持し「10−12月期の消費見通しは前期比年率2.3%増、GDPも2.0%増とする当方の予想を下回るリスクがあると見込む」と結んだ。 ▽米11月生産者物価指数、予想外に加速 米11月生産者物価指数(PPI)は前月比0.3%上昇し、市場予想の±0%より強い結果を示した。前月の0.4%の低下から反転。4ヵ月ぶりにプラス圏を回復している。コアPPIも0.3%上昇し市場予想の0.1%を上回っただけでなく、前月の0.3%の低下から反発した。PPIは前年同月比では1.1%低下し、過去最低を迎えた前月の1.6%の低下から下げ幅を縮めている。ただ、11ヵ月連続でマイナスをたどった。コアPPIは0.5%上昇し、前月の0.1%から加速した。 内訳をみると、全体の6割を超えるサービスが0.5%上昇し、3ヵ月ぶりにプラス圏を回復した。サービスのうち3割を占める貿易も1.2%上昇し、前月の0.7%の低下をはじめ3ヵ月ぶりに反発。サービスのうち6割を占めるその他サービスも0.1%上昇し、こちらも3ヵ月ぶりにプラス圏へ切り返した。1割弱を占める輸送・倉庫も0.3%上昇し、2ヵ月連続で堅調。食品は前月まで2ヵ月連続で0.8%低下した後、0.3%上昇した。モノは0.1%低下し、前月の0.4%から下げ幅を縮小しつつ5ヵ月連続でマイナス圏へ沈んだ。エネルギーは前月こそ横ばいだったが、今回は0.6%低下した。 BNPパリバのブリックリン・ドワイヤー米エコノミストは、結果を受け「過去2ヵ月に下振れした後であるほかPPIの変動は直近激しく、今回の上振れを基調の変化とは捉えていない」と指摘した。 ——米11月小売売上高は安堵する数字が飛び出した半面、前年比でみると実は2009年11月以来の低水準なんですよね。トレンドとして伸びが縮小している点も気掛かりで、12月はホリデー商戦を背景とした個人消費の底力が試されます。 米11月PPIは米11月輸入物価に反し予想外の強さを見せつけたものの、発表元の米労働統計局はサービスの60%が服飾、靴類、アクセサリーで6.2%上昇した分を反映していると説明していました。値下げ合戦を続ける分野で、今後も上昇を続けるかは疑問が残ります。 (カバー写真:Gene Han/Flickr)

米12月ミシガン大信頼感は小幅上昇も、詳細はイマイチ

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Michigan Consumer Confidence Ticks Higher With Soft Details. 米12月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値と、米10月企業在庫をおさらいしていきましょう。 米12月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値は91.8となり、市場予想の92.0を下回った。前月の91.3からは、小幅に上昇。内訳をみると現況指数が107.0と前月の104.3を超えた半面、見通し指数は82.0と前月の82.9に届かなかった。 原油先物が2009年以来の安値で推移するなか、インフレ見通しは1年先につき2.6%と前月の2.7%を下回った。5−10年先は2ヵ月連続で2.6%となり、2002年9月以来の低水準だった速報値の2.5%を超える水準を保つ。 ミシガン大学のエコノミスト、リチャード・カーティン氏は、前月とほぼ変わらなかったとしつつ「所得層別でみると下位3分の2のセンチメントが2.7%上向いた一方、上位3位は4.4%低下した」と指摘する。購入見通しは住宅をはじめ下振れしておらず、利上げ開始や原油安、世界景気の減速も重なり高所得者層の間で「1年先の経済見通しが悲観寄りへシフトした」ことが低下につながったと示唆。ただ指数自体は年初来平均が92.9と2004年以来の高水準であり、2016年の個人消費見通しを「2.8%増」で据え置いた。 ・1年先の家計見通し指数 124>前月は122 向上する 33<前月は34 変わらず 57>前月は52 悪化する 9<前月は12 ・所得と物価の伸び率に対する1−2年先の家計指数 78<前月は79、3ヵ月ぶり高水準 所得の伸びが物価を上回る 20、3ヵ月ぶり低水準<前月は21 所得の伸び率と物価が同じ 36、3ヵ月ぶり高水準=前月は36 所得の伸びが物価を下回る 42、3ヵ月ぶり低水準=前月は42 ・1年先のビジネス見通し指数 103、4ヵ月ぶり高水準>前月は102 向上する 21>前月は20、直近で最低 変わらず 58<前月は59、直近で最高 悪化する 18、6ヵ月ぶり低水準=前月は18 ・1年先の失業率見通し指数 92<前月は101、5ヵ月ぶり高水準 低下する 18、直近で最低<前月は22 変わらず 54<前月は55、直近で最高 上昇する 26>前月は21、5ヵ月ぶり低水準 ・1年先の金利見通し指数 36、直近で最低<前月は45(低下を見込む場合に指数は上昇) 低下する 4、直近で最低<前月は5 変わらず 27、直近で最低<前月は34 上昇する 68、直近で最高>前月は60 ・自動車購入指数 138<前月は147、直近で最高 買い時 67<前月は70、4ヵ月ぶり高水準 分からない 4<前月は7 買い時ではない 29>前月は23、直近で最低 ・住宅購入指数 160、直近で最高>前月は158 買い時 79、4ヵ月ぶり高水準=前月は78 分からない 2=前月は2 買い時ではない 19、直近で最低<前月は20 ——米12月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値は、以下の興味深い点が浮き彫りとなりました。 1)1年先の所得見通し、ビジネス見通しは楽観寄り 2)1年先の失業率見通し、金利見通しは慎重 3)自動車購入意欲は低下、住宅は上昇 何だか矛盾していますが、高所得者と低所得者との間における意識の違いが現れた可能性を示します。足元で大型買収を背景とした企業再編が進み、金融機関でも人員削減のニュースが飛び込んできました。相反する結果は、高所得とされる職業でのリストラが進む懸念を反映している余地を残します。住宅購入見通しが強含んだのは、まさに利上げ開始を控えた駆け込み需要を彷彿とさせ、MBA住宅ローン申請件数指数とほぼ整合的。自動車への購入意識が変わってきたのは、ローン審査基準が利上げ前に厳格化してきた可能性をちらつかせます。シニア融資担当者調査でも、一部の家計ローンで厳格化されたとの報告が出ていましたよね。 ▽米10月企業在庫、予想以下の流れは変わらず 米10月企業在庫は前月比±0%となり、市場予想の0.1%増を下回った。前月の0.1%増(0.3%増から下方修正)にも届かず、増加を2ヵ月で止めている。そのうち、国内総生産(GDP)に反映される自動車を除く小売在庫は0.4%増と、前月の0.5%増からわずかながら鈍化していた。 ——企業在庫の結果をみると、やはり在庫投資が成長を支える気配は感じられません。企業収益自体、7−9月期に2009年以来の減少率とあって設備投資が上振れする可能性も小さい。個人消費だけでどこまで成長をけん引できるのか、利上げ開始前に何だか心もとないですね。 (カバー写真:frankieleon/Flickr)

バロンズ誌:商品先物とジャンク債、忍び寄る危機

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Barron’s : Present And Clear Danger In Commodities And Junk Bonds. 今週のバロンズ誌、特集は2016年の米株見通しです。ストラテジストの予想中央値は2220で、足元から約10%の上昇を見込んでいました。業績が徐々に改善する過程で、利上げ局面を迎え金融セクターとIT関連がリードすると予想。その根拠は、本誌をご覧下さい。 当サイトが注目する名物コラムのアップ・アンド・ダウン・ウォールストリート、テーマは商品価格の下落とジャンク債です。以下は、コラムの抄訳となります。 原油先物をはじめ商品価格が下方向を探るなか、ジャンク債も売りを浴びる状況。投資信託で顕著に現れ、サード・アベニュー・フォーカスト・クレジット(TFCVX)は秩序だった生産を目指し顧客による換金を停止することで、投げ売りを回避するという未曾有の事態に陥った。おかげでジャンク債級の上場投資信託(ETF)は、年初来安値を更新する有様だ。 それでも、米連邦公開市場委員会(FOMC)は約10年ぶりとなる利上げに踏み切るのだろうか? 新年を控えた差し迫った動きなのか、あるいは遂に観念したのか、エネルギー関連企業や素材関連は配当引き下げをはじめ設備投資の縮小、人員削減を発表し始めている。例えば石油・天然ガス輸送大手キンダー・モルガン(KMI)は配当の75%引き下げに踏み切る。資源大手アングロ・アメリカン(AAL)は再編策として、鉱山資源の60%を売却するとともに、8万5000人のリストラを表明した。格付け会社フィッチは同社の格付けをジャンク債のひとつ上に設定、再編策は現金資産の急減を招くとしている。 資源大手グレンコア(GLNCY)も9日、2016年末までに純債務を180億〜190億ドルへ縮小させるとし、9月時点の200億ドルから加速させる方針を打ち出した。2016年の設備投資も従来見通しの50億ドルから38億ドルへ削減するという。銅生産・資源大手フリーポート・マクモラン(FCX)もロンドン金属取引所(LME)で銅価格が2009年以来の水準へ下落するなか、手元資金を確保するため配当停止に加え銅生産の削減、長期的な設備投資見通しなどを削減させた。 グレンコア 、破綻リスクが取り沙汰された9月後半の安値は回避。 (出所:Stockcharts) 一方で、化学大手のダウ・ケミカル(DOW)とデュポン(DD)は対等合併で合意。ギミー・クレジットのキャロル・レベンソン氏が呼ぶところの「化学界のブランジェリーナ」は、コスト削減効果を生み出すはずだが、レベンソン氏は投資銀行の手数料負担を発生しかねない。ダウデュポンと名乗る予定の新会社誕生の煽りで農業、素材化学、特殊製品の上場企業3社に分割する見通しながら、反トラスト法違反に引っ掛かる懸念が横たわる。また、デュポンによるケマーズのスピンオフ(分離・独立)は5億ドル計上する見通しだ。両社あ保有する176億ドルもの債務をいかに3社で分割するかも、定かではない。 石油メジャーのシェブロン(CVX)とコノコフィリップス(COP)は、配当額維持を目指しドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁が言う「あらゆる手段を講じる(do whatever it takes)」を実行中だ。シェブロンのジョン・ワトソン最高経営責任者(CEO)は配当額の堅持こそ「最優先事項」と掲げるように、そのためにはリストラのほか設備投資の削減、自社株買いの縮小、資産売却、債務拡大など方策を選ばないだろう。 コノコフィリップスは2016年の設備投資を77億ドル前後とし2015年の想定水準から25%削減、営業費用も今年の水準から6%縮小の77億ドルを見込み10億ドルの節減を目指す方針を示した。つまり、配当維持が最優先であることを意味する。 1930年代、新古典派の経済学者であるアーヴィング・フィッシャー氏は債務デフレのジレンマを説いた。いわゆるデフレ・スパイラルの父である同氏は、価格下落に伴い売上と利益が減少する一方、債務の元本と金利は縮小せず実際の負担が増大すると論じている。消費者にとって価格の下落はプラスである一方、企業にとってはマイナスというわけだ。 フィッチは投機的格級の企業における債務不履行率は向こう1年で4.5%とし、足元の3.3%から上昇を見込む。特にエネルギ—関連企業の間では、1999年時点の9.7%を超え11%に跳ね上がる見通しだ。石油生産州テキサスを管轄するダラス連銀のアドバイザーを務めた経歴を持つリシオ・レポートのダニエル・ディマルティノ・ブース氏は、エネルギー関連の状況は一段と悪化すると予想。コンサルティング会社マネー・ストロングの創立者でもあるブース氏は、テキサス州の石油生産業者のうち2割が80ドル台と足元の原油先物価格の2倍の水準でヘッジしていると指摘する。しかし数ヵ月後にヘッジ分は外れ業績を悪化させ、原油価格そのものの一段安を招きうる。 サード・アベニューの換金停止はジャンク債セクターに衝撃を与え、その他のファンドからの前倒し償還を促した。米調査会社EPFRによると前週、投資家はジャンク債ETFから38億ドルも資金を流出させていたという。サード・アベニューの資産は前週だけで7億8900万ドルへ減少、2014年半ばにピークを迎えた35億ドルとは隔世の感がある。バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの米国ハイイールド債指数の利回りは5.75%から8%超に達した。 ジャンク債という領域で、清算という名の発作は不可欠なものだ。インサイダー取引が引き金となって1990年にドレクセル・バーナム・ランベールを倒産に導いたマイク・ミルケン氏に始まり、2008年の金融危機でも同様の事態に見舞われた。現代と過去との違いはジャンク関連ETFの誕生で、iシェアーズ iBoxx 米ドル建てハイイールド社債 ETF(HYG)とSPDRバークレイズ・ハイ・イールド(JNK)はそろって異例な出来高とともに2%下落した。 ダウは11日に300ドル以上も急落し、リスク・ポジションの巻き戻しが示されている。米国債のショート、リスク資産をロングにしていたヘッジファンドは遂に屈服しつつあるようで米国債は値上がりした。 ダウ、11月の高値を抜けなかった後で失速。 (出所:Stockcharts) FOMCが仮に利上げを見送れば、市場の混乱はさらに激しくなるだろう。マーケットが「我々が知らない何かを知っているに違いない」と判断するためだ。FF先物では11日の段階で利上げ織り込み度は72%だった。9日の78.5%を下回るものの、利上げを予想する向きが大勢を占める。 ストリートワイズは、Fedの利上げ開始でドルは下落に転じると大胆に予想する。NBAのシーズンが開始し、前年の覇者ゴールデン・ステート・ウォリアーズは23戦連勝の新記録を打ち出した。誰もがウォリアーズの敗北を予想しないように、市場関係者は誰もがドル高継続を見込む。しかし、ドル安に転じる時期は意外に早くやって来るかもしれない。 Fedが資産買い入れの縮小を決めた2013年以降、金融政策と市場の動きは乖離しておりドルは20%上昇した。ファンドトラストのストラジテスト、トーマス・リー氏は、1971年以降にFedが引き締めサイクルに入った11回において、欧州中央銀行(ECB)あるいは独連銀が緩和策を実行していたのは5回。金融政策の乖離は、中央値で17ヵ月に及んでいた。つまり、Fedと欧州の中央銀行との間で政策のダイバージェンスが発生するのは、珍しくない。しかもリー氏によると、利上げ開始から6ヵ月間でドルは中央値で6.6%下落してきたという。Fedが利上げした後、ドル安に傾いてもおかしくはない。 ——商品先物の下落が第二のリーマン・ショックをもたらすとの懸念を誘発し、米株をはじめリスク資産が急落中です。アップ・アンド・ダウン・ウォールストリートは悲観寄りなだけに慎重な見方へ傾いていますが、一方で米株市場のリスク資産であるウェラブル端末大手ゴープロは2%もの逆行高で引け、エネルギー関連の輸送需要低下が見込まれる鉄道関連のCSXやノーフォーク・サザンはS&P500の上昇銘柄トップ10にランクインしていました。おまけに商品先物が2009年以来の安値を続々とつけるなか、前週に追加利下げを実施したNZドルのほか豪ドルなど資源通貨が買われています。投機的格級に引き下げられたブラジルでさえレアル安にブレーキが掛かり始め、株式指数ボベスパですら11日は0.8%安にとどまっていました。 確かにエネルギー関連企業のデフォルト増加リスクは根強く根拠のない楽観は禁物でしょうが、足元の相場急落はクリスマス・ラリーを狙い売り大手投資家が売り仕掛けしてきた可能性も微かに残る。古くは1815年のワーテルローの戦いで、英国勝利のニュースを事前に掴んでいたネイサン・ロスチャイルドが英公債に大量の売り仕掛けを駆使した後で買い戻し、莫大な利益を上げた例がありますよね。 (カバー写真:Heating Oil/Flickr)

12月FOMC、エコノミストはこう読む

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December FOMC Preview : Waiting For Lift-Off. 泣いても笑っても、15〜16日のは米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されます。運命の瞬間が迫る前に、エコノミストの予想をチェックしていきましょう。 ▽モルガン・スタンレー、エレン・ゼントナー米主席エコノミスト ・FOMCでは利上げに踏み切り、超過準備預金金利(IOER)を0.25%から0.50%へ引き上げると同時にリバース・レポ取引の金利を0.05%から0.25%へ引き上げ、FF金利誘導目標を0.25~0.5%に設定するだろう。利上げ開始後、1−3月期の据え置きを経て6月、9月、12月に追加利上げを行う見通し。2016年のFF金利誘導目標は、1.125%を見込む。 ・長く緩やかな利上げというメッセージを送るため、経済・金利見通しを下方修正させる。2016年の中央値は9月の1.375%から1.125%、2017年は9月の2.625%から2.125%、2018年は3.375%から3.125%、長期予想は3.50%から3.25%へ引き下げるだろう。 ・声明文では、インフレをめぐりドル高による輸入物価押し下げ効果を明示してくるだろう。労働市場と経済をめぐる見通しへのリスクは引き続き「概して均衡」としつつ、「世界経済と金融市場の動向を注視する」との文言は外してくるのではないか。政策見通しおよびガイダンスの段落では、「労働市場の改善とインフレが目標値である2%へ切り返すという確信」がある限り、適切とのスタンスを打ち出すと見込む。足元でインフレが下振れしているため、さらに「適切な政策の道筋を決定する上で、インフレ動向を注視する」との文言を挟み込む公算が大きい。 ・リバース・オペ・ファシリティは現在、翌日物で3000億ドル、ターム物(満期までの期間が数日にわたる証券)で3000億ドルとなり、合計で最大6000億ドルの預け入れが可能だ。FOMC議事録によると、参加者は引き上げに不快感を表している。リスク・オフ相場局面で投資家がリバース・オペに殺到し別の投資ツールから資金を吸収するリスクがあるためだ。またマネー・マーケット市場でFedの存在感を強めたくはないだろう。IOERを上限に、リバース・レポでの金利を下限にしてFF金利を引き上げていきたいFedは、利上げに際し一時的に上限引き上げあるいは撤廃する方針を声明文とは別の形で発表する可能性がある。あるいは、据え置いたとしても徐々に引き上げていく可能性を点灯させるのではないか。 ・超過準備預金への付利は2週間の平均金利と平均準備残高に基づいてきたが、6月FOMCでRegulation D(準備預金制度に関する規則)を一部変更し日次計算へシフトすることが決まった。IOERを0.25%から0.50%へ引き上げた場合、以前なら0.375%だったところ、新規則では引き上げ前が0.25%、引き上げ後は0.5%となり、特に問題は生じない見通しだ。 ・利上げに合わせ、公定歩合も引き上げるだろう(11月24日公表の公定議事録でも12地区連銀中で9連銀が引き上げを提案し、8月下旬の5地区連銀から増加)。2010年に金融市場が安定してきた段階で公定歩合を0.50%から0.75%へ引き上げた前例がある上、仮に引き上げたとしてもFF金利とのスプレッドは0.625%とヒストリカルでみて非常に低い水準にとどまる。公定歩合も25bp引き上げ1.0%に設定し、今後も徐々にスプレッドを広げていくだろう。ただ公定歩合は地区連銀が決定しFOMCによる決定の副産物という点は、留意しておきたい。 ▽バークレイズのマイケル・ゲイピン米主席エコノミスト ・Fedは12月の利上げ開始後、2016年に3回、75bp引き上げる見通しだ。米11月NFIB中小企業楽観度指数のうち賃金引き上げ見通しが9年ぶり高水準だった上、特殊技能職不足を指摘するなど労働市場のひっ迫を確認した。米10月雇用動態調査(JOLTS)でも、求人数は過去最高に近い水準を保つ。家計部門は健全で、米11月新車販売台数は景気後退以前の高水準を維持し、米11月小売売上高は伸び悩みんだとはいえ値下がりが主因だった。 ・ドットチャート(金利見通し)では、2016年末までに100bpの利上げを織り込んだ数値に下方修正されるだろう。2018年は、50bpにとどまるのではないか。長期金利見通しも、従来から25bpの引き下げを予想する。 ・インフレは米11月輸入物価が前年比で3.4%低下したようにドル高、さらに原油安を反映して鈍い動きを示す。インフレ見通しを下方修正するだろうが、Fedは原油安といった要因を挙げ中期的な水準へ切り返すとの確信を持って利上げしてくるに違いない。 S&P500は、11日までに3営業日連続で年初来リターンはマイナス。 (出所:Stockcharts) ▽Fed、利上げ後のゼロ金利回帰を懸念=WSJ 米国における直近の景気拡大は78ヵ月に及び、1854年以降で33回経験した景気拡大のうち29回を超えた。しかしながら、ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙は、Fed番のジョン・ヒルゼンラス記者の署名記事にてゼロ金利へ回帰する可能性を伝えている。 米連邦公開市場委員会(FOMC)は16日、2006年以来の利上げを決定する見通しながらWSJ紙のエコノミスト調査では65人中、過半数が5年以内のゼロ金利への回帰を予想していた。そのうち10名は、欧州中央銀行(ECB)が歩むマイナス金利の道へ向かうと見込む。FF金利先物市場も2016年末の金利予想は0.76%にとどまり、FOMCの9月時点の予想値1.375%を大きく下回る。 Fedの間でも1)金融危機の余波、2)高齢化、3)労働生産性の伸び鈍化――を受け均衡実質金利が下振れしているとの説が浮上。つまり利上げ開始後もヒストリカルに見て低金利が続くため、景気減速の局面での利下げ余地が限られてくるというわけだ。例えば2007年9月から2008年12月までは5.25%ポイント引き下げ、2001年1月から2003年6月には5.5%ポイント引き下げてきた。1990年7月から1992年9月の利上げサイクルも、上昇幅は5%ポイントに及んだ。しかし金利水準が比較的低い現状では、不測の事態が発生した場合はゼロ金利へ押し戻されかねない。インフレが3年以上にわたって目標値である2%に届かない可能性があるほか、ジャンク債や商業不動産のバブルが崩壊する懸念が横たわるだけに、Fedはゼロ金利への回帰を懸念していることだろう。非伝統的な政策からの解除は、すなわち来た道へ引き返す可能性を示唆していそうだ。 ——ヒルゼンラス記者の指摘は、すでに10月FOMC議事録で明記されていたのでサプライズではありませんね。むしろ、議事録を振り返るとFedはゼロ近辺金利への回帰を恐れているというより想定済みな気が。フィッシャーFRB副議長がイスラエル中銀総裁時代に機動的に利下げ・利上げに踏み切っていた過去を振り返ると、中央銀行家のプライドより経済への影響を重視して舵取りするのではないでしょうか。 (カバー写真:Josh/Flickr)

JPモルガン版:エマージング市場の投資テーマ10

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JP Morgan’s 10 Emerging Market Investment Themes For 2016. 年の瀬が迫り、忘年会シーズンで忙しい頃でしょうか。美酒に酔いしれ、仲間との語らいで和む間に投資に関するお話が飛び出したら、こんなネタで盛り上がってはいかが?題して「JPモルガン版:エマージング市場の投資テーマ10」。ゴールドマン・サックスの米株見通しとともに、お楽しみ下さい。 ▽JPモルガンが選ぶ、エマージング市場の投資テーマ10 ブラジルでルーセフ大統領が弾劾裁判に直面し、南アフリカでは歳出削減を推進してきたネネ財務相を更迭後するなど、エマージング市場では次々にニュースが飛び込んでくる状況です。エマージング市場の嵐が吹きすさぶなか、JPモルガンは2016年に向け10の投資テーマをリストアップしていました。CNBCが伝えた気になる内容は、以下をご笑覧下さい。 1)債券のリターン5%以下は継続 米国の利上げ開始、ドル高、商品先物の下落など、エマージング市場は2016年も向かい風にさらされる見通し。エマージング国の国債および社債利回りにつき、JPモルガンは1ー3%での推移を予想、現地通貨建てのリターン見通しは3.7%程度にとどめている。 2)低成長のトンネルは続く JPモルガンは、2016年のエマージング国成長率予想につき3.7%増と掲げる。2015年の3.4%を上回る見通しながら、低成長は継続へ。商品先物の下落と資本流出が外貨準備高を押し下げるといった暗いニュースが重なるなか、一筋の希望の光として経常黒字はGDP比1.4%となる見通しだ。 3)地域ごとのダイバージェンスは存続 エマージング諸国の資産クラスにおけるリターンは、2016年も地域ごと分かれそうだ。例えばJPモルガンはアジアのエマージング諸国の成長率につき5.8%を予想するものの、2001年以来の低水準となる見通し。欧州・中東・アフリカにおけるエマージング諸国の成長率は2.0%にと、今年の2倍となる公算だ。景気後退に喘ぐブラジルとベネズエラに引きずられ、南米は2015年と比較すれば景気後退に直面するだろう。 4)中国の景気は一段と減速 中国が製造業への依存度を弱めサービスへシフトさせる成長リバランス政策を推進する過程で、JPモルガンは2016年の成長率につき7-9月期の6.9%から6.6%付近への鈍化を見込む。中国の商品先物需要が低下し、エマージング諸国にはダブルパンチとなるだろう。 5)エマージング諸国の一部では、引き締め策が必要に 商品価格が安定すればアジア諸国では通貨安と輸入物価上昇を受け、インフレが上昇しうる。JPモルガンはEMEAとロシアでインフレが1桁へ鈍化するとにらんでおり、南米では成長が物価上昇圧力を抑え込む公算。JPモルガンが2016年に利上げを見込む国は南米の場合メキシコをはじめペルー、チリ、コロンビアを挙げ、アジアでは香港、EMEAではトルコと南アを並べている。一方で利下げはアジア諸国の場合タイとフィリピン、EMEAでハンガリーとポーランド、高金利からの正常化という意味ではロシアも利下げへ舵を切ると予想した。 6)エマージング国発の債務危機発生リスクは小さい エマージング国全体の政府債務は2015年時点でGDP比48.4%、家計債務も29.5%に過ぎない。JPモルガンは今後も政府債務の伸びが緩やかにとどまるとし、債務危機が発生するリスクは限定的とにらむ。もっとも社債の発行増が不安の種であり、非金融機関の社債は2015年時点でGDP比76.2%だったという。 7)エマージング諸国の債券ファンド、資金流入が期待できず マネ―・マネージャーが2015年に記録的な資金流出を確認するように、JPモルガンは2016年も流入は見込みづらいと判断する。個人投資家の資金流出に歯止めが掛かってきたものの、機関投資家が2015年7-9月期に自国通貨建てのファンドから大規模な資金流出に踏み切ったような戦略的な動きが継続しうる。 8)下半期に、投資チャンス到来 エマージング諸国の資産クラスは、2016年もボラティリティに悩まされるだろう。特に上半期は米国の利上げ開始に伴うドル高の余波から、債券市場は荒れ模様となりうる。ただJPモルガンはドル高が後退していくとともに、エマージング諸国の債券に投資機会が浮上してくる見通しだ。 9)エマージング国の外貨建て債スプレッドが拡大 2015年にエマージング国で混乱が生じたものの、外貨建て債務は2015年に米株やジャンク債、国債含むその他資産より高パフォーマンスを達成した。2016年になると、投資家はエマージング国の債券保有にあたり低成長をはじめ債務増加、債務不履行リスクを踏まえ高いリスク・プレミアムを求めるだろう。JPモルガンは、エマージング国のハイイールド社債におけるデフォルト発生率を2016年につき3.5%と予想。今年の最低だった2.9%から上昇する見通しだ。米国債とエマージング国債のスプレッドは40bp拡大の425bp、エマージング国の社債も40bp近く広がり450bpを見込む。 10)アジアをアンダーウェイト、EMEをロング 自国通貨建て債券をめぐり、JPモルガンは欧州中央銀行(ECB)による量的緩和(QE)の増額あるいは買入対象の拡大期待を背景に東欧の債券が上昇する可能性をにらみ、EMEAを「オーバーウェイト」に据える。南米は「中立」だったところ、アジアは「アンダーウェイト」を推奨。社債となれば話は変わり、JPモルガンはEMEAや南米よりアジアを選好した。 アジア諸国をはじめ、経済はどこまで立ち直れるのか。 (出所:Joao Santos/Flickr) ▽GS、2016年米株見通しは慎重 ゴールドマン・サックスは、2016年に米連邦公開市場委員会(FOMC)が4回、四半期ごとに利上げを行うと予想しています。バークレイズ(2016年3月、9月、12月)やモルガン・スタンレー(2016年6月、9月、12月)をはじめとした市場のコンセンサスである3回とは、一線を画しているんですよね。 明るい見通しに立脚しているかと思いきや、GSの2016年米株予想には悲観的なムードが立ち込めています。フォーチュン誌が伝えた気になる内容は、以下の通りです。 ・S&P500 →2016年は2100を予想。足元からわずか4%高とあって、バロンズ誌の予想を120pも下回る。配当を含めたリターンは3%と、2015年11月後半時点での1.5%を上回る見通しだ。 ・株価収益率、利益 →利上げ開始から6ヵ月間で、株価収益率(PER)は10%低下する公算。利益マージンは過去2年間わたりほぼ横ばいだったが、その流れは比較的好調だったITセクターにも波及すると予想する。S&P500構成銘柄の1株当たり利益自体は前年比10%の上昇を見込むものの、自社株買いなど業績改善以外の効果を反映したものになる。 GSは慎重な見通しを示すものの、フォーチュン誌は米株の下値余地は狭いと指摘する。米株が最後に2年連続で芳しくないリターンに終わったのは2001~02年で、1928年以降で過去2年間に5%以下のパフォーマンスにとどまったケースは5回しかない。しかもほとんどが景気後退期にあたり、GSは2016年のリセッションを予想しておらず、失望的なリターンに終わるリスクは低いというわけだ。米株をはじめ足元で相場は大荒れの状況だが、終わってみれば意外にレンジ内の推移となりうる? (カバー写真:Eduardo Amorim/Flickr)

米7−9月家計資産、株式資産が吹き飛び約4年ぶりに減少

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Q3 Household Wealth Fell for First Time in 4 Years. 米連邦準備制度理事会(FRB)は10日、7−9月期家計資産報告(旧・資金循環報告)を発表した。資料によると、家計・非営利団体の純資産は85兆1820億ドルだった。4−6月期の86兆4130億ドル(修正値)を1.4%下回り、減少は約4年ぶり。過去最高の更新を3期で止めている。。 家計資産のうち、特に金融資産(貯蓄、株式、投資信託、債券、年金、保険などを含む)は前期比1兆6817億ドル減の68兆9246億ドルだった。特に、株式が市場価値ベースで2.3兆ドル落ち込み22兆4718億ドルと下押し。投資信託も、359億ドル減の4兆4694億ドルだった。S&P500は7−9月期に人民元の切り下げを背景に中国発の景気減速懸念が市場を覆い、6.9%下落していた。 S&P500、7−9月期(青枠)は夏の嵐に巻き込まれたものです。 (出所:Stockcharts) 企業の現金保有高は1兆9400億ドルと、4−6月期の1兆9700億ドルから小幅に減少した。2014年10−12月期につけたピークの1兆9700億ドルに届かなかったとはいえ、高い水準を維持している。 不動産は、住宅価格の需要および値上がりを背景に前期比4820億ドル増の24兆9810億ドルとなり、全体を支えた。家計部門での不動産は、4430億ドル増加。ホーム・エクィティ(住宅の評価額から住宅ローンの残債を差し引いた価値)は不動産価値の56.1%を占め、リセッションを脱してから最高となる4−6月期の56.7%を下回る。もっとも1−3月期の55.6%、2014年10−12月期の54.5%、7−9月期の53.9%を超える水準を維持した。 国内債務は、前期比年率2.0%増の44兆1973億ドルだった。4−6月期の4.6%増はもちろん1−3月期の2.5%増以下となり、伸び率は過去2年間で最小にとどまる。家計債務は1.5%増の14兆1015億ドルと前期の4.2%増から鈍化しつつ、増加トレンドを維持。こちらの伸び率も2013年10−12月期以来の低水準だった。そのうち、消費者信用は7.2%増の3兆4964億ドルと2010年7−9月期以来、20期連続で増加した。新車販売台数が9−11月に連続で年率ベースにて2000年以来の1800万台を更新したように自動車ローンが牽引したほか、学生ローンが寄与している。住宅ローンは1.6%増の9兆4543億ドルと、1−3月期の横ばいを経て2期連続で増加した。非金融セクターの企業は2011年1−3月期以来、19期連続で増加し4.7%増の12兆6214億ドルとなる。連邦政府は0.2%増の14兆4950億ドルと、2003年以来初めて減少に転じた1−3月期を経て増加トレンドを回復した。州・地方政府は1.7%増と4期連続で増加し、2兆9794億ドルだった。 家計債務は可処分所得に対し、104.4%。1−3月期の105.4%から低下した。2007年のピーク時は135%を記録したものの、以降は顕著にデレバレッジが進んでいる。 ——米7−9月期国内総生産(GDP)は改定値の通り、消費をはじめ企業など民間部門での支出がけん引していました。ただし債務の伸び率は限定的で、世界景気減速という懸念の片鱗がみられます。金融市場に走った衝撃で、株式や投信など資産効果が剥落したことも家計の財布の紐が一因でしょう。10−12月期も直近でボラティリティの嵐に包まれ、株式市場が切り返さない限り2週連続で資産が減少してしまいかねません。 (出所:Erik Schepers/Flickr)

アメリカ人、2016年の米大統領選の優先事項は「テロ対策」

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Fear Of Terrorism Could Affect 2016 Presidential Election. パリ同時多発テロ事件、カリフォルニア州銃乱射事件を背景に米国民の間で安全保障が最優先事項に挙げられている。ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙/NBCの世論調査では、2016年米大統領選での優先事項として「安全保障/テロ対策」を挙げるべきとの回答が60%に達し、4月時点の39%から急伸。項目別でもトップに立ち40%と4月時点の21%から倍増し、当時1位だった「雇用の創造/経済成長」は29%から今回23%へ低下し「安全保障/テロ対策」に代わり2位に落ちた。共和党が撤廃を目指す医療保険制度改革(オバマケア)に絡むヘルスケアは9%で4位にとどまり、4月時点の13%を下回る。以下は、項目別の詳細。 (出所:WSJ) 世論調査は12月6-9日に実施され、1000人の成人が対象とされた。 パリ同時多発テロ事件が発生した11月13日、カリフォルニア州銃乱射事件を受けて共和党寄りのアメリカ人を中心に保守化の波が押し寄せている。イスラム教徒への入国禁止を求めるなど過激な発言で話題のトランプ候補の支持率に加え、シリア難民受け入れ禁止を求めるティーパーティー派のクルーズ米上院議員(テキサス州)も、保守派のマルコ・ルビオ米上院議員(フロリダ州)やカーソン候補を抜いて、立候補して以来初めて2位に躍り出た。 世論の変化に合わせ、オバマ米大統領もビザ免除プログラム(VWP)を見直す意思を表明した。米下院が8日に407対19と民主党を巻き込み賛成多数で通過した法案では、ビザなし入国を制限する内容を盛り込んだ。2011年3月以降にシリアをはじめイラク、イラン、スーダンなど指定された国への渡航歴がある場合、電子渡航認証システム(ESTA)を活用しビザ不要で米国に90日間滞在できる欧州・アジア諸国を中心とした38カ国の渡航者でも、ビザ取得を義務付ける。 カリフォルニア州銃乱射事件ではパキスタン国籍の妻タシュフィーン・マリク容疑者が婚約者ビザ(K-1)で2014年にサウジアラビアから入国した事情もあり、オバマ米大統領はK-1ビザ・プログラムについても精査を命じた。アメリカ市民権を有する者と結婚する外国人を対象に承認されるK-1ビザは、米国務省によると同年に3万6000人分が発行されという。パキスタン系アメリカ人の夫シド・リズワン・ファロック容疑者と犯行に及ぶ以前にフェイスブックでジハードへの誓いを明らかにしていたことから、米国務省と米国土安全保障省はビザ審査にソーシャルネットワークを活用する方針だ。既にフェイスブックやコンピューター履歴を調査対象に組み込んでいるという。 ただしオバマ米大統領は、11月19日に米下院が289対137(共和党242、民主党47)で可決したシリアとイラクの難民受け入れを制限する法案には拒否権を発動する構えを見せる。厳格な審査を通じ安全保障の脅威とならない難民のみ受け入れる案に、米上院のハリー・リード院内総務も法案阻止を目指すと発言しており、法制化されるかは不透明だ。 ——米景気が比較的安定しているためか、特にパリ同時多発テロ事件とカリフォルニア州銃乱射事件の波紋は大きかったようです。米国のシリア難民数は直近で約1500人程度とドイツの約9万3000人に及ばないものの、オバマ米大統領は2016年に1万人へ引き上げる方針を表明済み。ただパリ同時多発テロ事件以前、ケリー米国務長官はシリア難民を2016年に8万5000人、2017年には10万人受け入れる方針について言及していたんですよね。ヒラリー民主党大統領候補も9月20日にCBSのインタビューで「6万5000人を受け入れるべき」と発言していました。民主党候補が今後、保守化が進むアメリカ人のトレンドをくみ取るのか注意して見守りたいところです。 2012年の米大統領選に基づけば、選挙人が多いニューヨーク州をはじめカリフォルニア州など大都市を抱える州で勝利していたため、ヒラリー候補にとっては逆に保守化は歓迎すべき現象かもしれません。 2012年米大統領選、結果はこちら。 (出所:Washington Post) 前述のWSJ/NBCによる世論調査ではヒラリー候補VSトランプ候補との一騎打ちにて、前者が50%と後者の40%を上回っていました。ただし対クルーズ候補の場合は48%にとどまり、クルーズ候補は45%に迫ります。マルコ・ルビオ候補になると形勢は逆転し48%とヒラリー候補の45%を超え、足元で急速に支持率が低下中のカーソン候補も47%とヒラリー候補の45%を抜き去っていました。特に無党派層で傾向が強くカーソン候補の48%に対しヒラリー候補は34%、ルビオ候補も44%に対し37%という有様です。 第一回共和党・米大統領候補討論会で、フィオリーナ候補がトランプを槍玉に挙げ「(立候補の前に)私はビル・クリントンから電話を受けていないわ、他の皆さんはどう?」と非難していたことが思い出されます。 (カバー写真:Gage Skidmore/Flickr)

民主党、原油輸出の解禁承認へ翻意しつつある理由

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End of Crude Oil Export Ban May Come Sooner As Democrats Ready For Trade-Off With GOP. 米下院の民主党は14日、共和党に対し前年度に続く1.1兆ドルの歳出案あるいは期限切れを迎える減税延長包括案との交換条件で原油輸出の解禁を承認する構えを見せた。ブルームバーグが伝えた。2016年度(2015年9月~2016年10月)暫定予算案が17日に期限切れを迎えるためで、ライアン米下院議長は14日の(ウィスコンシン州)カンファレンス・コールにて共和党議員に対し協議に楽観的な姿勢を示したという。 民主党が目指す減税包括案には、2017末に期限切れ予定の子育て向け税控除をはじめ勤労所得控除、大学授業料控除、さらに再生可能エネルギー向け税控除などが挙げられる。米上院院内幹事のジョン・コーニン議員(テキサス州)は、民主党は原油輸出承認を人質に多くを要求し過ぎるとし「民主党は欲張りすぎるように聞こえる」と批判した。 原油先物、2009年2月以来の安値で踏みとどまるか。 (出所:Stockcharts) 米下院で原油輸出法案は2度可決したものの、オバマ米大統領が拒否権を発動する構えを崩していない。ただ原油先物が2009年2月以来の安値で推移するなかで、4日の総会で浮き彫りになったように石油輸出国機構(OPEC)の足並みが乱れており、米国が原油市場で指導力を発揮する可能性がちらつく。また米国内で石油関連企業におけるエネルギー関連の人員削減件数が11月までの年初来で前年比で800%増を超えるだけに、経済支援という側面からも民主党が原油輸出を頑なに反対するメリットは大きいとは言えない。共和党が民主党の条件全てを呑むとは考えられないが、原油輸出と引き換えに再生可能エネルギーを軸とした税控除の延長を容認すれば、妥結への道は拓かれよう。 (カバー写真:WFblogs/Flickr)

米11月CPIコア、前年比で2%に乗せ利上げに追い風

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Core Consumer Price Index Lends Support To Lift-Off. 米11月消費者物価指数(CPI)は前月比±0%となり、市場予想に並んだ。3ヵ月ぶりにプラスに乗せた10月の0.2%から、鈍化。原油先物が12月に2009年2月以来の安値へ戻す過程で、エネルギーが1.3%低下し前月の0.3%の上昇から転じており、そのうちガソリン価格も2.4%低下し、こちらもマイナスから反転している。エネルギー情報局(EIA)によると、ガソリン平均価格は6月に一時2.835ドルと2014年11月の水準まで切り返した後、11月は一時2.094ドルへ下落。約9ヵ月ぶりの水準へ失速していた。食品・飲料は0.1%低下し、6ヵ月ぶりに下振れした。 CPIコアは3ヵ月連続で前月比0.2%上昇し、市場予想にも並んだ。2013年1月以来の高水準を示した4月の0.3%に接近した水準を保つ。シェアの大きい帰属家賃は前月に続き0.2%上昇し、堅調なペースを維持。家賃も0.2%と、15ヵ月連続で上昇した。住宅も0.2%上昇し、7ヵ月連続で上向いている。サービスは3ヵ月連続で0.3%上昇。特に医療費が少なくとも1997年以来で最高を記録した前月の0.7%に続き、0.4%と3ヵ月連続で寄与した。航空運賃も、前月に続き1.2%と上昇。教育も3ヵ月連続で0.3%上昇している。一方で服飾は平年を上回る気温を背景に0.3%低下し、3ヵ月連続でマイナスに落ち込んだ。新車は±0%と前月の0.2%からマイナス圏を脱したものの、中古車は0.1%と7ヵ月連続で低下した。 CPIの前年比では0.2%上昇し、市場予想の0.1%を上回った。前月の±0%からも改善している。年初来で最高を遂げた。CPIコアの前年比は前月と同じく1.9%と、市場予想にも並んだ。2014年5月以来の2%台に乗せている。 Fedが注目するコアPCE(実線、青と赤)より、コアCPI(点線、緑)は加速。 (出所:My Big Apple NY) 大和キャピタル・マーケッツのマイケル・モダン米主席エコノミストは、結果を受け「エネルギーと食品がコアの上昇分を打ち消したに過ぎない」と説明する。その上で「利上げ開始を目指すFedには好材料で、インフレが徐々に上昇するとの見通しに合致するものだ」と結んだ。 ――米11月輸入物価指数が落ち込んだものの、米11月生産者物価指数(PPI)と同じく米11月CPIはインフレの芽吹きを感じさせます。インフレはベース効果が剥落し、2016年はCPIとコアCPIそろって上向く公算が大きい。今後はコアCPIで2%乗せが期待でき、利上げ開始目前のFedには朗報でしょう。 (カバー写真:elysiumcore/Flickr)

米12月NY連銀製造業景況指数、5ヵ月連続で分岐点割れも下げ幅縮小

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Empire Manufacturing Index Shows Ray Of Light. 米12月NY連銀製造業景況指数(エンパイア)はマイナス4.59となり、市場予想のマイナス7から下げ幅を縮小した。金融危機の衝撃が冷めやらぬ2009年8月以来の水準へ沈んだ8月のマイナス14.92で底打ちしたようで、前月のマイナス10.74からも改善。ただ、6ヵ月連続でマイナスをたどる。項目別では出荷が5ヵ月ぶりに分岐点を回復したほか、新規受注や在庫など下げ幅を縮めた。もっとも、雇用をはじめ平均賃金など労働市場関連は弱含んだ。項目別動向は、以下の通り。 ・新規受注 マイナス5.07、5ヵ月ぶりの水準へ改善>前月はマイナス11.82、2010年11月以来で最低 ・出荷 5.51、5ヵ月ぶりに分岐点を回復>前月はマイナス4.10 ・在庫 マイナス12.12、6ヵ月連続で分岐点割れ<前月はマイナス17.27 ・雇用 マイナス16.16、3ヵ月連続の分岐点割れ、2009年7月以来で最低<前月はマイナス7.27 ・平均労働時間 マイナス27.27、5ヵ月連続の分岐点割れ、2009年6月以来で最低<前月はマイナス14.55 ・仕入れ価格 4.04<前月は4.55、4ヵ月ぶり高水準 ・販売価格 マイナス4.04、4ヵ月連続で分岐点割れ>前月はマイナス4.55 ・入荷時間 マイナス8.08、5ヵ月連続の分岐点割れで2009年12月以来の低水準<前月はマイナス10.91 ・受注残 マイナス16.16>前月はマイナス18.18、年初来で最低 現況指数は分岐点割れを維持、見通し指数も下振れ。 (出所:Federal Reserve Bank Of New York) 6ヵ月先見通し指数は38.51となり、2012年12月以来の水準へ沈んだ前月の20.33を上回った。年初来で最高を遂げている。内訳をみると、現況指数と同じく出荷(34.11>前月は21.07)の伸びが著しい。そのほか新規受注(27.83>前月は20.82)、設備投資(16.16>前月は12.73)、平均労働時間(10.10>前月は5.45)、販売価格(20.20>前月は11.82)が前月から上向いた。受注残と入荷時間も、それぞれ前月から上昇している。一方で、原油先物が2009年2月以来の35ドル割れを示すなど商品先物が弱い影響か雇用(15.15<前月は16.36)のほか、在庫(マイナス1.01<前月は1.82)、仕入れ価格(27.27<前月は29.09)が鈍化した。 BNPパリバのブリックリン・ドワイヤー米エコノミストは、結果を受けて「ISM製造業景況指数換算では前月から1.5ポイント上昇し46.4となり、分岐点の50を割り込みながら改善した」と指摘。さらに、見通し指数の急伸で「12ヵ月平均の30.29を大きく上回った」。見通しには、楽観度合いが強まりつつある。 ――今まで改善が出遅れていた米NY連銀製造業景況指数にも、ようやく一筋の光が見えてきました。ドル高、原油安の耐性をみせつけつつあります。しかしながら、現況指数では雇用や平均賃金が金融危機まもない2009年以来の水準へ落ち込んでしまいました。ホリデー商戦の恩恵が剥落するほか、気温低下など天候要因で建設など好調だったセクターの伸びがペースダウンする見通しで、労働市場は年明けに鈍化するリスクに留意しておきたいところです。 (カバー写真:Bob Henry/Flickr)

Fedサーベイ、ウォール街は2016年に3回の利上げを予想

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 Wall Street Expects Fed To Raise Rates 3 Times In 2016. CNBC恒例、米連邦公開市場委員会(FOMC)直前のFedサーベイで16日の利上げ発表は織り込み済みでした。41名のエコノミストをはじめストラテジスト、マネー・マネージャーなどを対象とした調査では、95%に達しています。2016年の利上げ回数は、中央値で3回でした。その他、気になる内容は、以下をご笑覧下さい。 1)12月利上げ予想 ・12月 95%>10月の年内利上げ開始予想 46% 2)2016年の利上げ回数 ・1回 12% ・2回 29% ・3回 21% ・4回 29% ・5回 7% ※中央値は3回 3)2016年FF金利水準、中央値 ・12月は0.90%<10月は0.91%、3月は1.84% 4)バランスシートの縮小時期、中央値 ・12月は2016年<10月は2016年11月 バランスシート縮小は、後ろ倒しトレンド継続。 (出所:CNBC) 5)Fedの利上げ終了着地点 ・12月は2.58%<10月は2.65% 6)S&P500見通し(15日の引け値は2043) ・2016年末 12月は2140<10月は2166 ・2017年末 12月は2223(2016年末の予想から約4%高を見込む) 7)米10年債利回り見通し(15日は2.26%) ・2016年末 12月は2.67%>10月は2.60% ・2017年末 12月は3.09% 8)米株・米債市場での利上げ織り込み度・米株 12月は80%>10月は33% ・米債 12月は85%>10月は26% 9)GDP見通し ・2015年 12月は2.30%<10月は2.32% ・2016年 10月は2.60%・2017年 12月は2.40% 10)利上げの幕引き ・まずい幕引きとなる 38% ・中立的になる 44% ・良い幕引きとなる 13% 11)1年先の景気後退リスク ・12月は22.9%、約3年ぶりの高水準>10月は22% ――CNBCが実施した最高財務責任者(CFO)対象の調査結果では、2回との予想が70%と追随を許さぬ高水準でした。米10月雇用統計の後で流れた「one and done=1回利上げして終わり」の思惑こそ後退しつつ、ウォール街より断然慎重に見ています。 原油先物が2009年2月以来の水準まで沈み、サード・アベニューのファンドが換金停止を発表するなどジャンク債市場に激震が走るなか、景気後退リスクを予想する市場参加者もじわり増えてきました。ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙のヒルゼンラス記者が繰り返し「1854年以降、景気拡大期は33回あり今回は78ヵ月と4番目に長い」と伝えるだけに、6~7年に一度との観測が根強い景気後退リスクへの警戒が強まっているのでしょう。ただアメリカ人の気質はflip-flop、良く言えば柔軟に富んでいるだけに、FOMC後にスタンスが変化する余地を残します。 (カバー写真:jpellgen/Flickr)

米12月NAHB住宅市場指数、利上げ前に2ヵ月連続で小幅低下

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Home Builder Confidence Edges Down Before Lift-Off. 米12月NAHB住宅市場指数は61となり、市場予想の63を下回った。10月の62を下回り、10年ぶりで最高に達した9月の65(64から上方修正)から鈍化している。 内訳をみると、一戸建て現況指数が66となり前月の62から低下。景気回復サイクルで最高だった9月の70から離れた。一戸建て見通し指数も67で、少なくとも2005年10−12月期以来の水準を達成した9月の75から遠ざかっている。見込み客指数のみ46と、2014年9月以来で最高を示した前月の48を下回った。 今回は、軒並み前月から鈍化。 (出所:NAHBのデータを元にMy Big Apple NYが作成) 4大地域別での住宅市場指数は、南部を除き全て低下。前月も3地域で前月以下だった。今回低下を免れた南部は62と、前月と横ばいにとどまる。特に下振れした地域は中西部で55となり、前月の60を下回っただけでなく直近で最低だった。北東部は49で、3ヵ月ぶり低水準。西部も76と、前月の77を下回った。 発表元である全米ホームビルダー協会(NAHB)のトム・ウッズ会長は、結果を受け「土地、および人材が不足するものの、建設業者は楽観的だ」とまとめた。デビッド・クロウ主席エコノミストは「7ヵ月平均は60台前半であり、今回の水準と整合的で継続的な改善を示す」と指摘。その上で「雇用拡大、経済成長、世帯増加に合わせ住宅市場は2016年も改善トレンドを維持する」と結んだ。 ――MBA住宅ローン申請件数で新規が高水準にある一方で、建設業者のセンチメントは強気に陰りが見えてきました。こちらで指摘したように、利上げ前の駆け込み需要で申請件数が増えたとしても、住宅ローン借入の基準は厳しく容易に購入に漕ぎつけない様子が伺えます。確かにNY連銀がまとめた米7-9月期家計調査でも、住宅ローンと自動車ローンの信用スコアには歴然たる違いが表面化していましたよね。 (カバー写真:Andrew Chambers/Flickr)

FOMCはゼロ金利にサヨナラ、「緩やかな」利上げ期に突入

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FOMC Says Good Bye To Zero-Rate Era, Welcoming ‘Gradual Increase’ Cycle. 12月15〜16日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)ではFF金利誘導目標を予想通り25bp引き上げ、2008年12月に導入したゼロ金利政策に別れを告げました。2006年6月以来の利上げを迎え、声明文などは以下のようにまとめられています。 声明文の主な変更点とポイントは、以下の通り。 【景況判断】 前回:「雇用増加の伸びは鈍化し、失業率は低下した。」 ↓ 今回:「増加中の雇用、低下している失業率などを含め足元の労働指標は一段の改善を示し、労働資源の活用不足は年初から明確に減退してきた。」 ※米11月雇用統計までの非農業部門就労者数(NFP)は21.1万人増と労働人口の伸びを吸収する水準(約15万人)を超え、失業率も5.0%と金融危機以前の2008年4月以来の低水準まで改善した。 前回:「インフレは目標値を下回って推移し続けており、エネルギー価格や非エネルギー価格の下落を一部反映している。」 ↓ 今回:「インフレは目標値の2%を下回って推移し続けており、エネルギー価格や非エネルギー価格の下落を一部反映している。」 ※米11月消費者物価指数(CPI)コアが前年比で2%にたどり着いた安心感か、米10月PCEコアが1.3%のところ明確に「2%」の順守を表明。 前回:「マーケット・ベースのインフレはわずかに低下し、経済指標ベースのインフレは安定的だ」 ↓ 今回:「マーケット・ベースのインフレは低水準を維持し(remain low)、経済指標ベースのインフレは若干低下した(edged down)」※5年先・5年物ブレーク・イーブン・インフレ率は低水準を維持しつつ、米12月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値などインフレ見通しは下振れ気味。 【統治目標の遵守について】 前回:「委員会は適切な緩和策を通じ、経済活動が緩やかに拡大し労働指標も二大目標に沿うと判断する水準へ向かい続けると予想する。」 ↓ 今回:「委員会は現状、金融政策の緩やかな調整(gradual adjustment)により経済活動は緩やかなペースで拡大し続け(continue to expand at a moderate pace)、労働指標は強まり続けると予想する。」 ※今回利上げサイクルが過去に比べ緩やかなペースになるとのメッセージを送り、かつ労働市場が利上げの根拠たる立場を示唆。 前回:「委員会は経済活動と労働市場におけるリスクと見通しは概して均衡しているとみなすが、世界経済と金融市場の動向を注視していく。」 ↓ 今回:「概して、国内と海外動向を踏まえると委員会は経済活動と労働市場への見通しリスクはともに均衡しているとみなす。」 ※海外動向が安定しつつある状況を認識し、9月FOMCから悲観姿勢が引き続き後退。 前回:「インフレは短期的に足元の低水準で推移し続けると予想するものの、委員会は労働市場が一段と改善しエネルギー価格と輸入価格の一時的な下落効果が減退するにつれ、インフレが中期的に徐々に目標値2%へ上昇すると見込む。」 ↓ 今回:「インフレは、エネルギー価格と輸入価格の一時的な下落効果が減退し、労働市場が一段と強まるにつれ、中期的に2%へ上昇すると見込む。」 ※インフレが目標値を大きく下回るものの、労働市場が利上げの根拠であり雇用の拡大が賃上げを促しインフレを2%に押し上げるとの考えを示唆か。 【政策金利について】 前回:「最大限の雇用と物価安定への継続した進展を支援するため、委員会は本日、0~0.25%の目標レンジが適正であり続けると再確認した。」 ↓ 今回:「委員会は今年、労働市場が大いに改善したと判断し、インフレが中期的に2%へ上昇することに相当な確信を持つ。」 ※前回の第3段落導入部分を削除。同時にあらためてインフレが目標値を大きく下回るものの、労働市場が利上げの根拠であり雇用の拡大が賃上げを促しインフレを2%に押し上げるとの考えを示唆。 前回なし ↓ 今回:「経済見通しを踏まえ、政策が将来の経済の結果に与える影響を認識した上で、FF金利誘導目標を0.25~0.50%へ引き上げることを決定した。金融政策のスタンスは今回の利上げ後も緩和的であり、従って労働市場の一段の改善とインフレ2%への回帰を支援していく。」 [&hellip

MBA住宅ローン申請件数指数と米マークイット製造業PMI、ともに下振れ

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Mortgage Loan Applications Fall Again Right Before The Liftoff. MBA住宅ローン申請件数指数と、米12月マークイット製造業PMI速報値をおさらいしていきます。 全米抵当貸付銀行協会(MBA)住宅ローン申請件数指数は、12月11日週に前週比1.1%低下し419.4だった。前週から低下に反転している。新規が2.8%低下の221.7と前週の横ばいからマイナスに落ち込んだ一方、借換は1.4%上昇しの1592.7と2週連続で上向いた。前年比(季節調整前)は、全体で14.6%と前週の12.5%から上げ幅を拡大。新規も33.7%と前週の28.6%から上昇したほか、借換も4.9%と前週の3.4%から強まった。 30年固定金利型の住宅ローン金利(平均)は4.14%と、前週と変わらず。1年前の水準である4.06%は超えており、7月以来の高水準近くを保つ。2013年5月以来の低水準を示した1月30日週の 3.79%から、上振れしたままだ。15年固定金利型(平均)は前週の3.39%から3.38%へ低下。FHAのローン金利は3.90%と、逆に前週の3.91%を下回った。 申請全体に占める借換の割合は60.7%と、前週の58.7%から上昇した。2009年6月以来の低水準となった7月3日週の48.0%から切り返した水準を維持している。ただし、2013年5月以来の高水準となった1月16日週の73.9%からは、大きく遠ざかったままだ。 ▽米12月製造業PMI速報値、再び2013年10月以来の低水準 米11月マークイット製造業PMI・速報値は51.3となり、市場予想の52.6を下回った。前月の52.8からも減速。2013年10月以来の低水準を更新していfる。内訳をみると、生産が前月の54.8から52.7へ低下したほか、新規受注も50.1と前月の53.1を下回り約2年ぶりの水準へ低下した。もっとも雇用は2014年6月以来の低水準だった52.7から53.0へ上向いた。 マークイット製造業PMI、明確な低下トレンドに。 (出所:Markit) マークイットのクリス・ウィリアムソン主席エコノミストは、結果を受け「Fedが9年半ぶりに利上げに踏み切るという日に製造業センチメントは減速の兆しをみせた」と指摘。製造業は国内総生産(GDP)の10%を占めるに過ぎないとはいえ、「GDPの産業活動とは77%と相関関係がある」とし、懸念を与えると結んだ。 ——住宅ローン申請件数指数は金利が特に上振れなかったものの、新規が押し下げました。やはり申請はしても承認されないケースを見極めたのかもしれません。米7−9月期家計債務でも、自動車ローンと住宅ローンには信用スコアに大きな差が確認できましたよね。 米12月マークイット製造業PMI速報値は引き続き、悩ましい製造業活動の姿を浮き彫りにしました。原油先物が2009年2月以来の安値へ沈んだ影響もあるのでしょう。特にエネルギー企業大手は大規模な設備投資削減計画を次々に発表しており、センチメントを押し下げたと考えられます。 (カバー写真:InAweofGod’sCreation/Flickr)

米11月住宅着工件数、一戸建てと複合そろって増加

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Housing Starts Bounce Back In November. 米11月住宅着工件数は年率117.3万件となり、市場予想の113.0万件より弱い結果となった。大寒波に泣いた3月以来の低水準となる前月の106.2万件(106.0万件から上方修正)を10.5%上回った。 内訳をみると、前月に足を引っ張った複合住宅が前月比16.4%増の40.5万件となりヘッドラインに寄与。一戸建ても7.6%増の76.8万件と、増加に反転した。前年比での住宅着工件数は16.5%増となり、7ヵ月ぶりのマイナスに落ち込んだ前月の1.6%減から増加に切り返している。一戸建てが14.6%増と前月の1.3%増から大きく改善し、8ヵ月連続で増加。複合住宅も前月の7.0%減とから20.2%増と目覚ましい回復を遂げている。 4大地域別では、2地域で増加。前月の3地域から減少した。今回は北東部が10.2%増の14.0万件と2ヵ月連続で2桁減を示す。中西部も15.0%増の16.1万件と、増加に反転。一方で南部は18.6%減の50.6万件と、5ヵ月ぶりに減少した。減少率は2014年11月以来で最大を記録している。西部も16.2%減の25.3万件となり、減少に反転。ただし西部は複数が弱かった程度で、一戸建でのみの場合は2ヵ月連続で増加していた。 米11月建設許可件数は128.9万件となり、市場予想の113.0万件を超えた。前月の116.1万件(115.0万件から上方修正)を超え、5ヵ月ぶりの高水準を達成した。 内訳をみると、複合住宅が26.9%増の56.6万件と5ヵ月ぶりの高水準を示した。一戸建ても1.1%増の72.3万件で、2ヵ月連続で増加している。建設許可件数の前年比は19.5%増と、前月の2.7%増(速報値)から伸びを加速させた。12ヵ月続けてプラスを示す。一戸建てが9.0%増だったほか、複合住宅に至っては36.1%増もの急伸を記録した。 住宅着工件数、リセッション前の水準回復は遠い。 (出所:My Big Apple NY) 米11月建設中件数は前月比2.2%増の96.5万件となった。増加トレンドを維持するなか、件数ベースでは少なくとも2009年以来の高水準を達成。一戸建てが2.5%増の41.6万件と9ヵ月連続で増加したほか、賃貸需要を背景に複合住宅も2.0%増の54.9万件と15ヵ月連続で増えた。 モルガン・スタンレーのテッド・ウィーズマン米エコノミストは、結果を受けて「10-12月期の住宅投資を前期比年率9.2%増」とし従来予想の7.5%増から引き上げた。同GDP見通しも「従来の0.9%増から1.0%増」へ上方修正している。複合住宅をめぐっては「年初来で36%増加し、80年代半ば以来の高水準」と指摘。年間130万世帯が形成されている上、厳格な住宅ローン審査基準もあって複合住宅の需要は今後も全体を押し上げる可能性を示唆した。 ——米11月住宅着工件数・一戸建てのうち75%が販売目的とされるため、54.2万件が住宅市場に流れ込む見通しです。新築住宅販売件数の水準を踏まえれば在庫に余裕が出てくる可能性が横たわるものの、値ごろ感から需要を引き出す可能性もくすぶりますね。 (カバー写真:Terry McCombs/Flickr)

米11月鉱工業生産、自動車や公益が押し下げ2012年以来の低水準

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Industrial Output Tumbles To The Lowest Since 2012 As Auto Weighs. 米11月鉱工業生産指数は前月比0.6%低下し、市場予想の0.2%より下げ幅を広げた。前月の0.4%(0.2%から下方修正)と合わせ、2ヵ月連続で低下している。2014年11月以来の高水準だった7月、横ばいだった6月を除き年初来からのマイナス基調をたどっただけでなく、2012年3月以来で最低に。稼働率は77.0%と、市場予想の77.4%に届かず。リセッション前の80%回復が一段と遠のいた。 内訳をみると、製造業が横ばいに反転。新車販売台数が好調だったものの、自動車が製造業を押し下げた。自動車を除いた製造業は0.1%増と前月に続き増加している。自動車以外で際立って弱含んだのは公益で、平年を上回る気温を背景に暖房需要が落ち込んだ。鋼業は原油安を背景に、3ヵ月連続で低下した。 ・製造業 ±0%<前月は0.3%の上昇 あ自動車 1.0%の低下<前月は1.2%の上昇 あコンピューター/電気製品 0.7%の上昇>前月は0.3%の上昇 あ機械 0.1%の上昇>前月は0.4%の低下 ・公益 4.3%の低下、2ヵ月連続でマイナス<前月は2.8%の低下 あ電力 3.7%の低下、2ヵ月連続でマイナス<前月は3.5%の低下 あ天然ガス 9.6%の低下<前月は3.2%の上昇 ・鋼業 1.1%の低下>前月は2.4%の上昇 鉱工業生産は、前年比は2009年以来のマイナスに突入。 (出所:FRBより作成、My Big Apple NY) バークレイズのジェシー・ヒューウィッツ米エコノミストは、結果を受け「予想外に落ち込んだ公益により光熱費の負担が低下し個人消費の伸びが縮小する」と予想した。その上で米10-12月期国内総生産(GDP)予想を「従来の1.8%増から1.7%増」へ下方修正。ドル高に加え原油先物が改めて2009年2月以来の安値へ突っ込んだこともあり、製造業の生産活動は「当方の予想通り、あらためて鈍化していく」と見込んだ。 ——米12月NY連銀製造業景況指数が悪化を免れたとはいえ分岐点割れを維持し、米12月マークイット製造業PMI速報値が下振れしたように製造業活動はなかなか好転の兆しが見えません。Fedの利上げでドル高が加速すれば、一段の下押しが予想されます。 (カバー写真:poolle/Flickr)
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