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米10~12月期実質GDP成長率、好調な数字に潜む減速の影

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U.S. Q4 GDP  More Than Expected, But There Are Some Slowng Signs. 米10〜12月期実質国内総生産(GDP)速報値は前期比年率2.9%増と、市場予想の2.8%増を上回った。前期の3.2%増に続き、2四半期連続のプラス成長に。内訳をみると、GDPの7割を占める個人消費は拡大を続けた。政府支出は2期連続で増加。また、輸入の減少に伴う貿易赤字の縮小を受け、純輸出も成長に寄与した。企業支出はプラスだったものの在庫投資が支え、設備投資のうち機器投資は弱い。一方で、金利上昇を背景に住宅支出は7四半期連続でマイナスだった。 米10~12月期の実質GDP成長率・前年同期比は1.0%増と前期の1.8%増を下回り、2021年Q1以降のプラス成長を回復して以降、最も低い伸びにとどまった。ただし、8期連続でプラス成長を維持した。 2022年の実質GDP成長率は前年比2.1%増と、2021年の5.7%増から伸びを縮めたとはいえ2年連続でプラスだった。コロナ禍で経済活動が停止した2020年は3.4%のマイナスだった。 チャート:2022年の実質GDP成長率は2年連続で潜在成長率超え (作成:My Big Apple NY) 再び四半期ベースのGDPに視点を戻すと、米経済の寄与度は項目別に以下の通り。前述の通り、個人消費は前期から小幅鈍化しつつも20年Q2以降、10四半期連続でプラスを維持した。純輸出は、中国がゼロ・コロナ政策を背景に輸入が減速し(※22年11月にゼロ・コロナ政策への抗議活動→同年12月から徐々に緩和)3四半期連続でプラス。政府支出は2四半期連続でプラスだった。企業支出は、在庫投資が支えプラスを維持したものの小幅にとどまった。一方で、金利上昇と価格高騰を受け、住宅投資も6四半期連続でマイナスとなった。 ・個人消費 1.42%pt、20年Q2以来10期連続でプラス<前期は1.54%pt ・企業支出 0.09%pt、20年Q2以来10期連続でプラスだったが最も小幅<前期は0.8%pt ・住宅投資 1.29%ptのマイナス、7期連続でマイナス>前期は1.42%ptのマイナス ・純輸出 0.56%pt、3期連続でプラスも最も小幅<前期は2.86%ptと少なくとも2000年以降で最大 ・政府支出 0.64%ptのプラス、2期連続でプラス<前期は0.65%ptのマイナス チャート:Q4実質GDP成長率・速報値は、2四半期連続で潜在成長率2%超えと好調 (作成:My Big Apple NY) チャート:実質の金額ベースでは、過去最大を更新 (作成:My Big Apple NY) GDPの項目別、前期比伸び率の詳細は以下の通り。 ▽個人消費の内訳 ・個人消費 2.1%増、10期連続でプラス<前期は2.3%増 ・財 1.1%増、3四半期ぶりにマイナス>前期は0.4%減 ・耐久財 0.5%増、3四半期ぶりにマイナス>前期は0.8%減 ・非耐久財 1.5%増、4四半期ぶりにプラス>前期は0.1%減 ・サービス 2.6%増、10四半期連続でプラス<前期は3.7%増 ▽民間投資の内訳 ・民間国内投資 1.4%増、3四半期ぶりにプラス>前期は9.6%減 ・総固定資本形成 6.7%減、3四半期連続でマイナス>前期は9.6%減 ・非住宅総固定資本形成 (企業の設備投資) 0.7%増、10四半期連続でプラス<前期は6.2%増 あ構築物投資 0.4%増>前期は3.6%減と6四半期連続でマイナス あ機器投資 3.7%減<前期は10.6%増 あ知的財産 5.3%増、10四半期連続でプラス<前期は6.8%増 ・住宅投資 26.7%減、7四半期連続でマイナス>前期は27.1%減 ・在庫投資 1,299 億ドルの増加、4四半期連続でプラス>前期は387億ドルの増加 ▽政府支出 ・政府支出 3.7%増、2四半期連続でプラス=前期は3.7%増 [&hellip

米12月個人消費は2カ月連続で減少、貯蓄率は改善―インフレは減速

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Saving Rate Improves As Consumer Spending Declines 2-Month In A Row. 米12月個人消費支出は前月比0.2%減と、市場予想の0.1%減より下げ幅を広げた。下方修正された前月の0.1%(速報値は0.1%増)に続きマイナスとなり、米12月小売売上高が2カ月連続で減少した動きと整合的である。 個人所得は前月比0.2%増と市場予想と一致した。前月の0.3%増(0.4%増から下方修正)と合わせ、11カ月連続で増加した。 個人所得が増加を続けた一方で消費支出が2カ月連続でマイナスとなった結果、貯蓄率は3.4%と前月の2.9%から大幅に改善し7カ月ぶりの水準を回復した。2022年9月は、1959年のデータ公表以降、2005年7月の2.1%に次ぎ過去2番目の低水準となっていた。 詳細は以下の通り。 〇個人消費支出 個人消費の結果は以下の通り。名目ベースとインフレを除く実質ベースともに増加した。 ・前月比0.2%減、市場予想の0.1%減より弱い、前月は0.1%減 ・前年比7.4%増と24ヵ月連続で増加、前月は7.4%増 ・実質ベース前月比0.3%減と2ヵ月連続で減少、前月は0.2%減 ・前年比では2.2%増と22ヵ月連続で増加、前月は1.7%増 耐久財と非耐久財は、年末商戦での需要前倒しやガソリン価格の伸び悩みなどが響き2カ月連続で減少。サービスは外食などが押し上げ22ヵ月連続で増加した。 個人消費支出の内訳(前月比ベース) ・財 1.6%減と2ヵ月連続で減少、前月は1.3%減 ・耐久財 1.9%増と2ヵ月連続で減少、前月は3.0%減 ・非耐久財 1.4%減と2ヵ月連続で減少、前月は0.4%減 ・サービス 0.5%増と22ヵ月連続で増加、前月は0.5%増 チャート:個人消費、前月比の項目別内訳 (作成;My Big Apple NY) チャート:個人消費、前月比ベースでの名目と実質の違い (作成:My Big Apple NY) 〇個人所得 個人所得の結果は以下の通り。 ・前月比0.2%増と11カ月連続で増加、市場予想と一致、前月は0.3%増 ・前年比では4.6%増と9ヵ月連続で増加、前月は4.7%増 ・実質ベース前月比0.2%増と3カ月連続で増加、前月は0.2%増 ・前年比では0.4%減と11カ月連続で減少、前月は0.8%減 個人所得のうち、名目ベースで賃金・給与は22ヵ月連続で増加し、社会福祉も失業保険やメディケイド、その他が押し上げ増加を促した。家賃収入も引き続き力強い伸びに。なお、米疾病対策センター(CDC)は21年8月、新型コロナウイルス感染予防策対策として、感染率が高い地域を対象に新たに21年10月3日まで住宅立ち退き猶予期間を設定。しかし、家主や不動産団体が撤回を求め提訴し、米連邦最高裁判所が21年8月26日に無効の判断を下したため、販売用物件の減少も重なって家賃の上昇が進行した。足元、新規契約分の家賃は前月比で下落が指摘されているが、家賃は基本1~2年契約のため、下落が反映されるまでラグを伴う傾向がある。 所得の内訳は、名目ベースの前月比で以下の通り。 ・賃金/所得 0.3%増と22ヵ月連続で増加(民間は0.3%増、政府部門は0.2%増)、前月は0.3%増 ・経営者収入 0.3%増と3カ月ぶりに増加(農業は3.4%減、非農業は0.5%増)、前月は0.1%減 ・家賃収入 0.8%増と11ヵ月連続で増加、前月は0.6%増 ・資産収入 0.1%増と11ヵ月連続で増加(金利収入が1.0%増、配当が0.9%減)、前月は0.1%増 ・社会補助 横ばい、前月は0.2%増 ・社会福祉 横ばい、前月は0.2%増(メディケア=高所得者向け医療保険は0.9%増、メディケイド=低所得者層向け医療保険は0.1%増、失業保険は4.3%増、退役軍人向けは0.5%増と増加基調を維持、その他は0.9%減) チャート:個人所得、前月比の項目別内訳 (作成:My Big Apple NY) 〇可処分所得 [&hellip

FOMCは利上げ幅縮小、パウエル議長はディスインフレに言及

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Fed Raises Rates A Quarter Point, Powell Says Disinflation Process Has Started. 1月31~2月1日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、市場予想通りFF誘導金利目標を25bp引き上げ4.5~4.75%に設定した。2022年3月の25bp、同年5月の50bp、同年6~11月の4回連続75bp、同年12月FOMCに続き、今回のサイクルで8回目の利上げとなる。利上げ幅は、事前のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙の報道通り、0.5%ポイントから0.25%ポイントへ縮小した。 今回の声明文では、主にインフレ減速に合わせ関連する文言を修正した。また、バイデン政権が新型コロナウイルスに関わる緊急事態宣言を5月11日に終了するとの発表に合わせ、パンデミック関連の文言を削除した。一方で、利上げ幅縮小を決定したものの「継続的な利上げは適切」との文言を維持。パウエルFRB議長は、記者会見で①複数回の利上げを行う見通し、②年内利下げを否定、③インフレ減速を見届ける、④ただし物価や景気は減速を確認した、⑤ディスインフレの初期段階に入った――などの見方を表明した。声明文を始め、詳細は以下の通り。 【FOMC声明文】 声明文の変更点は以下の通り。 修正箇所は、取り消し線と太字下線部をご参照。 <景況判断(ウクライナ情勢含む)> 前回:「足元の支出や生産をめぐる指標は、緩慢な伸びを示した。雇用は足元数カ月において活発に増加し続け、失業率は引き続き低水準をたどった。パンデミック下で生じた需要と供給の不均衡に加え、食料やエネルギー価格や広範囲にわたる値上げ圧力を受け、引き続きインフレの高止まりに繋がった。ロシアによるウクライナ戦争は、人道的且つ経済的に多大な困難を強いている。侵攻とそれに関わる事象は、一段のインフレ圧力をもたらし世界経済の活動の重石となっている。委員会は、インフレ・リスクを大いに注視していく」 ↓ 今回:「足元の支出や生産をめぐる指標は、緩慢な伸びを示した。雇用は足元数カ月において活発に増加し続け、失業率は引き続き低水準をたどった。インフレはいく分鈍化したが、引き続きインフレは高止まりにある。ロシアによるウクライナ戦争は、人道的且つ経済的に多大な困難を強いており、世界的な不確実性の高まりに寄与している。委員会は、インフレ・リスクを大いに注視していく」 ※米12月消費者物価指数や米12月PCE価格指数など物価指標で明確な鈍化トレンドを確認したため、インフレ上昇圧力に関わる文言を修正。 チャート:物価動向、明確に鈍化トレンドをたどる (作成:My Big Apple NY) <政策金利、保有資産の縮小> 前回:「委員会は、雇用の最大化と長期的に2%で推移する物価の達成を目指す。一連の目標達成を支援すべく、委員会はFF金利誘導目標レンジを4.25~4.5%へ引き上げた。委員会は、物価を2%へ回帰させるため十分引き締め寄りな金融政策の姿勢を実現すべく、継続的な利上げを適切と予想する。今後の利上げのペースを決定する上で、委員会は累積的な金融政策上の引き締めに加え、金融政策がもたらす経済活動やインフレのほか、経済や金融動向への影響の遅れを考慮していく。また、5月に”FRBによる保有資産の規模縮小に関する計画”で示されたように、委員会は保有する米国債および政府機関債、政府機関の保証が付いた住宅ローン担保証券の削減を続ける。委員会は、物価目標2%への回復に強くコミットする」 ↓ 今回:「委員会は、雇用の最大化と長期的に2%で推移する物価の達成を目指す。一連の目標達成を支援すべく、委員会はFF金利誘導目標レンジを4.5~4.75%へ引き上げた。委員会は、物価を2%へ回帰させるため十分引き締め寄りな金融政策の姿勢を実現すべく、継続的な利上げを適切と予想する。今後の利上げの程度を決定する上で、委員会は累積的な金融政策上の引き締めに加え、金融政策がもたらす経済活動やインフレのほか、経済や金融動向への影響の遅れを考慮していく。また、委員会は保有する米国債および政府機関債、政府機関の保証が付いた住宅ローン担保証券の削減を以前発表した通り続ける。委員会は、物価目標2%への回復に強くコミットする」 ※Fedピボット、すなわち早期の利上げ打ち止め・利下げ転換を連想させないように利上げ継続の姿勢を強調する意図があったのか、「継続的な利上げ(ongoing increase)」との表現を維持。また、利上げの「ペース」から「程度」に変更し、利上げの最終地点が近いことを示唆したと考えられる。一方で、バランスシート縮小の文言は微修正したが、今後縮小額のペースを減速させる方向を視野に入れ地ならしした可能性あり。 <金融政策姿勢> 前回:「金融政策の適切なスタンスを評価する上で、委員会は経済見通しに係る最新の情報が与える示唆を注視し続けていく。委員会の目標達成を妨げるリスクが表面化した場合、金融政策の姿勢を調整する用意がある。委員会は公共衛生や労働市場、物価から生じる圧力やインフレ見通し、金融動向は国際情勢など、広範囲にわたる情報を考慮に入れて評価していく」 ↓ 今回:「金融政策の適切なスタンスを評価する上で、委員会は経済見通しに係る最新の情報が与える示唆を注視し続けていく。委員会の目標達成を妨げるリスクが表面化した場合、金融政策の姿勢を調整する用意がある。委員会は公共衛生や労働市場、物価から生じる圧力やインフレ見通し、金融動向は国際情勢など、広範囲にわたる情報を考慮に入れて評価していく」 ※21年9月以降、据え置いていたが、バイデン政権が5月11日に新型コロナウイルスの緊急事態宣言を終了すると発表した動きに合わせ、「公共衛生」に関わる文言を削除。 <票決結果> 今回も全会一致で、前回に続いて5回連続となる。FOMC投票権保有者は足元で11名、2022年5月にパウエル氏が再任されブレイナード理事が副議長に着任。さらに、ジェファーソンFRB理事とクックFRB理事が就任した。輪番制の地区連銀総裁の投票メンバーはシカゴ連銀のグールズビー総裁、フィラデルフィア連銀のハーカー総裁、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁、ダラス連銀のローガン総裁の4名。なお、投票メンバーはFRB正副議長3名、理事5名、NY地区連銀総裁の8名が常任、地区連銀総裁は1年間の輪番制で4名となる。 チャート:1月時点でのタカハト・チャート (作成:My Big Apple NY) 【パウエルFRB議長の記者会見、質疑応答のポイント】 〇冒頭の原稿 ―総括 「物価高が引き起こしている苦難を理解しているからこそ、インフレ率を2%の目標まで引き下げることに強くコミットしていく」 「昨年にわたり、我々は金融政策の引き締めるべく強力な行動を取った」 「我々は(利上げにより、低下した金利分を)大幅に取り戻したが、急激な引き締めの完全な効果はまだ実感できていない。まだ大いにやるべきことが残されている」 「物価の安定は、Fedの責任であり、経済の基盤として機能している。物価安定なくして、経済は誰のためにも機能しない。特に、物価の安定なくして、全ての人々に恩恵をもたらす強い労働市場の状態を持続的に実現することはできない」 「FOMCは政策金利を0.25%ポイント引き上げた。物価を2%に戻すべく、十分に引き締め寄り(sufficiently restrictive)な金融政策姿勢を実現する上で、継続的な引き上げが適切と考える」 「さらに、保有資産の規模を大幅に縮小するプロセスも継続している」 ※利上げ幅を縮小させたが、利上げは継続するとの意思を改めて強調。 ―米経済 [&hellip

米1月人員削減予定数は3カ月連続で倍増、企業の6割は今年のリストラを計画

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Job Cuts Surge In January, 61% Of Companies Plan Layoffs This Year. 米1月ADP全国雇用者数は前月比10.6万人増と、市場予想の17.8万人増を下回りました。前月の25.3万人増(23.5万人増から上方修正)に届かず、2021年1月以降の増加トレンドで最も低い伸びにとどまっています。パウエルFRB議長が2月FOMC後の記者会見で、利上げについて道半ばという表現を使用せず、利上げ打ち止めを示唆しましたが、それをサポートする内容と言えるでしょう。 チャート:米11月ADP全国雇用者数、22カ月連続で増加したなかで最も小幅な伸びに (作成:My Big Apple NY) 以下、米1月チャレンジャー人員削減予定数と米11月求人件数などをおさらいしていきます。 ▽米1月チャレンジャー人員削減予定数は前月比2.4倍増、1月としては2009年以来の高水準 米1月チャレンジャー人員削減予定数は前年同月比で約5.4倍増の10万2,943人だった。8ヵ月連続の増加となる。前月比でも約2.4倍と3カ月連続で2倍を超える急増を迎えただけでなく、4カ月連続で増加。人員削減予定数自体は2020年9月以来、1月としてはリーマン・ショックが直撃してまもない2009年以来で最多を記録した。 チャート:米1月人員削減予定数は2020年9月以来の高水準、1月としては2009年以来の高水準 (作成:My Big Apple NY) チャート:過去4年間と比較し、2020年を除き突出した増加に (作成:My Big Apple NY) チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社のアンドリュー・チャレンジャー・シニア・バイス・プレジデントは、結果を受け「コロナ禍を経て、採用ブームが起こった反動が発生している」と指摘。また「企業は経済減速に備え始め、人員を削減し採用を凍結しつつある」との見解を寄せた。 人員削減が多かったセクターのランキングは、単月で以下の通り。アマゾンやマイクロソフト、アルファベットなど1月はテクノロジーの人員削減だけでなく、ゴールドマン・サックスやダウ、3Mなど他分野にも広がった。22年12月の1位はテクノロジー、2位はサービス、3位は倉庫、4位はヘルスケア、5位は建設だった。 1位 テクノロジー 41,829人、前年同月は72人 2位 小売 13,000人、前年同月は391人 3位 金融 10,603人、前年同月は696人 4位 ヘルスケア 6,733人、前年同月は5,053人 5位 サービス 4,497人、前年同月は1,786人 州別動向は年初来で以下の通りで1、3、5位は人口別でのトップ5に入る州が並んだ。1位のカリフォルニア州が突出して多いのはIT関連の人員削減が響いたとみられる。4位のワシントン州も、テクノロジー関連の人員削減で急速に増加したもようだ。ミシガン州は自動車セクターのリストラ増加が背景と考えられる。22年12月は1位がカリフォルニア、2位がニューヨーク、3位がミシガン、4位がワシントン、5位がペンシルベニアだった。 1位 カリフォルニア州 10万3,433人 前年同期は4万5,114人 2位 ワシントン州 2万9,283人 前年同期は1万4,572人 3位 ニューヨーク州 1万9,554人 前年同期は4,102人 4位 ミシガン州 1万9,194人 前年同期は4万596人 5位 テキサス州 1万4,580人 前年同期は9,966人 リストラ実施の理由別ランキングは、1月分で以下の通り。22年12月は1位が市場動向、2位が理由不明、3位が閉鎖、4位が再編、5位が住宅市場の減速だった。 1位 市場・経済動向 8万6,526人 2位 理由不明 5,777人 3位 閉鎖 5,744人 4位 再編 2,031人 5位 コスト削減 1,992人 採用予定数は1月に前年同月比57.8%減の3万2,764人となり、2カ月連続で減少した。前月比では逆36.6%減と、減少に転じた。 チャート:採用予定者数、過去4年間と比較しても低い (作成:My Big Apple [&hellip

バイデン大統領の一般教書を控え、米1月失業率は1969年以来の低水準

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President Biden Welcomes Blowout Jobs Report Before Sate Of The Union. <本稿のサマリー> 米1月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)は予想をはるかに超える強烈な伸びを遂げ、失業率も1969年5月以来の低水準を記録しました。労働参加率も62.4%へ上昇しており、文句なしに労働市場のひっ迫を示す内容です。 労働参加率の改善を受け、平均時給は鈍化トレンドをたどりました。一方で、週当たり労働時間もコロナ禍で経済活動が停止した2020年4月以来の低水準から急回復。2022年3月から始まったFedによる積極的な利上げでも需要は未だ良好のようです。バイデン大統領は7日に一般教書演説を控え、今回の米1月雇用統計は力強い経済をアピールする絶好の数字だったと言えるでしょう。 なお、今回はベンチマーク及び季節調整の改定が行われた結果、2022年のNFPの増加幅は481万人増(改定前から31.1万人増)へ上方修正されました。米国史上で最多を記録した2021年の727万人増に次ぐ伸びとなります。さらに今回、家計調査の人口推計と産業分類システムも改定しました。特に後者については、約10%の雇用が異なる産業に再分類されることになるといい、米労働統計局は事前に、今回の改定と産業分類の変更により、「毎年のベンチマーク・プロセスで通常より多くの過去データに影響を与える」と警告。今回のリリースにも明記され、実際に大幅な上方修正につながりました。 CNBCに出演したゴールドマン・サックスのヤン・ハッチウス米国担当チーフエコノミストは、好調な労働市場を表す結果と評価したほか、FF金利を5.0~5.25%への引き上げを予想すると共に、年内の利下げを見込まずと発言。しかし、ベンチマーク改定を受けた米1月雇用統計が予想外の結果になりやすい点に言及することも忘れませんでした。 NY時間午前11時30分時点でマーケットの反応をみると、米1月雇用統計に加え米1月ISM非製造業景況指数も好調な米経済動向を表した結果、米10年債利回りは3.38%台から一時3.55%へ急伸しました。ドル円も一時128円半ばから、一時131.18円台へ上振れ。米株相場はというと、Fedが前回FOMC後のパウエルFRB議長の会見で発言したように3月の利上げ打ち止めではなく「複数回」の利上げが意識されつつ、ダウは小幅高、S&P500とナスダックは下落とまちまちです。 チャート:ドル円(ローソク足)、米10年債利回り(オレンジ線)とも米1月雇用統計と米1月ISM非製造業景況指数を受け上昇 (出所:Tradeview) 米10年債利回りの急伸、ドル高、軟調な米株動向が示すように、Fedの引き締め継続懸念が再燃しています。FF先物市場によれば、NY時間午前11時半時点で3月21~22日開催のFOMCだけでなく、5月2~3日開催の0.25%利上げも織り込み始めターミナル・レート予想は2022年12月FOMC通り5.0~5.25%へ上方修正されました。5月FOMCの利上げ確率は55.9%と、前日の30.0%から急伸しています。しかし、利下げ転換は2月FOMC直後の11月から前倒しされ9月に、さらに12月にも追加利下げを織り込みます。トレーダーの予想は現時点で、依然としてFed高官よりハト派的と言えるでしょう。 (作成:My Big Apple NY) 米1月雇用統計のポイントは、以下の通り。 (労働市場にポジティブ) ・NFPは好調なペースで増加 ・過去2ヵ月分のNFPが上方修正 ・失業率は1969年5月以来の低水準に並ぶ ・労働参加率は改善 ・週当たり労働時間が改善 ・就業率は2020年2月以来の高水準 ・フルタイムの労働者が増加 (労働市場にネガティブ/ニュートラル) ・平均時給、前年同月比の伸びが減速(インフレ抑制の観点ではポジティブも、購買力の観点でネガティブ) ・不完全就業率は過去最低からやや上昇 ・長期失業者の割合が上昇 米1月雇用統計の詳細は、以下の通り。 米1月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)は前月比51.7万人増となり、市場予想の18.5万人増を上回った。前月の26.0万人増(22.3万人増から上方修正)も大幅に超え、6カ月ぶりの50万人乗せとなった。2022年平均の40.1万人増を超え労働市場の好調ぶりを映し出した。 2022年11月分の3.4万人の上方修正(25.6万人増→29.0万人増)と合わせ、過去2ヵ月分では合計で7.1万人の上方修正となった。 NFPの内訳をみると、民間就労者数は前月比44.3万人増と市場予想の19.0万人増を上回った。前月の26.9万人増(22.0万人増から下方修正)を含め、25ヵ月連続で増加した。民間サービス業は39.7万人増、前月の22.6万人増(18.0万人増から下方修正)を下回った。 チャート:NFPは堅調なペース維持も2021年以降で最も低い伸びに並び、失業率は3.5%へ低下 (作成:My Big Apple NY) サービス部門のセクター別動向は、11業種中で10業種が増加し前月の9業種を上回った。今回最も雇用が増加した業種は娯楽・宿泊、2位は教育/健康、3位は専門サービスだった。一方で、情報は2カ月連続で減少した。 (サービスの主な内訳) ―増加した業種 ・娯楽/宿泊 12.8万人増、25ヵ月連続で増加>前月は6.4万人増、6ヵ月平均は8.2万人増(そのうち食品サービスは11.7万人増>前月は11.0万人増、6ヵ月平均は9.9万人増) ・教育/健康 10.5万人増、12ヵ月連続で増加>前月は7.6万人増、6ヵ月平均は8.6万人増(そのうち、ヘルスケア・社会福祉は7.9万人増、12カ月連続で増加<前月は8.0万人増、6ヵ月平均は7.8万人増) ・専門サービス 8.2万人増、9カ月連続で増加>前月は3.9万人増、6ヵ月平均は3.1万人増(そのうち派遣は2.3万人増、3カ月ぶりに増加>前月は4.1万人減、6ヵ月平均は1.8万人減) ・政府 7.4万人増>前月は0.9万人減、6ヵ月平均は3.4万人増 ・小売 3.0万人増、2カ月連続で増加>前月は0.1万人増、6ヵ月平均は0.3万人減 ・輸送/倉庫 2.3万人増、2カ月連続で増加>前月は1.3万人増、6ヵ月平均は0.5万人減 [&hellip

米1月雇用統計:黒人労働者、失業率や労働参加率の改善を主導

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Black Unemployment Rate Declines To The Second Lowest, While Others Increase. 米1月雇用統計・NFPはこちらで紹介しましたように市場予想を大幅に上回りました。引き続き、NFPの増加を牽引したのは娯楽・宿泊に含まれる外食サービスでしたが全体の23%と、前月の42%から縮小しています。なお、食品サービスがNFPに占める割合は2022年1月~23年1月の平均で7.7%でした。 チャート:NFPの増加幅に占める食品サービスの割合 (作成:My Big Apple NY) そのほか失業率は1969年5月以来の低水準を記録し、労働参加率も改善するなど文句なしの好結果と言えるでしょう。 では、業種別や性別や人種、学歴などではどうなったのか、詳細は以下の通りです。 〇業種別、生産労働者・非管理職部門の平均時給 生産労働者・非管理職(民間就労者の約8割)の平均時給は前月比0.2%上昇し、前月の0.4%を下回り、2020年10月からの上昇トレンドで最も小幅な水準に並んだ。前年同月比は5.1%と、前月の5.3%(上方修正)に届かず、2021年6月以来の5%割れが迫った。 業種別を前月比でみると、同部門の平均時給の伸び0.2%以上だったのは13業種中で9業種と、前月の速報値時点と変わらず。今回の1位は前月と変わらず鉱業・伐採(1.1%上昇)、続いて製造業(0.8%上昇)、小売、建設、輸送・倉庫、教育・健康(0.5%上昇)、その他サービスと専門サービス(0.3%上昇)、金融(0.2%上昇)だった。一方で、NFPを最も押し上げた娯楽・宿泊は0.8%下落しており、労働参加率の改善に従い賃上げ圧力が後退したことが分かった。 チャート:業種別でみた前月比の平均時給、チャート内の数字は平均時給額 (作成:My Big Apple NY) チャート:平均時給は、労働参加率の改善に合わせて伸びが鈍化 (作成:My Big Apple NY) 〇労働参加率 労働参加率は62.4%と、2020年3月(62.6%)以来の水準に並んだ。全米の働き盛りの男性(25~54歳)は前月と比較し横ばいだったが、25~34歳と白人の間で改善した。全体的に、若い層が労働参加率の押し上げを主導した格好だ。以下は全米男性が季節調整済みで、白人は季節調整前となる。 ・25~54歳 88.5%=前月は88.5%、20年2月は89.1% ・25~54歳(白人) 89.8%、7カ月ぶりの水準を回復>前月は89.7%、22年3月は90.0%と20年3月(90.3%)以来の高水準、20年2月は90.6% ・25~34歳 88.7%、3カ月ぶりの水準を回復>前月は88.5%、22年4月は89.5%と19年11月以来の高水準 ・25~34歳(白人) 89.7%、3カ月ぶりの水準を回復>前月は89.5%、22年10月は90.4%と22年3月の90.5%に次ぐ高水準、20年2月は90.7% チャート:働き盛りの男性、25~34歳は4ヵ月連続で低下 (作成:My Big Apple NY) 働き盛りの女性(25~54歳)は、25~54歳が上昇も25~34歳は低下した。 ・25~54歳 76.9%、5カ月ぶりの水準を回復>前月は76.4%、22年8月は77.2%と2004年4月(76.8%)以来の高水準 ・25~34歳 77.9%、3カ月ぶりの水準を回復>前月は77.1%、22年8月は78.6%と20年1月に並び過去最高 65歳以上の高齢者の労働参加率は、男女ともにそろって低下した。 ・男性 23.4%と6カ月ぶりの低水準<前月は23.6%、22年10月は24.3%と2月と並び20年2月(25.2%)以来の水準を回復 ・女性 15.5%、5カ月ぶりの低水準<前月は15.7%、22年10月は16.1%と2020年3月と同水準 〇縁辺労働者 縁辺労働者(ここでは直近4週間にわたり職探しをしていないが、職を求める非労働力人口)で「今すぐ仕事が欲しい」と回答した人々の数は、労働参加率が上昇したものの前月比2.7%増の531.7万人と、4ヵ月ぶりに増加した。男性が前月比15.9%増の272.2万人と4カ月ぶりに増加し押し上げた半面、女性は同8.3%減の259.2万人と4カ月連続で減少した。 チャート:職を望む非労働力人口、男性が減少し女性が増加 (作成:My Big Apple [&hellip

中国の偵察気球問題、バイデン大統領による一般教書演説へのインパクト

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President Biden’s State Of The Union Could Be Clouded By China’s Spy Balloon. バイデン大統領は2月7日に行う一般教書演説を、景気後退懸念を吹き飛ばす米1月雇用統計を手掛かりに自身の功績を米国民にアピールする機会と捉えていたことでしょう。そこへ中国偵察気球が米国本土を横断、2月4日に米軍がサウスカロライナ州沖で撃墜したものの、風向きが変わりつつあります。 そもそも、2月5~6日にブリンケン国務長官の訪中を控え、国務長官としては5年ぶりとなる習近平主席との会談まで予定していました。当然ながら、中国の偵察気球を確認された2月3日に訪中の延期が決定されたわけですが、一体なぜこのタイミングだったのでしょうか? BBCは、独立系軍事アナリストの分析として「中国は関係を改善したい一方で、必要な手段を用いて持続的な競争する用意があることを、緊張を極度に高めない方法で伝えようとした」と報じていました。あるいは、バイデン政権が中国との関係改善をどれほど望むのかを試した可能性も捨てきれません。 画像:1月26日、ホワイトハウスで春節を祝うイベントに出席したバイデン大統領夫妻 (出所:The White House/Flickr) そもそも気球は、戦闘機やドローンより簡単かつ安価に組み立てられます。中国外務省が2月3日が「民間の気象観測用」と説明した通り、中国が「危機を極度に高めないよう」米国にメッセージを送ることも可能です。また気球は、航空機や戦闘機より飛行距離が格段に長いという利点もあり、ギネス記録は1999年3月1~21日の4万814kmに及びます。対して旅客機はボーイング787型機で1万3,620kmですから、その長さが分かりますね。ちなみに、北京からNYまで約1万㎞ですから、気球であれば難なく飛行できます。 ワシントン・ポスト紙が掲載した中国の偵察気球の推定飛行ルートをみると、太平洋をわたり1月28日にアラスカ州アリューシャン列島で発見され、モンタナ州を始め大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射施設や、空軍基地、原子力施設がある地点の上空を通過していたとされます。その大きさはトラック3台分、直径30mとされ太陽光パネルなども設置されていたとか。中国外務省が2月3日に説明したような、「気象観測用」にしては規格外ということも事実。孫氏の兵法にある「兵は詭道なり」、との名言が頭に浮かんでしまうのは筆者ばかりではないでしょう。 単純に考えれば、一連の米国側による対中強硬策への”報復”のようにみえます。過去数カ月の間で、バイデン政権は以下の措置を講じました。 ・2022年10月 半導体製造装置をめぐり対中輸出規制を強化 ・2022年12月 州議会で、TikTokの使用禁止法案が次々に成立 ・2022年12月 中国の半導体メーカーなど36の企業や団体を事実上の禁輸リストに追加 ・2022年12月 2023年度国防授権法案を可決、台湾支援予算含む ・2023年1月 米下院が中国特別委員会を設立 ・2023年1月 米韓エネルギー・商業委員会、TikTokの最高経営責任者(CEO)を招いた公聴会を3月23日に開くと発表 ・2023年1月 日米蘭、対中半導体輸出規制で合意 ・2023年2月 米国、台湾に近いフィリピンの軍事基地4か所の使用権を獲得 ただし、仮に中国が挑発行為に踏み切る決断をしたのであれば、非常に危険な賭けだったことに違いありません。両国の衝突リスクはもちろん、足元で米下院は対中強硬派ぞろいの共和党が僅差ながら多数派を握っています。実際、バイデン政権の対応をめぐり「弱腰だ」、「撃墜に時間を掛け過ぎた」と非難轟々です。 米国防総省によれば、トランプ前政権でも同様の中国偵察気球が米国上空付近を飛行したとされています。エスパー元国防長官は認識していないと否定していますが、中国の偵察気球をめぐり民主党と共和党の対立が一段と激化しないとも限りません。 米国民の感情を逆なでしたことは間違いないでしょう。ただでさえ、対中高感度は低下の一途をたどり、ピュー・リサーチ・センターが22年9月に発表した世論調査結果では、ご覧の通り「好ましくない」が過去最悪の82%と記録を更新中です。 チャート:悪化をたどる米国人の対中感情 (作成:My Big Apple NY) バイデン政権としては、共和党の批判だけでなく米国民の声を聞く必要に迫られていることは間違いありません。ワシントン・ポスト紙/ABCが1月27日~2月1日に実施した世論調査では、民主党支持者と民主党寄りの無党派層の間で「2024年の米大統領選にバイデン氏以外の候補を望む」との回答が58%と、バイデン氏の再出馬を期待する回答の31%を上回っていました。今こそ、強い指導者たる存在感をアピールするときでしょう。 (カバー写真:The White House/Flickr)

バイデン大統領の2回目の一般教書演説、共和党との溝の深さを表す

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Biden Had To Briefly Pause His SOTU Address Due To Heckling From Republicans. バイデン大統領が2月7日、上下両院合同会議で一般教書演説を行いました。昨年は3月にずれ込みましたが、今年は従来通り2月となっています。 さて今回の一般教書演説、CNNによれば1時間12分44秒でした。前回の1時間1分50秒から延びた格好です。歴代でみると、過去最長のクリントン大統領(1時間28分49秒)、並びにトランプ前大統領の平均1時間20分以下ながら、再出馬アピールのため元気で闊達な様子をアピールしたかったのかも? バイデン氏は冒頭、マッカーシー氏の下院議長就任にお祝いの言葉を寄せ握手し「一緒に仕事ができることを楽しみにしている」と発言しました。インフレ抑制法やCHIPSプラス法の成立を始め、「就任以降、超党派で300本の法案を成立させてきた」とも言及。共和党を含め米国が一丸となって結束してきたと訴えました。 画像:マッカーシー下院議長と握手をかわすバイデン大統領 (出所:The Associated Press/Twitter) しかし、一般教書演説開始から約45分後に議場は緊張に包まれます。 バイデン氏が「富裕層に公平な負担をさせる代わりに、一部の共和党議員はメディケア(高齢者向け公的医療保険)と社会保障の支出を5年毎に削減することを望んでいる・・・また、他の共和議員は我々がもしメディケアと社会保障費を削減しないなら、米国史上で初の債務不履行に陥ると言う」と発言した時です。 共和党議員が一斉にブーイングで対抗、トランプ支持派で保守強硬派でツイッターアカウントが一時凍結されたことで知られるマージョリー・テイラー・グリーン下院議員に至っては「嘘つき!」と野次を飛ばす一幕がみられました。 画像:MGTが「嘘つき!」と叫んだワンシーン、リンクからはその他の共和党議員の表情が伺えます (出所:CSPAN/Twitter) バイデン氏の発言は、大混迷した下院議長選出に絡む下院の共和党保守強硬派とマッカーシー陣営の妥協を指します。こちらをご説明しましたように、下院の規則で債務上限引き上げは予算案と分けて採決、さらに債務上限引き上げには歳出削減が必要という規則が盛り込まれました。ロイターの報道でも、マッカーシー氏とバイデン氏との米債務上限引き上げ問題をめぐる2月6日の会談では、歳出削減につき議論の対立が確認できます。マッカーシー氏が債務上限引き上げに歳出削減を求めた一方で、バイデン氏は債務上限引き上げ後に歳出削減に応じると議論は平行線にとどまり、バイデン氏は一般教書演説で両者の意見の違いを世間にハイライトした格好です。 一般教書演説後、ペロシ前下院議長は「共和党議員は抗議し過ぎだ」とたしなめ、他の民主党議員は「子供じみた行動だ」と批判。両者の溝は、再び開いてしまったようです。 中国偵察気球については、後半で取り上げられました。 バイデン氏は「習氏に対立ではなく、競争を求める方針を明確にした」と言及。その上で「中国が米国の利益を増進し、世界に利益をもたらすことができる場合には、中国と協力することを約束する」とクッションを置いた後、「先週明らかにしたように、もし中国が我々の主権を脅かせば、国を守るために行動する。そして、我々はそれを実行した」と強調しました。また、「太平洋と大西洋のパートナーの間に橋が架けられつつある。そして米国に反対する賭けをした人たちは、それがいかに間違っているかを学んでいる」と対中包囲網が構築されつつある現状を訴えました。当初は中国との競争について言及する方針でしたが、中国偵察気球の撃墜などを受けて急遽変更したといいます。 米国防総省のライダー報道官は一般教書演説前、中国の偵察気球を撃墜直後に中国に国防相電話会談を申し出たところ、中国側が拒否したと明かしていました。足元、バイデン氏が2月6日に「米中関係、気球撃墜で弱まることない」と発言したように、中国との対話路線を維持すべく努力しているようです。 ロシアに対峙する姿勢も忘れません。NATOの下で結束しプーチン大統領による侵略に立ち向かったと強調。ウクライナ政府を支援する姿勢をあらためて打ち出しました。 ちなみに「中国」の言及回数は6回、「習(Xiと表現)」は1回、「プーチン」は4回、「ウクライナ」は2回でした。 その他、米株市場に影響しそうな注目ポイントは以下の通り。ねじれ議会ですので、バイデン氏が要請に共和党が多数派を握る下院が成立の障害となります。 ・米連邦政府のインフラ計画に使用する建設資材を全て国産とする”バイ・アメリカン”強化案を提案 ・自社株買いの課税(ご参照:インフレ抑制法)を現行の1%を4倍に引き上げるよう主張 ・資産10億ドル以上の億万長者向けにビリオネア・ミニマム税の導入を提案 ・迷惑料防止法の成立を目指す →インターネットや携帯電話乗り換える際に掛かる不当な請求のほか、ホテルが請求する”リゾート手数料”、航空会社が家族全員が近くに隣同士の席で一緒に座るための支払う費用など、少額だが中低所得者層に打撃となる手数料関連(英語でjunk fees)の廃止を柱とした法案可決を米議会に求めた。 CNNによれば、一般教書演説でバイデン氏が最も時間を割いて使用した言葉は以下の通り。 (作成:My Big Apple NY) ご覧の通り、「ヘルスケア」が8分57秒でトップでした。インフレ抑制法に盛り込まれた薬価削減などを訴えた様子が伺えます。また、米1月雇用統計の好結果を受けて、「経済」について6分56秒も言及し良好な景気をアピール。「警察」に5分28秒割いたのは、テネシー州メンフィスで発生した警官による黒人男性暴行事件の影響です。緊急事態解除を5月11日に控え、「コロナ」は2分38秒程度でした(ジル大統領夫人とハリス副大統領の夫とのキスがツイッターで話題になりましたが、これは正常化の印?ちなみに81歳のバーニー・サンダース上院議員は一人マスクを着用して参加)。また「ロシア/ウクライナ」は1分58秒、「中国」については1分46秒となっています。 CNNがSSRSと実施した世論調査では一般教書演説を聞いた視聴者の72%が「ポジティブ」と回答、前年の71%を上回りました。「非常にポジティブ」は34%と前回の41%から低下していましたが、2回目という事情があったのでしょう。 (カバー写真:CSPAN)

日銀総裁指名の植田氏に、サマーズ元財務長官が”エール”を送る理由とは?

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Kazuo Ueda Set To Become Next Bank Of Japan, And Summers Says He’s Japan’ Ben Bernanke. 日銀正副総裁人事、意表を突かれましたね。やはり、一筋縄ではいかないというべきか・・・。 政府は2月10日、日銀新総裁に経済学者で元日銀審議委員の植田和男氏(71歳)を、副総裁には内田真一理事(60歳)と氷見野良三前金融庁長官(62歳)を起用する方針を固めました。2月6日に日経新聞が雨宮副総裁に次期総裁を打診したと報じていましたが、雨宮氏は辞退したといいます。海外勢は雨宮氏が黒田総裁下で異次元緩和の枠組みを作り、政策面で主導した人物と認識していただけに、サプライズ人事と受け止められ、ドル円は報道直後に129円半ばへ急落しました。ただ、その後は131.40円台へ戻し、2月13日時点では132円前半まで切り返しています。 各報道にある通り、植田氏はマクロ経済や金融論の権威であり、東大教授を長く務めた後で1998年から2005年に日銀の審議委員を務めました。2000年の金融政策決定会合では、ゼロ金利解除に「デフレ懸念が再発するリスクがある」として、反対票を投じたことで知られます。日銀正副総裁人事に関わる海外発のニュースでも、例えば英フィナンシャル・タイムズ紙は、門間一夫元日銀理事のコメントを紹介し「植田氏は95~05年の間最もハト派寄りで・・・デフレへの戦いにコミットしていた。突如としてタカ派に転じて市場を驚かすとは思えない」と伝えました。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙も、「ゼロ金利支持派」と報じていたものです。 しかし、読売新聞が「2002年、日銀に対して物価の上昇率目標を掲げて金融政策を運営することを求める声が高まった際には、物価上昇に歯止めがかからなくなる恐れがあると、慎重だった」と伝えるように、ハト派というより経済情勢を冷静に見極め政策判断する人物と位置付けられることでしょう。 今後は、植田氏がマサチューセッツ工科大学(MIT)出身で、スタンリー・フィッシャー氏の教え子である点も注目されるのではないでしょうか。フィッシャー氏と言えば2005年5月から2013年6月までイスラエル中央銀行総裁を務め、2014年6月から2017年10月にはFRBの副議長の重責を担った人物であり、且つ多くの中央銀行家や閣僚メンバーなどを育ててきました。 フィッシャー氏の教え子、錚々たる教え子の面々 (作成:My Big Apple NY) 岸田首相は2月8日、次期総裁について「国内外に対する情報発信力を重視する」と語っていました。植田氏は、フィッシャー氏を通じ各国の中銀関係者を始め、国際金融に精通する面々との強いパイプを持つと考えられ、まさしく適任と言えるでしょう。実際、サマーズ元財務長官は早速、ブルームバーグに対し「植田氏は日本のベン・バーナンキだ」と指摘した上で、「ベンとほぼ同時期にMITで学び、ベンと同じ指導者のもとで学んだ・・・ソフトな語り口で学術的なタイプだが、決断力もある」と評価していたものです。 一方で、日銀によるイールド・カーブ・コントロール(YCC)の継続が難しいとの認識を示し、「植田氏の手腕が試される」と、同窓生へのエールも忘れません。バーナンキ氏と言えばFRB議長時代に金融危機を経てゼロ金利と量的緩和を導入しつつ、景気回復を待って2013年10月のテーパリングを決定、次期FRB議長のイエレン氏が2015年12月に利上げを開始する素地を築きました。ただし、リーマン・ブラザーズの破綻につながるサブプライム危機を許容し、理事時代に日本に送った大規模な国債買入実施というアドバイスを自ら実行せざるを得なくなった“実績”でも知られます。サマーズ氏との関係でいえば2015年、超低金利が続く理由として慢性的な需要低迷を表す“長期停滞(secular stagnation)”を論じたサマーズ氏に対し、バーナンキ氏は世界的な貯蓄過剰が背景と論じ、激しい衝突を展開したことが思い出されます。 サマーズ氏自身に視点を移すと、バーナンキ氏との大舌戦もさることながら、日銀が導入した当初こそ歓迎したものの、2022年に入りYCC解除を余儀なくされると予想しつつ、解除自体が困難になるとも指摘しました。また、白川前総裁が2月13日付の日経アジア版の寄稿で取り上げられたように、サマーズ氏は「日銀のインフレ率引き上げのための大規模な努力の完全な失敗は、中銀が金融政策を通じ必ずしもインフレ率を設定できるわけではないという、これまで金言のように扱われてきたことが実は誤りである可能性を示唆している」との見解を表明。日銀の政策に批判的な一面ものぞかせます。 岸田首相のいう「国内外に対する情報発信力を重視する」というのは、こうした批判と戦う力を求めているのかもしれません。 ちなみに、サマーズ氏のこうした見方は、米国が経験したYCCに歴史に根差すものと言えるでしょう。米国が第二次世界大戦に参戦した1941年、財政赤字拡大懸念に伴う金利上昇を抑制すべく、米財務省とFRBが協力して導入しました。戦後まもなく続き、米3ヵ月物米短期証券(TB)の利回り0.375%を目標に買入を行ったものです。ただし、需要急回復などでインフレ率が20%超えとなったため、3カ月物TBの買い入れの目標となる金利は1948年にかけて引き上げられ、短期金利に関する上限は事実上撤廃されました。一方で、米10年債利回り2.5%の上限は、トルーマン大統領(当時)がマッケイブFRB議長に国債価格の暴落こそ「スターリンが望んでいることにほかならない」と書簡を送ったこともあって暫く続いたものの、米財務省とFRBがアコードを締結する1951年3月で幕を閉じました。 日銀総裁人事に話を戻すと、植田氏は2月10日、記者団に対し「金融緩和の継続が必要」と述べましたが、「現状では」と付け加えることも忘れません。 足元でコストプッシュ型とはいえ日本がインフレに直面し金利に上昇圧力が掛かるなか、植田氏が実際に緩和修正に動くのか。 (作成:My Big Apple NY) まずは「現状の」政策姿勢が明らかになるであろう2月24日まで、待つ必要がありそうです。 (カバー写真:International Monetary Fund/Flickr)

第57回スーパーボウル、チーフスが3年ぶりに優勝!米株への影響は

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The Kansas City Chiefs Are Super Bowl Champions, How Will S&P 500 React? 第57回スーパーボウルが2月12日(現地時間)に開催され、アメリカン・フットボール・カンファレンス(AFC)のカンザスシティ・チーフスとナショナル・フットボール・カンファレンス(NFC)のフィラデルフィア・イーグルスが激突!結果は38対35でチーフスが逆転勝利し、3年ぶり3度目の優勝を飾りました。 画像:チーフス、38対35でイーグルを下す! (出所:Kansas City Chiefs/Twitter) 文章だけでは伝えきれないシーソーゲームで、まさに行ったり来たり、ハラハラドキドキ、目が離せない熱戦でした!Q4に35対35で同点からラスト残り8秒でフィールド・ゴールを決めるなんて、スタジアムに降臨した勝利の女神に愛されたとしか思えません。 MVPを獲得したのは、チーフスのクオーターバック、パトリック・マホームズ選手。2020年に弱冠24歳で制覇した当時より円熟味を増した頭脳プレーは、トム・ブレイディ選手の2回目の引退もあって、時代の移り変わりを感じさせます。 ちなみにバイデン大統領が一般教書演説でジョーク交じりに明かした通り、ジル夫人がアリゾナ州のステート・ファーム・スタジアムに赴きスーパーボウルを観戦しましたが、残念ながら応援するフィラデルフィア・イーグルスは一歩及ばず。2018年以来、5年ぶりの優勝とはなりませんでした。 画像:イーグルスのジャージを着用したジル夫人、背番号はもちろん”46” (出所:Jill Biden/Twitter) ハーフタイムショーは、歌姫リアーナが務めました。2016年以降、アルバムのリリースなし、ライブ・パフォーマンスも2018年2月のグラミー賞を最後にゼロ、2019年にハーフタイムショーの出演を断ったものの、2022年1月の第一子出産を経てスーパーボウルで堂々のカムバックです。しかも、真っ赤なアンサンブル姿でお腹をさすってステージをお腹をさすり、第2子の妊娠というニュースをドロップするというサプライズ演出を盛り込むなど、RiRiワールド炸裂!さすがに2013年のビヨンセや2020年のジェニファー・ロペスとシャキーラのようなキレッキレのパフォーマンスとはなりませんが、カリブに浮かぶ島バルバドス出身のリアーナらしい脱力感のあるライブ・パフォーマンスで観客を沸かせました。 画像:リアーナのハーフタイムショーは、YouTubeでチェック可能 (出所:NFL/Twitter) さて、ここで気になるのがやはりスーパーボウル・アノマリー。NFCに所属するチームが優勝すればS&P500がその年に陽線引けし、AFCのチームが制すれば陰線引けするというものです。 今年はAFCに属するチーフスが頂点に立ったため、下落のサインが点灯したことになります。。 しかし、足元でスーパーボウル・アノマリーは1勝6敗と負け続けており、チーフスが前回優勝した2020年、コロナ禍でS&P500は15.8%高を遂げました。しかも、スーパーボウルが初めて開催された1967年以降、チーフスは3回優勝経験があるなか、今年を除く2回優勝した際には前述の2020年と合わせ1970年も0.1%高ながら小幅に陽線引けしており2連勝中。スーパーボウル・アノマリーというより、チーフス・アノマリーでいえば、3度目の正直があり得る? ちなみに、スーパーボウル・アノマリーは56戦31勝25敗で勝率は55%。かつては1997年までの勝率は71%だったのですが、1998年以降、振るわなくなったのは米株高が続いたためと言えるでしょう。ITバブル崩壊以降、S&P500は続落していませんから、むしろアノマリーが外れた方が縁起がよさそうです! (カバー写真:Phillip Pessar/Flickr)




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