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米3月小売売上高、2ヵ月連続での減少率は過去2年で最大

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Retail Sales Marks The Worst 2-Month Back-to-Back Drop In 2 Years. 米3月小売売上高は前月比0.2%減と、市場予想の±0%を下回った。前月の0.3%減(0.1%増から下方修正)と合わせ、2ヵ月連続での減少率は2年ぶりのを記録している。米3月新車販売台数が約2年ぶりの水準へ減速したように、自動車が3ヵ月連続で減少。自動車を除いた場合も±0%と、前月通り(0.2%増から下方修正)となり、さえない。ただ、国内総生産(GDP)の個人消費のうち約4分の1を占めるコントロール小売売上高(自動車、燃料、建築材、外食などを除く)は前月比0.5%増と、前月の0.2%減(0.3%減から上方修正)から改善。1~3月期の前期比年率は4.1%増と、足元のトレンド保つ。 内訳をみると、主要13カテゴリー中で7項目がプラスとなり前月の4項目から増加した。今回は電化製品が好調だったほか、雑貨や服飾などが支えた。一方で原油価格が50ドル割れを迎えガソリンスタンドが2ヵ月連続で落ち込んだほか、自動車・部品や建築・庭園、外食も弱い。項目別の詳細は、以下の通り。 (プラス項目) ・電気製品→2.6%増>前月は0.4%増、6ヵ月平均は0.2%増 ・雑貨→1.8%増>前月は1.9%減、6ヵ月平均は0.2%増 ・服飾→1.0%増>前月は2.7%減、6ヵ月平均は0.2%減 ・非店舗(オンライン含む)→0.6%増=前月は0.6%増、6ヵ月平均は0.8%増 ・食品/飲料→0.5%増>前月は±0%、6ヵ月平均は0.2%増 ・一般小売→0.3%増>前月は0.4%減、6ヵ月平均は0.4%増 (*百貨店は0.2%増>前月は1.0%減、6ヵ月平均は0.2%減) ・ヘルスケア→0.1%増<前月は0.9%増、6ヵ月平均は0.4%増 (マイナス項目) ・家具→0.3%減<前月は0.2%増、6ヵ月平均は±0% ・外食→0.6%減<前月は0.3%減、6ヵ月平均は0.3%減 ・スポーツ用品/書籍/趣味→0.8%減<前月は0.4%増、6ヵ月平均は0.3%減 ・ガソリンスタンド→1.0%減<前月は0.3%減、6ヵ月平均は1.1%増 ・自動車/部品→1.2%減<前月は1.5%減、6ヵ月平均は0.1%減 ・建築材/園芸→1.5%減<前月は2.6%増、6ヵ月平均は0.9%増 実質個人消費は、3月に改善するか見極めが必要。 (作成:My Big Apple NY) ――米3月小売売上高は3月半ばの大雪や米3月新車販売台数の不振を受けてヘッドラインこそ弱い数字でした。しかしGDPに反映されるコントロールではしっかりとした伸びを示し、引き続き個人消費が成長を押し上げていく見通し・・・かと思いきや、そうは問屋が下ろしません。米3月消費者物価指数がまさかの落ち込みを示し、実質消費の鈍化が見込まれます。アトランタ地区連銀は、結果を受け米1~3月期GDP予測値を従来の0.6%増から0.5%増へ下方修正しました。やはりトランプ政権発足後の経済は米株高や上振れしたセンチメントは、実体経済と乖離していたようです。 (カバー写真:Graeme Tozer/Flickr)

バロンズ:就任100日を控え、トランプ米大統領の変心

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Barron’s : Trump’s 360-Degree Turn, Before Welcoming 100 Days. バロンズ誌、今週は薬価の下落で株価上昇が期待されるヘルスケア銘柄を取り上げる。2016年の米大統領選以降、薬価はツイッターによりその効能を失ってきた。エイズ患者に必要不可欠な薬を55倍に及ぶ大幅値上げに踏み切ろうとしたチューリングのマーティン・シュクレリ前最高経営責任者(CEO)の例もあり、ヒラリー・クリントン候補は薬価抑制案を提示したものである。米大統領選は過去の話となったものの、トランプ米大統領は先月、製薬業界の競争を高める概要に触れ「アメリカ人は値下げを経験するだろう」とツイートした。ビジネス目線の政策が期待されるため、バイオ関連株は同ツイートから1週間後に1%高へ転じたが、薬価を引き上げて利益を確保してきた製薬会社は転換点を迎えるだろう。 トランプ政権が行動に出なくとも、特許の期限切れを迎えるなど市場原理で薬価は下落せざるを得ない。ただし、バロンズ誌はレジェネロン・ファーマシューティカルとヴェルテックス・ファーマシューティカルズは新薬開発と患者数の増加を頼りに成長が期待できると指摘する。詳細は、以下をご覧下さい。 トランプの転換=Trump’s About-Face. 「愚かな一貫性は狭い心が化けた物である」とは、哲学者ラルフ・ウォルドー・エマーソン氏の名言だ。しかし、ドナルド・トランプ米大統領は小さな心そのものを証明している。 先週、就任100日を前にトランプ米大統領はあらゆるテーマで意見を反転させた。北大西洋条約機構(NATO)は最早「時代遅れ」ではなく、輸出入銀行は不必要でなくなり、中国を為替操作国と認定しないと発言。さらには、ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙のインタビューで、医療保険制度改革(オバマケア)撤廃・代替案移行をめぐり360度転換し政権が最優先する課題だと伝え、「驚くべき」税制改革を事実上、棚上げした。 取引が得意なトランプ米大統領にとって中国を為替操作国と認定しない、貿易条件を有利にするとの発言は、金日成生誕105周年記念を前に北朝鮮問題で中国の支援が必要と算段した上での決断だろう。人民元をめぐっては、人民元買い・ドル売り介入で人民元を支えていた実体への理解でもあるはずだ。 強いドルをめぐっては、態度を一貫させている。WSJ紙で「ドルは強過ぎる」とあらためて表明した。 戦後の米大統領、就任100日の支持率は以下の通り。 (出所:The American Presidency Project) しかし、米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長をめぐる対応では方針を180度転換しつつある。イエレンFRB議長を「彼女が好きだし、尊敬している」と評価しただけでなく、議長を再指名するか否かについて明言を避け「時期尚早」と言及するにとどめた。低金利を好むコメントすら飛び出す有様で、かつて選挙中にCNBCで「恥を知るべきだ」と口撃していた時とは雲泥の差である。 トランプ米大統領が低金利政策を支持する以前に、FF先物市場で利上げ織り込み度は低下している。年内あと2回、2017年で3回の利上げが想定されてきたが、6月利上げ織り込み度は10日週の終わりに50.1%と7日の55.6%から低下した。12月利上げは41.6%と、7日の55.8%から落ち込んだ。米10年債利回りも2.25%と、1ヵ月前の2.63%から大幅低下している。おまけに、金融セレクト・セクターSPDR(XLF)は9.3%下落、調整相場の10%に接近中だ。 経済指標も、変化しつつある。米4月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値が2004以来の高水準をつけたにも関わらず、米3月小売売上高は2ヵ月連続で減少、ガソリン価格が下落したものの裁量消費を押し上げられなかった。さらに、米3月消費者物価指数まで予想外にマイナスへ転落した。JPモルガンは携帯料金の値下げを挙げているが、それでも弱い。 マーケットは、リフレ・ストーリーはトランプ政権の税制改革や規制緩和が軸に展開されてきた。NFIB中小企業楽観度指数は2004年以来の水準へ急伸、まさにその期待を裏打ちしてきた。しかし、3月分は頭打ちの兆し見せただけでなく、NFIB中小企業楽観度指数のうち不透明指数は過去2番目の水準へ上振れした。内政ではなく海外に目を向け地政学リスクに対応するトランプ米大統領の変心は、メインストリートだけでなくウォールストリートを揺るがしうる。 ——筆者は以前からイエレンFRB議長の続投を念頭に入れていたので、トランプ米大統領の方向転換は意外性を感じていません。そもそも政権内でクシュナー上級顧問をはじめコーン国家経済会議(NEC)議長をはじめとしたNYリベラル派閥が勢力を強めれば、イエレンFRB議長を更迭するとは考えられない。そもそもクシュナー上級顧問とコーンNEC議長は民主党寄りで、イエレンFRB議長も民主党側の人物です。またコーンNEC議長と言えばゴールドマン・サックス時代にフィクスト・インカム部門を率いており、当時チーフエコノミストだった現NY連銀のダドリー総裁と太いパイプがないわけがありません。 また地政学的リスクの傾倒、特にシリア攻撃は党派を超えた結束をつかむ糸口との計算が働いたものと考えられます。ロシア・ゲートを世間の目から逸らすことにも成功したはずです。北朝鮮問題は、中国との交渉カードとして有効との印象を与え、為替操作国認定をしない言い訳が出来上がりました。一連の決断は絶妙でしたが、市場は経済指標の鈍化とともに税制改革や規制緩和の立ち後れに見逃しておらず、好調だった銀行決算にも反応薄。トランプ米大統領は、就任100日に過去最低の支持率を記録する運命から逃れられそうにありませんね。 (カバー写真:Gage Skidmore/Flickr)

為替報告書、監視リスト対象国や条件を前回から変更せず

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Treasury Says China Isn’t a Currency Manipulator After Trump’s About-Face. トランプ米大統領が中国を「為替操作国と認定しない」と発言した通り、4月公表分の為替報告書は前回分から大きな変更はありませんでした。 監視リスト対象となる3つの条件をはじめ、全体的に前回の流れを維持。トランプ米大統領は選挙中を含め日本や中国に対し自国通貨安に誘導しているとの批判を展開してきましたが、北朝鮮問題を抱えるなか矛先を一旦収めた格好です。 また監視リスト対象国も前回通りで日本や中国、ドイツ、台湾、韓国、スイスの6ヵ国・地域を挙げました。スイス以外は3回連続、スイスは2回連続となります。 (作成:My Big Apple NY) 今回、中国と台湾を除く4ヵ国が2つの項目に該当していました。中国は前回と変わらず貿易赤字、台湾は介入が減って経常黒字のみとなっています。 中国をめぐっては、足元の人民元買い・ドル売り介入には言及せず、過去10年間にわたって人民元の上昇を回避する介入を行ってきたと説明。貿易の「歪み」をもたらし、「米国の労働力や企業に長きにわたる大いなる困難を与えてきた」との見解を寄せています。また、貿易赤字をめぐり「二国間の貿易黒字(中国の貿易黒字)を縮小する上で進展が見られず懸念している」と指摘。その上で「中国が米国に対し一段の市場開放を進め、内需主導の経済へ早急に改革を行うことが二国間の貿易収支の縮小を支援する」と結論づけていました。 日本については、経常収支につき対外収支がプラスで黒字を支えていると説明しつつ貿易も重要な牽引役だと指摘。日本経済をめぐっては「内需の伸びが引き続き弱く、異例なまでにインフレは低水準にある」ため、「あらゆる政策手段を使うことが必要」との認識を示します。その上で「緩和的な金融政策や柔軟な財政政策に加え、労働市場、生産性引き上げ、長期経済見通しを改善する上で構造改革の実施を意味する」と結びました。緩和的な金融政策の実施継続の言及をはじめ、大枠は前回と変わらず。確かに「実効実質為替レートで20年平均から20%円安方向にある」との指摘を確認していますが、その後に「国際通貨基金(IMF)の評価で、円は概して中期的なファンダメンタルズに沿って推移している」と続くため、日本を名指しにして是正を求める構えというわけでもないでしょう。 (カバー写真:Treasury)

米3月CPI、予想に反し前月比で13ヵ月ぶりのマイナス

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Consumer Price Index Unexpectedly Falls First Time In 13 Months. 米3月消費者物価指数(CPI)は前月比0.3%低下し、市場予想の±0%から下振れした。2月の0.1%はもちろん、2013年2月以来の強い伸びを示した1月の0.6%から大幅減速し、13ヵ月ぶりのマイナスを示す。原油先物が50ドル台を割り込んだ影響で、エネルギーが3.2%低下し、前月の1.0%から下げ幅を広げた。ガソリン価格も6.2%低下し、前月の3.0%低下からさらに大きく落ち込んだ。エネルギー情報局(EIA)によると、ガソリン平均価格は3月に一時2.315ドルをまで下落しつち2月の2.3ドル割れを回避したが、全体的に軟調だった。一方で、食品・飲料は0.3%の上昇、3ヵ月連続でプラスを保つ。 CPIコアは前月比0.1%低下し、市場予想の0.2%の上昇から転じた。2011年8月以来の高水準に一致した1月の0.3%の上昇、2月の0.2%の上昇にも届かず。2010年1月以来のマイナスを示す。項目別では、サービスが0.1%低下し、直近で久々にマイナスに転じた。帰属家賃が0.2%上昇しプラス圏を維持したものの、服飾が0.7%と3ヵ月ぶりに低下に反転。娯楽も±0%と上昇基調を4ヵ月で止めた。燃料価格の落ち込みを一因に、輸送は1.4%低下し前月の0.5%を含め2ヵ月連続でマイナス。新車が0.3%低下し2ヵ月連続で落ち込み、中古車に至っては0.9%の低下と減速が著しい。航空運賃も0.4%上昇したものの、前月の2.4%から鈍化した。 CPIは前年比で2.4%上昇し、市場予想の2.6%を下回った。2011年8月以来の高水準を示した前月の2.7%からも鈍化している。コアCPIは2.0%上昇し、こちらも市場予想の2.2%並びに2.3%に届かず。2015年11月以来の水準へ上昇率を縮小させた。 CPIの上振れは、一時的にとどまるのか。 (作成:My Big Apple NY) ――米3月CPIは予想外に下振れし、米3月生産者物価指数や米3月輸入物価指数と合わせインフレの減速を示しました。FF先物市場では2017年の利上げ織り込み度につき、年内あと1回が40%、2回が30%、据え置きが3月FOMC議事録発表後の12%から徐々に上昇し18%となっています。米3月小売売上高の減速と合わせ、アトランタ連銀の米1~3月期国内総生産(GDP)予測値は従来の0.6%増→0.5%増、NY連銀も従来の2.8%増→2.6%増へ下方修正してきました両者のかい離は一向に縮小する気配はありませんが、来週25日に予定する米1~3月期GDP速報値で、どちらの予測値が正しいか判明します。 (カバー写真:Franck Vervial/Flickr)

米4月NY連銀製造業景況指数、大統領選後の上昇をほぼ打ち消し

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Empire Falls To 5-Month Low, NAHB Builder Confidence Slows. 米4月NY連銀製造業景況指数と、米4月NAHB住宅市場指数をおさらいしていきます。 米4月NY連銀製造業景況指数(エンパイア)は5.2となり、市場予想の15.0を大きく下回った。前月の16.4にも届かず、米大統領選が行われた2016年11月以降の上昇をほぼ打ち消し、5ヵ月ぶりの水準へ鈍化している。2014年9月以来の高水準だった2月の18.7から低下を続けた。項目別では、新規受注が2桁の下げ幅を示し全体を押し下げている。しかし出荷や雇用、仕入れ価格は上昇、在庫は分岐点を回復した。詳細は、以下の通り。 ・新規受注 7、2016年11月以来の低水準でも6ヵ月連続で分岐点乗せ<前月は21.3、6ヵ月平均は9.9 ・出荷 13.7、7ヵ月連続で分岐点乗せ>前月は11.3、6ヵ月平均は11.3 ・在庫 3.6、前月から分岐点を回復>前月はマイナス2.7、3ヵ月ぶりに分岐点割れ、6ヵ月平均はマイナス5.2 ・雇用 13.9、2015年3月以来の高水準で3ヵ月連続で分岐点乗せ>前月は8.8、6ヵ月平均は±0 ・平均労働時間 8.8、3ヵ月連続で分岐点乗せ<前月は15と2012年3月以来の高水準、6ヵ月平均は1.0 ・仕入れ価格 32.8、2012年5月以来の高水準>前月は31.0、6ヵ月平均は29.3 ・販売価格 12.4、10ヵ月連続で分岐点乗せ>前月は8.8、6ヵ月平均は11.3 ・入荷時間 16.1、3ヵ月連続で分岐点に乗せ2001年以来で最高>前月は10.6、6ヵ月平均は3.0 ・受注残 12.4、3ヵ月連続で分岐点乗せ<前月は14.2、6ヵ月平均は1.7 6ヵ月先見通し指数は31.0と、前月の33.9から低下し米大統領選以前の2016年8月以来の水準へ低下した。2016年12月に46.3と、2011年5月以来の高水準をつけてから伸び悩みを見せた。 ▽米4月NAHB住宅市場指数、税制改革など経済政策の立ち後れを意識し鈍化 米4月NAHB住宅市場指数は68となり、市場予想の70並びに2005年6月以来の高水準に跳ね上がった前月の71を下回った。金利が低下したものの、建設業者のセンチメントを押し上げられていない。トランプ米大統領が税制改革やインフラ投資などの成立が当初予定の8月以降にずれ込む見通しに言及したため、小幅ながら低下したとみられる。 内訳をみると、一戸建て現況指数が74と景気回復サイクルで最高をつけた前月の77を下回った。一戸建て見通し指数も75と、同じく直近で最高に並んだ前月の78以下に。見込み客指数も52と、前月の53に届いていない。 今回は、見込み指数のみ上振れ。 (作成:My Big Apple NYが作成) 発表元である全米ホームビルダー協会(NAHB)のエド・ブレイディ会長は、結果を受け「低下したとはいえ限定的で、全体的に堅調で力強い需要を確認している」と楽観的だ。デビッド・クロウ主席エコノミストも需要に自信を示しつつ、「規制に掛かる費用や建築材の値上がりといった生涯を抱える」との見解を寄せトランプ政権の規制緩和が望まれるとの見方をにじませた。 (カバー写真:Thomas Hawk/Flickr)

ミレニアル層の支出は、本当に“モノより思い出”型なのか?

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Do Millennials Really Spend Money On “Experiences” Over “Things”? ミレアニアル層といえば、皆様ご存知のイバンカ・トランプ氏をはじめとした主に1980~1999年生まれで2000年以降に20歳を迎える方々を指します。この世代と言えば学生ローンの負担増大に加え、トランプ政権発足前まで“長期停滞(secular stagnation)”の言葉が流行したように低成長並びに年収伸び悩みに直面しました。特に年収については大卒以上の年収は2015年のドルベースで5万7,803ドルと、2000年の5万9,657ドルを下回ったままです。 その結果、“モノより思い出”への支出が高まったとされています。住宅はもちろん自動車やブランド品といった高額商品を買い控え、思い出を共有できる外食のほかレジャー、スポーツにまわしているという説ですね。 確かにミレニアル層の支出項目シェアをみると、2005年と2015年で裁量消費の余地が狭まった様子が浮き彫りとなります。学生ローンの増加を背景に25歳未満の支出に占める教育のシェアは2005年の6.2%から8.5%、住宅も31.6%から35.0%へ拡大しました。25~34歳以下と合わせ医療保険制度改革の影響で伸びたヘルスケアを除く他項目の支出を抑制し、服飾や娯楽、自動車購入やガソリンを含む輸送で低下が目立ちます。 (作成:My Big Apple NY) 裁量支出の余地が限られるなか、ミレニアル層はどこへ支出しているのでしょうか?JPモルガン・チェースの調査からは、ミレニアル層の支出において旅行や娯楽、食事のシェアが高いことが分かりました。同層の支出動向が“思い出”を共有する支出に振り向けている様子が伺えます。。 (作成:JPモルガン・チェースよりMy Big Apple NY) やはり、ミレニアル層の間では“モノより思い出”の傾向が強いようです。 “モノより思い出”の消費は、ソーシャルネットワークの普及も重なってFOMO(fear of missing out)=“乗り遅れる不安”を煽りました。人気のアクティビティやレストラン、エンターテイメントなどへの支出を促す上で一助となったことは想像に難くありません。ヒット商品も生み出し、動画配信カメラの“ゴープロ”やウエラブル端末の“フィットビット”は株式上場まで果たしました。 筆者の身近でも、FOMOらしき行動を確認しています。ニューヨークに居住するアジア系の間で、言わずと知れた高級フレンチ“ダニエル”での食事が流行中なんですよ。一組の夫婦が結婚記念日に出掛けた日をきっかけに、誕生日やら海外からの友人のおもてなしなど少なくともここ数ヵ月で4組が訪れています。ミレニアル層と言えばお金がないことで知られますが、中国系を中心にアジア系は平均アメリカ人と比較して羽振りがよろしいようで・・。 (カバー写真:Rog01/Flickr)

アメリカ人の世代別信用スコアにみる、ジェネレーションXの悲哀

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Not Just Millennials, Generation Struggles Too. 米国で信用スコアと言えば、個人の支払能力を基に算出し銀行が融資を判断する上で重要な物差しです。 逆に言えば信用履歴がないも同然であれば、信用スコアは低くならざるを得ません。ミレニアル層の間で信用スコアが低水準である事情は年収の伸び悩みもさることながら、これが一因です。2009年5月にオバマ前大統領が署名したクレジットカード規制強化法案(CARD)では、21歳未満を対象としたカードの発行を禁止しました。支払い能力が正当と認められ保証人が存在する場合は可能とされたものの一般の学生で親が承認しなければ保有できず、信用を築く時期が遅れてしまったんですね。 さてミレニアル層の間で信用スコアが低いと申し上げましたが、アメリカ人全体と比較してみましょう。※ミレニアル層は1980~1999年生まれとして2015年ベースで16~35歳、ジェネレーションXは1965~1979年生まれで36~50歳、ベビーブーマー以上は1946~1964年生まれで51~69歳を表します。 (作成:My Big Apple NY) こうしてみると、ミレニアル層よりジェネレーションXの信用スコア並びに借入可能枠の低さ、債務額の大きさが気になりますよね。 それだけではありません。 ジェネレーションXは、サブプライム層の割合が高い点でも要注意。 (作成:My Big Apple NY) ジェネレーションXは社会人生活がようやく軌道に乗り初めてのマイホーム購入に踏み切る年齢であるだけに、債務負担が増えてしまうのでしょう。その間、滞納はもちろん必要限度額のみの支払いにとどめれば信用スコアは低下せざるを得ません。ジェネレーションXの間でサブプライム比率の高さには、同層の悲哀すら感じられます。 (カバー写真:Chris Devers/Flickr)

4月ベージュブック、“不透明性”の懸念後退を示す

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April Beige Book Shows Concerns Related To Uncertainty Have Eased. 米連邦準備制度理事会(FRB)が19日に公表したベージュブック(2月半ばから3月末までカバー)によると、米経済は拡大(increased)した。拡大ペースは「緩慢とゆるやかで均等に分かれた(equally split between modest and moderate)」とあり、「緩慢からゆるやか(from modest to moderate)」からの微修正にとどまっている。リッチモンド地区連銀がまとめた今回の詳細は、以下の通り。 (経済全般のセクション) ・経済活動は、「緩慢からゆるやか(from modest to moderate)」に拡大した ・回復ペースはセクターによって異なり、製造業は緩慢あるいはゆるやかに拡大し続けた(continued to expand at a modest to moderate pace)が貨物輸送は「わずかに鈍化した(slightly slowed) ・個人消費は「まちまち(varied)」で、自動車は力強かったものの非自動車は「幾分、軟調度合いが強まった(somewhat softer)」 ・観光と旅行は全般的に「回復した(picked up)」 ・住宅販売ペースが鈍化したものの、住宅建設の伸びは「幾分加速した(accelerated somewhat)」 ・商業施設など非住宅の建設は「力強さを維持した(remained strong)」が地域によって異なり、リースは「全般的に緩慢なペースで改善した(generally improved at a more modest pace)」 ・地区連銀報告の半分以上で融資額の「増加(increased)」を確認一方、1行のみ「ゆるやかな鈍化(down modestly)」を報告した。 ・非金融サービスは全般的に「堅調に拡大した(generally continued to expand steadily)」。 [&hellip

IMF、世界経済見通しを上方修正も米国は据え置き

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IMF Hikes 2017 Global Growth, But Leaves U.S. Growth Forecast. 国際通貨基金(IMF)は日、最新版の世界経済見通し(WEO)の最新版を公表しました。タイトルに「モメンタムは増してきたのか?(Gaining Momentum?)」を掲げた今回、2017年の世界成長見通しを従来の3.4%増から3.5%増へ上方修正した一方、2018年は3.6%増で維持。先進国全体を上方修正しつつ、エマージング国全体は2017~18年ともに据え置きました。 IMFは、2017年の世界経済見通しを引き上げたものの「複数の潜在的な要因から下方リスクがある」と指摘。以下を挙げています。トランプ政権の通商政策を念頭に置いた姿勢は変わらず、前回に続き保護主義へのシフトに警鐘を鳴らしました。また中国での債務急拡大を前回に続き問題視し、金融引き締め策がもたらす悪影響に懸念を示しています。 1)保護主義を含めた内向きな政策による貿易、国境間投資の減少 2)米国が予想以上に利上げを行い、世界の金融市場で引き締め効果をもたらすと共にドル高が加速し、負の効果が全世界に波及 3)積極的な金融規制緩和が過剰なリスクテークがもたらし、将来の金融危機につながる可能性 4)中国や他エマージング市場国など、信用の伸び加速とバランスシート拡大を抑制する目的で金融引き締めに踏み切った場合の金融システムへの影響 5)過剰生産能力が高い先進国における弱い需要、低インフレ、弱いバランスシート、低迷する労働生産性といった負のループの増幅 IMFは今回、米国については据え置きました。2017年は2.3%増、2018年は2.5%増と予想しています。米国第一主義を掲げるトランプ政権が誕生しインフラ投資、税制改革、規制緩和を推進する見通しながら、「不確実性がある」と指摘。財政刺激が供給サイドの能力拡大につながらずインフレが予想以上に加速するならば、利上げペースを引き上げる必要があり、世界の金融市場に引き締め効果を与えると分析していました。金融規制を変更する場合は金融安定リスクを高めることを回避すべきとも主張し、規制緩和を目指すトランプ政権を牽制することも忘れません。19日に公表した“世界金融安定報告”でも、法人税減税によるリスクテーク増大が将来の金融危機をもたらす可能性を明確に指摘していました。 ラガルドIMF専務理事、20日のIMF会合に際し会見で「トランプ政権と協力していく」と発言。バロンズ誌はトーンが和らいだと報道しましたが、自由貿易こそ成長促進役との考えにも言及。。 (出所:IMF) BREXITの激震が走った英国は、2017年(前回1.5%増→2.0%増)と2018年(前回1.4%増→1.5%増)ともに引き上げました。国民投票でEU離脱が決定した後、イングランド銀行が利下げに踏み切るなど中銀が「適切な行動」を採ったため、負の影響が限定的になったと説明。金融市場の反応も悲観シナリオに傾かなかったと位置づけています。 仏大統領選挙を控え、フランスは2017年(前回1.3%増→1.4%増)のみ上方修正しています。2018年は1.6%増で据え置き。5月7日の決選投票ではEU支持派であるマクロン候補の勝利を描き、極右のルペン候補や極左のメランション候補の一騎打ちになると予想していないのでしょう。 中国は景気回復を背景に、2017年(前回6.5%増→6.6%増)と2018年(前回6.0%増→6.2%増)から上方修正されました。信用急拡大を受けた金融引き締め策の反動を懸念する一方、トランプ米大統領が米国第一主義に則り通商政策で中国に大幅譲歩を迫る想定していないと解釈できますね。 日本も、2017年(前回0.8%増→1.2%増)と2018年(前回0.5%増→0.6%増)そろって上方修正されました。円安効果に伴い「純輸出が押し上げ、経済活動は予想外に上向いた」と説明。2017年こそポジティブ・サプライズが期待されるものの、人口減少に伴う労働力不足が日本経済の重石になるとの考えを寄せました。 世界貿易動向では、2017年につき3.8%増で据え置きました。2018年は逆に前回の4.1%増から3.9%増へ下方修正。2016年の1.9%増をそれぞれ上回ったものの、2018年分は少なくとも2回連続で引き下げられました。 WEOのまとめ役であるモーリス・オブストフェル主席エコノミストは、結果を受けて「(成長)加速は先進国やエマージング国など広範囲にわたり、製造業や貿易でも強まりを示す」と評価しました。しかしモメンタムが増すなかでも「困難から脱したかどうかは定かではない」と発言。トランプ政権をはじめ内向き主義的政策の広がりに懸念を寄せ、「潜在的に保護主義的な手段から生じる打撃を回避するには、多国間で貿易を支える確約を新たにすることが必要になってくる」と主張しています。 以下は、各国・地域の成長見通しで()内の数字は前回7月分あるいはその後の改定値となります。 2017年成長率 世界経済→3.5%(3.6%) a先進国→2.0%(1.9%) aa米国→2.3%(2.3%) aaユーロ圏→1.7%(1.6%) aa独→1.6%(1.5%) aa仏→1.4%(1.3%) aa伊→0.8%(0.7%) aa西→2.6%(2.3%) aa日本→1.2%(0.8%) aa英国→2.0%(1.5%) aaカナダ→1.9%(1.9%) a新興国→4.5%(4.5%) aa中国→6.6%(6.5%) aaインド→7.2%(7.2%) aASEAN5ヵ国→5.0%(4.9%) aaブラジル→0.2%(0.2%) aaメキシコ→1.7%(1.7%) aaロシア→1.4%(1.3%) 2018年成長率 世界経済→3.6%(3.6%) a 先進国→2.0%(2.0%) aa米国→2.5%(2.5%) aaユーロ圏→1.6%(1.6%) aa独→1.5%(1.5%) aa 仏→1.6%(1.6%) [&hellip

バロンズ:米国の都市、ヘルスケアや教育で活況を取り戻す

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Barron’s : Healthcare And Education Make America Great Again In Small Cities. バロンズ誌、今週のカバーは投信情報会社モーニングスターの次期最高経営責任者(CEO)のクナル・カプール氏を取り上げる。クナル・カプール氏は41歳で1997年にアナリストとして入社してから頭角を現し、特にモーニングスター・インベストメント・サービシズの立ち上げに尽力した。金融アドバイザーはポートフォリオ・マネジメント・ビジネスを同サービスへアウトソースするようになり、モーニングスターでのポートフォリオ管理部門の口座は2,000億ドル、手数料収入は総収入7億9,900万ドルの17%に及ぶ。カプール新CEOが導くモーニングスターの詳細は、本誌をご覧下さい。 当サイトが定点観測する名物コラム”アップ・アンド・ダウン・ウォールストリート”、今週は米国内の都市経済に注目する。抄訳は、以下の通り。 トップ・エコノミスト、米国内の小都市の繁栄に注目=Top Economist Finds Small U.S. Cities Thriving. 「百聞は一見にしかず」——過去41年間で36回にわたりトップ・エコノミストに輝いた、投資会社エバーコアISIのエド・ハイマン氏は、こう語る。同社が40以上に及ぶ調査を経て、米国の都市しかも海岸沿いのメガロポリスではなく小都市が「活況を遂げている」といい、それはウォールストリートよりメインストリートにとって利点が大きい。各地を訪れるハイマン氏はイリノイ州シカゴ、ミネソタ州ミネアポリス、カンザス州カンザスシティといった都市だけでなく、アイオワ州デモインズ、サウスダコタ州スーフォールズ、オハイオ州コロンバス、インディアナ州フォート・ウェインなどが活況だという。 何が経済を押し上げているのか。ハイマン氏いわくヘルスケア、高等教育、それらに関わるスポーツ関連が支えになっている。例えばやや誇張の感は否めない者の、クリーブランド・クリニックと地元NBAチームであるクリーブランド・キャバリアーズのレブロン・ジェームス選手がオハイオシティの消費を刺激してきた。カリフォルニア州ロサンゼルスで映画産業が盛んだがジョージア州アトランタでも同様で、カントリーのメッカであるテネシー州ナッシュビルは音楽が有名だ。つまり、米国を再び偉大にしている産業は製造業ではない。 ミレニアル層(一般的に1980〜1999年生まれ、18歳から37歳を指す)にも、変化が現れ始めた。ハイマン氏いわくa3%に及び、全体の1%を上回るペースだと説明する。 ミレニアル層を含む年齢での労働指標、失業率以外は景気後退前の水準まで改善せず。 (作成:My Big Apple NY) ただし、全ての都市というわけでもない。フロリダ州タンパやカリフォルニア州パームビーチは好況だが、メキシコ湾岸や大西洋州は上昇気流に乗っていない。富裕層は経済にネガティブな見解を抱き、ハイマン氏にしてみれば混乱材料である。 世界の中央銀行が流動性を与えている点は、見逃せない。イングランド銀行と欧州中央銀行は過去3年以内に合計で2.14億ドル相当の債券を取得した。日銀と米連邦準備制度理事会(FRB)、ECBは13兆ドルに及ぶ資産を有し、世界全体の金利を抑制した。FF金利が0.8%であるところ、アマゾンの受注動向が上向き続けるのに理由はいらないだろう。 ただし、ハイマン氏は米株と米債市場には比較的控え目だ。S&P500は21日終値の2,349から2017年末に5%上昇の2,450、米10年債利回りは同2.24%から2.75%を予想する。実体経済をめぐっては、「トランプ米大統領を嫌悪しようが彼はポジティブであり、ビジネス推進派でアニマル・スピリットを呼び起こした」と評価した上で、財政刺激や規制緩和により支えられると見込む。 医療保険制度改革(オバマケア)撤廃と代替案移行、並びに税制改革が議題として戻ってきた。オバマケア撤廃・代替案移行の見通しは疑問の余地を残すものの、ムニューシン米財務長官は年内実施の可能性に言及、トランプ米大統領が語った「水曜日(26日)」辺りでの税制改革案提示と符号する。しかし地政学的リスクが台頭し、暫定予算の期限が切れる28日に政府機関の閉鎖が見込まれるため、ホライゾン・インベストメントのグレッグ・バリエール氏は議会が政府機関閉鎖の回避を優先すると想定する。議会は税制改革に対し強く支持するが、オバマケア撤廃と代替案移行はいくら共和党が上下院で多数派を握っていたとしても引き続き厄介なお荷物となるだろう。 5月3日に予定する四半期定例入札で、米財務省が50年債あるいは100年債など超長期債の発行を決断するか注目だ。JPモルガンは仮に50年債が発行されれば、30年債利回りを20bp上回ると予想する。21日終値での30年債利回りは、2.89%だ。ノムラ・インターナショナルは50年債の発行を見込み、30年債利回りを20〜25bp上回る水準を想定。ゴールドマン・サックス(GS)は、むしろ超長期債の発行に懐疑的だ。既にディーラーは需要に懐疑的であり、また50年債や10年債の発行は日和見的で、定例入札の慣行に沿わない。そもそも超長期債はインフラ投資への財源として発行される見通しで足元で何も決まっていない以上、発行する理由づけがないとGSは判断する。 金融市場は21日、第1回目の仏大統領選挙を控えて下落して取引を終えた。BREXITやトランプ米大統領の誕生もあり、何が起こるか分からない。 ——50年債や100年債の発行は、以前から何度か取り上げられてきました。トランプ政権の中核メンバーを4人も輩出したGSのほか、ソシエテ・ジェネラルも否定的。ムニューチン米財務長官も2016年11月や2017年2月に超長期債の発行に前向きな発言を展開していたものの、足元は言及していません。発行を決断する時期は5月ではなく、税制改革やインフラ投資をめぐる議論が高まってからでも遅くはないでしょう。 (カバー写真:Jason Mrachina/Flickr)

トランプ米大統領の100日計画、採点表

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President Trump’s 100 Days Scorecard. 4月29日に、トランプ米大統領は就任100日を迎えます。 その直前の28日は、暫定予算が期限切れを迎える日です。約2週間に及ぶイースター休暇を経て、米議会が残りの2017年会計年度の予算(4月29日~9月末)を成立させなければ、2013年10月の悪夢が甦ります。そう、政府機関の閉鎖です。 ポール・ライアン米下院議長は3月末、メキシコ国境の壁建設をめぐり「巨額であり、翌年度の予算割当になる」と発言していました。ところが4月24日、トランプ米大統領がツイッターで壁建設の必要性に言及。ワシントン・ポスト紙はテキサス州マッカレン周辺のリオグランデ・バレー、同州エルパソ付近、アリゾナ州トゥーソン、カリフォルニア州サンディエゴなど100マイル相当が重要地域で、初期費用として約36億ドルと試算したものです。スパイサー報道官も壁建設は明らかに優先事項と説明したため、政府機関閉鎖という最悪シナリオへの懸念が募りました。 幸い、トランプ米大統領は心変わりしたもよう。現地時間24日の夜に政権関係者の話として2017年度での壁建設費用を先送りすると伝えられました。就任100日を控え支持率は低空飛行を続けており、負け戦を回避したもようです。就任100日を前に、メキシコの壁建設がトランプ政権にとって優先事項とのメッセージを支持層にアピールするための打ち上げ花火だったとも捉えられるでしょう。 支持率は最悪期からは脱却も、40%台前半で低迷。 (作成:My Big Apple NY) さて、100日を控えトランプ米大統領はどんな実績を挙げたのでしょうか?数字を軸に簡単に振り返ってみましょう。 1.最高判事の指名 1人(ゴーサッチ氏) 2.米大統領令の署名、27本 (TPPの離脱、イスラム教国を中心とした入国禁止令、H1Bビザなど見直しなど) 3.署名した米大統領令のうち2本が差し止め (イスラム教国に対する入国禁止令、並びにその修正版) 4.ホワイトハウスでの執務日数 74日 5.ホワイトハウスの芝生に上がったトラックの数 1台 (トランプ米大統領がトラック業界の幹部との会合で、運転する振りをした) 6.11人の指導者を歓迎 (メイ英首相、安倍首相、トルドー加首相、習主席など) 7.マールアラーゴへ訪問数 7回 8.ゴルフコース訪問数 19回 9.国家安全保障問題担当の指名回数 2回(フリン氏、マクマスター氏) 10. 閣僚の指名承認数 22 11.  閣僚の指名承認待ち 3(ライトハイザーUSTR代表候補、アコスタ労働長官候補、パーデュ―農務長官候補など) 12. 法制化への署名 20本(うち10本はオバマ時代の規制) 13. ツイート投稿数 900回以上 14.  雇用統計・非農業部門就労者数 1~3月の平均 17.8万人増 翻って、トランプ氏が米大統領選挙中の2016年10月にペンシルベニア州ゲティスバーグで説明した100日計画は以下の通り。 ●ワシントンD.C.内にはびこる不正を一掃 △ ・議員の任期変更に関し、憲法の修正を提案 × ・軍人を除く政府機関の雇用を停止する大統領令に署名後、4月に解除 × ・新たな1つの規制導入に2つの規制を撤廃(大統領令で署名)○ ・ホワイトハウス高官、議員に対する5年間に及ぶロビイスト転身の禁止(大統領令で署名)○ ・ホワイトハウス高官による外国政府でのロビー活動禁止(米大統領令で署名)○ ・米国選挙での外国人ロビイストによる寄付金禁止(米大統領令で署名)○ ●米国労働者の保護 △ ・NAFTAの再交渉 ○ ・TPPの離脱 ○ ・財務長官を通じ、中国を為替操作国と認定 × ・財務長官と商務長官に指示し、不公正な貿易慣行を敷く国を洗い出し ○ ・シェールなどエネルギー生産関連の規制解除 ○ ・キーストーンパイプラインXLなどエネルギー・インフラの承認 ○ ・国連に対する気候変動関連の拠出を停止し、米国内の環境インフラ整備に振り分け △(予算案では打ち切り) ●安全保障、憲法、法制度の回復 △ [&hellip

トランプ政権、初の関税カードを切った相手はカナダ

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Trump Slaps Hefty Tariff On Canadian Lumber. トランプ米大統領は就任100日を控え、カナダ政府に噛みつきました。 ロス米商務長官は24日夜、声明でカナダから輸入する針葉樹の材木に平均20%の相殺関税を掛ける方針を表明。カナダの州政府が林業に低価格で材木の伐採並びに販売を承認していたと非難し、過去に遡り年間約50億ドル相当の対米輸出品を対象にすると明かしています。今回は仮決定で米商務省が最終決定を下し、かつ米国際貿易委員会(FTC)が米国内の関連産業を承認する必要があるものの、実質的にこのようなニュースが出れば反応が現れるものです。加ドルは24日から対ドルで1.1%下落、北米自由貿易協定(NAFTA)のもう一つのメンバー国、メキシコのペソも流れ弾を受け2.0%下落しました。 材木への相殺関税で対象となるカナダ企業は以下の通り。 (作成:My Big Apple NY) さらにロス長官は、同じ声明でカナダが米国からの一部乳製品の輸入を制限してきたと発言。24日付けのツイッターでは、トランプ米大統領も「カナダはウィスコンシン州などカナダ国境沿いで働く酪農家仕事を非常に困難にさせている。見ていろ!(Canada has made business for our dairy farmers in Wisconsin and other border states very difficult. We will not stand for this. Watch!)」と、援護射撃していました。 ウィスコンシン州は言わずと知れたスウィング・ステーツ(激戦州)で、2016年の米大統領選挙でもトランプ米大統領の誕生を決定づけた6州の一つですよね。4月18日に“米国製品を買い、米国人を雇用せよ”と題した米大統領令の署名した舞台も、ウィスコンシン州ケノシャを選んだことは記憶に新しい。ちなみに同州の農業収入は883億ドルのところ、約半分の434億ドルが酪農製品を占めています。牛乳生産量でカリフォルニア州に次いで全米2位、チーズでは全米1位なんですね。 2015年においてチーズの世界生産量は422.3億ポンド、トップは米国で118.4億ポンド(全体の28%)、そのうちウィスコンシン州が30.7億ポンドを占めます。ウィスコンシン州を国と仮定すれば、世界で堂々4位でした。 (作成:My Big Apple NY) 一方、カナダの針葉樹(Spruce=トウヒ、Pine=松、Fir=モミ)は米国の住宅建設にとって必需品であり、全米ホームビルダー協会(NAHB)は関税付与にも反対の立場を採ってきました。NAHBのシニアエコノミスト、ポール・エンラス氏は、2017年にわたり相殺関税19.88%を賦課されれば1)全米建設労働者の賃金が4億9,830万ドル押し下げられ、2)米連邦政府の歳入を3億5,020万ドル縮小し、3)8,241人に及ぶ正社員の雇用喪失を招く――と試算しています。 NAHBのブログでは、1月末から2月半ばまでに14%上昇したことを踏まえ4月末までに30%上昇すると仮定した上で、「注文住宅1戸当たりの木材費用は6万ドルなので、単純に1.8万ドルのコスト増加になる」との指摘を紹介していました。カナダ系金融機関のアナリストは「想定されていた45~50%より低い」とのコメントを寄せたものの、iシェアーズ米国住宅建設ETF投資信託 (ITB)が明けて25日に1%近く下落するはずです。 しかし、針葉樹の価格高騰は今年の1月から開始しているんですよね。トランプ政権発足を受け、米国-カナダ間で長年議論の対象となっていた材木に相殺関税が賦課されるとの観測が台頭するのに時間は掛からなかった。振り返れば、通商代表(USTR)のライトハイザ―候補が指名公聴会でUSTRの「優先事項」とまで証言していました。 1月27日から2月17日だけで毎週5%も急伸。 (出所:NAHB) 米大統領選挙中に槍玉に挙げた中国、メキシコを敢えて選ばず、カナダを標的に絞った理由は明白です。中国は北朝鮮問題を抱え、メキシコは不法移民の流入阻止や壁建設で協力を引き出す必要があります。その点、ウッドロー・ウィルソン・センターのカナダ・インスティテュートでディレクターを務めるローラ・ドーソン氏が「扱いやすい悪役」と評価したように、米国に痛手となる報復措置が見込みづらい。トランプ米大統領がキーストーン・パイプラインXL建設に青信号を与えた今、カナダにとって対米輸出の制限は得策ではないでしょう。米国の原油・石油製品の輸入量は2017年1月で33億1,630万バレルのところ、カナダは1億3,275万バレルと全体の40%を占め堂々トップです。米国でエネルギー生産が拡大するなか、2015年5月には1990年以来で初めて対米貿易収支が赤字に転落した通り、黒字を確保しづらい環境では尚更です。カナダが報復措置を講じる選択肢は、限られているといっても過言ではありません。 しかも今回の措置は、経済国粋主義者を自称するスティーブ・バノン首席戦略官の存在感をあらためて強調できます。コア支持層を安堵させる材料ともなり、トランプ政権としては勝算が大きいと判断したのでしょう。 (カバー写真:Stefan/Flickr)

米3月住宅着工件数は材木価格高騰たたるも、中古住宅販売件数は回復

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Housing Starts Decline While Existing Home Sales Rise To 8-Month High. 米3月住宅着工件数、米3月中古住宅販売件数、MBA住宅ローン申請件数指数、米2月S&P/ケースシラー住宅価格指数、米2月住宅価格指数をおさらいしていきます。 米3月住宅着工件数は年率121.5万件と、市場予想の125.0万件を下回った。2007年8月以来の130万件台に乗せた前月の130.3万件(128.8万件から上方修正)を6.8%下回り、4ヵ月ぶり低水準。景気後退以前の高水準という快挙を遂げた2016年10月の132.0万件でピークアウト感が漂う。北東部を襲った大雪が影響したほか、材木価格の高騰により大幅減となったようだ。前年比では9.2%減と、前月の7.4%増から加速した。 内訳をみると、一戸建てが前月比6.2%減の82.1万件と3ヵ月ぶりに減少し過去6ヵ月間で3回目の減少を示す。複合住宅は7.9%減の39.4万件となり、横ばいだった前月から減少に転じた。一戸建ての前年比は9.3%増と7ヵ月連続で増加し、複合住宅は8.8%増と4ヵ月連続で増加した。 4大地域別では、1地域のみ増加し前月の2地域から減少した。IT産業が集まる西部のみ16.0%減の28.4万件、複合住宅が集中する北東部は12.9%増の13.1万件と、それぞれ前月から増加に反転。住宅市場の規模が最大の南部は2.9%減の64.5万件と2ヵ月連続で減少、中西部は16.2%減の15.5万件と3ヵ月連続で減少した。 住宅着工件数は改善も、リセッション前の平均値は遠い。 (作成:My Big Apple NY) 米3月建設許可件数は126.0万件となり、市場予想の125.0万件を超えた。前月の121.6万件(121.3万件から上方修正)を3.6%下回る。内訳をみると、一戸建てが1.1%減の82.3万件と前月の増加から反転し過去6ヵ月間で2回目の減少に。複合住宅は逆に13.8%増の43.7万件と、増加に転じた。 米3月建設中件数は前月比0.2%増の108.5万件と、件数ベースでは少なくとも2007年12月以来の高水準となる。一戸建てが0.2%増の106.8万件と2ヵ月連増で増加した一方、複合住宅も0.5%減の63.1万件と減少に転じまちまちだった。 ▽米3月中古住宅販売件数、住宅書き入れ時にかけ需要回復示す 全米リアルター協会(NAR)が発表した米3月中古住宅販売件数は年率571万件と、市場予想の560万件を上回った。2007年2月以来の高水準を達成、前月の547万件(548万件から下方修正)からも4.4%増加している。前年比では5.4%増と、前月の5.6%増から鈍化しつつ7ヵ月連続でプラスだった。金利上昇が一服したため、一足早く住宅書き入れ時にかけ需要が回復したようだ。 内訳をみると一戸建てが508.0万件と、2月を除き2007年2月以来の500万件乗せを年初来で2回達成した。複合住宅は63.0万件と、前月の60.0万件を5.0%上回った。 4大地域別では、2月と反対に1地域を除き全て増加した。今回は住宅市場の規模が最大で、石油生産地で知られる南部が前月比3.4%増の242.0万件と3ヵ月連続で増加した。北東部は10.1%増の76万件と前月から増加に反転。中西部は9.2%増の131万件と、4ヵ月ぶりに増加した。反対にIT企業が集まる西部は1.6%減の122万件と、2ヵ月連続で減少している。 在庫件数は前月比5.8%増の173万件と、3ヵ月連続で増加した。2016年12月は165万件と1999年以来での最低を更新していたが、中古住宅での需給ひっ迫の厳しさが緩和してきた可能性を示す。在庫と販売ともに増加した結果、在庫相当は前月に続き3.8ヵ月だった。中央価格は前年比で6.8%上昇の23.64万ドル。米3月雇用統計で示された平均時給の上昇率を大幅に超えた水準を保つ。中央価格の前月比では3.6%上昇し、2ヵ月連続で上昇した。売り出し平均期間は34日と、前月の45日を下回り直近で最も短い。 買い手の内訳は、以下の通り。 ・差し押さえ物件 5%<前月は6%、前年同月は7% ・ショートセール(担保残債価額よりも安い価額で販売する住宅) 1%=前月は1%、前年同月は1% ・差し押さえとショートセールを合わせた不良債権物件 6%<前月は7%、前年同月は8% ・新規購入者 32%=前月は32%、前年同月は30% ・現金購入者 23%<前月は27%と2015年11月以来の高水準、前年同月は25% ・住居用ではなく投資向け 15%<前月は17%、前年同期は14% (このうち現金払いが63%、2015年4月以来の高水準だった2月の71%から低下) 中古住宅販売件数、一戸建てと複合ともにリバウンド。 (作成:My Big Apple NY) 発表元のNARのローレンス・ユン米エコノミストは、今回の結果を受け「昨年から住宅価格が上昇したものの、力強い信頼感と需要を背景に販売件数が増加した」と振り返る。また「在庫が毎月増加し、3月の好結果につながった」と説明。在庫が増加する限り、販売件数も支えられるとの楽観的な見方を寄せた。 ▽米3月新築住宅販売件数、北東部大雪跳ね除け8ヵ月ぶり高水準 米3月新築住宅販売件数は年率62.1万件と、市場予想の58.4万件を上回った。前月の58.7万件(59.2万件から下方修正)を5.8%上回り、3ヵ月連続の増加を経て8ヵ月ぶりに60万件へ乗せている。金利上昇一服を迎え、北東部では豪雪に見舞われたが大幅増を示す。 4大地域別では、2月に続き3地域で増加した。今回は北東部のみ25.8%増(前月から増加に反転)の3.9万件だったほか、西部が16.7%増(2ヵ月連続で増加)の17.5万件、南部も1.6%増の32.3万件だった。中西部のみ4.6%減の8.4万件となっている。 新築住宅販売件数、前月から回復。 (作成:My Big Apple NY) 在庫総数は26.8万件と、前月の26.5万件7.5%上回り8ヵ月連続で増加した。在庫相当は販売件数の伸びが在庫を超えたため前月の5.4ヵ月から5.2ヵ月へ短縮している。中央価格は31.51万ドルと前月の29.31万ドルから上昇、30万ドルを回復した。前年比では1.2%上昇し、過去最高を遂げた2016年9月の水準近くを維持。住宅買入れシーズンの開幕が近づくなか前月比では7.5%上昇し、3ヵ月ぶりにプラス圏を回復した。 ▽MBA住宅ローン申請件数指数、金利低下で借り換えが支え上昇全米抵当貸付銀行協会(MBA)住宅ローン申請件数指数は、4月21日週に前週比2.7%上昇した。3週連続で上向き、過去5週間で2回目のプラスを示す。借換が7.2%上昇の1365.8と、前週の0.2%を合わせ2週連続で上昇。ただし新規は1.0%低下の236.0と2週連続でマイナスだった。住宅ローン申請件数指数は前年比では18.3%低下し、借換が33.9%のマイナス、新規は0.4%の上昇だった。 30年固定金利型の住宅ローン金利(平均)は前週の4.22%から低下し4.20%となり、借換ともに上昇を促した。ただし、前年同期の3.85%を上回ったままだ。15年固定金利型(平均)は3.56%と、前週の3.64%から低下。FHAのローン金利は、前週まで2週連続で4.22%を経て4.08%だった。 MBA住宅ローン申請件数指数、金利低下も新規は伸び悩み。 (作成:My Big Apple NY) [&hellip

米4月フィリー、トランプノミクス実現への期待後退か4ヵ月ぶりの低水準

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Philly Fed Index Slides Again From 33-Year High. 米4月フィラデルフィア連銀製造業景況指数、米4月ダラス連銀、リッチモンド連銀製造業景況指数、米3月鉱工業生産、米4月マークイット製造業PMIをおさらいしていきます。 米4月フィラデルフィア連銀製造業景況指数(フィリー)は22となり、市場予想の25.5を下回った。3月の32.8や、1973年4月以来の高水準を遂げて2月の43.3からは低下している。税制改革の素案発表が4月26日まで遅れるなど、期待された経済政策が進展せずセンチメントが鈍化しつつあるようだ。内訳をみると、新規受注、出荷、仕入れ価格などが低下。雇用や在庫は改善している。詳細は、以下の通り。 ・新規受注 27.4、9ヵ月連続で分岐点乗せ<前月は38.6と1983年11月以来の高水準6ヵ月平均は26.7 ・出荷 23.4、12ヵ月連続で分岐点に乗せ<前月は32.9 と2004年7月以来の高水準、6ヵ月平均は24.0 ・在庫 17.8、2ヵ月連続で分岐点に乗せ少なくとも2015年2月以来の高水準>11.8、6ヵ月平均は3.8 ・雇用 19.9、5ヵ月連続で分岐点に乗せ2011年2月以来の高水準>前月は17.5、6ヵ月平均は10.1 ・週当たり平均労働時間 18.9、2004年2月以来の高水準>前月は18.5、6ヵ月平均は11.4 ・受注残 6.6<前月は14.4、6ヵ月平均8.2 ・入荷時間 13.2>前月は4.5、6ヵ月平均は6.1 ・仕入れ価格 33.7、14ヵ月連続で分岐点に乗せ<前月は40.7と2011年5月以来の高水準、6月平均は32.1 ・販売価格 16.6<前月は20.6、6ヵ月平均は16.5 6ヵ月先見通し指数は45.4と、米大統領選挙後の上昇を打ち消した。前月は59.5と、2003年9月以来の高水準を達成していた。 ▽米4月リッチモンド、ダラス連銀製造業景況指数は前月以下 米4月ダラス連銀製造業景況指数は16.8となり、市場予想の17を下回った。前月の16.9にも届かず。ただし、7ヵ月連続で分岐点を維持している。米4月リッチモンド連銀製造業景況指数は20と市場予想の15を上回ったが、前月の22には届かず。石油生産地域を含む両地区連銀のセンチメントはピークアウト感を漂わせている。 NY連銀やフィラデルフィア連銀など、各連銀の製造業景況指数はそろって前月以下。 (作成:My Big Apple NY) ▽米3月鉱工業生産、前月から回復も暖房需要が支え 米3月鉱工業生産指数は前月比0.5%の上昇となり、市場予想の0.2%を上回った。前月の0.1%の上昇(±0%から上方修正)に続き、2ヵ月連続でプラス。ただし北東部の大雪を受け暖房需要が全体を支えており、必ずしも製造業活動が回復の勢いを強めたとは言い難い。稼働率は76.1%と、市場予想に並びんだ。前月の75.9%(75.4%から上方修正)も超え直近で最高だったものの、リセッション前の80%に距離を残す。 内訳をみると、製造業(全体の78.5%)が足元久々に低下、米3月新車販売台数が軟調だったように自動車が弱い。自動車を除いた製造業も0.2%の低下となった。一方で公益(全体の10.8%)は、北東部を中心に大雪に見舞われたため暖房需要が高まり3ヵ月ぶりに大幅反発。鉱業(全体の10.8%)は原油価格が安定するなか、小幅ながら3ヵ月連続で上昇した。 ・製造業 0.4%の低下<前月は0.3%の上昇、6ヵ月平均は0.2%の上昇 あ自動車 3.0%の低下<前月は1.1%の上昇、6ヵ月平均0.4%の低下 あ機械 0.5%の低下<前月は0.7%の上昇、6ヵ月平均は0.4%の上昇 あコンピューター/電気製品 0.9%の上昇>前月は0.5%の低下、6ヵ月平均は0.5%の上昇 ・公益 8.6%の上昇>前月は5.8%の低下、6ヵ月平均は0.4%の低下 あ電力 7.0%の上昇>前月は5.5%の低下、6ヵ月平均は0.6%の低下 あ天然ガス 21.5%の上昇>前月は8.3%の低下、6ヵ月平均は2.6%の1.8%の上昇 ・鉱業 0.1%の上昇<前月は2.9%の上昇、6ヵ月平均は1.0%の上昇 鉱工業生産、回復の芽は伸びつつあるもまだ限定的。 (出所:My Big Apple NY) ▽米4月マークイット製造業PMI・速報値、米大統領選前の水準へ回帰 米4月マークイット製造業PMI速報値は52.8と、市場予想の53.8並びに前月の53.3を下回った。2015年3月以来の高水準だった1月の55.0から低下を続け、米大統領選後の上昇を打ち消し7ヵ月ぶりの低水準だった。 クリス・ウィリアムソン主席エコノミストは、結果を受け「2年ぶりの高水準をつけた1月から低下を続け、製造業活動が一段と鈍化した兆しを見せている」とまとめた。 (カバー写真:darkday/Flickr)

米4月消費者信頼感、地政学的リスク台頭で2000年以来の高水準から鈍化

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Consumer Confidence Dips From 17-Year High. 米4月消費者信頼感指数、米4月マークイット・サービス業PMIをおさらいしていきます。 米4月消費者信頼感指数は120.3となり、市場予想の122.5を下回った。2000年12月以来の高水準を達成した前月の124.9(125.6から下方修正)から鈍化している。内訳をみると、現況指数が140.6と、2001年8月の水準を達成した前月の143.1以下に。見通し指数も106.7と、2000年9月以来の水準へ上振れした前月の113.8を下回った。4月は医療保険制度改革(オバマケア)撤廃・代替案移行が失敗に終わった後、トランプ政権がシリア攻撃に踏み切ったほか北朝鮮問題など地政学的リスクが浮上。同時に、トランプノミクスの目玉の一つである税制改革が後ろ倒しになるとの観測が流れセンチメントを押し下げた。 発表元であるカンファレンス・ボードのリン・フランコ経済指標ディレクターは、結果に対し「2ヵ月にわたり急伸した後で低下したものの、引き続き高水準を維持している」と振り返った。その上で「経済成長が数ヵ月先に拡大していく」と予想しつつ、前回の「加速」から表現をトーンダウンした。 消費者信頼感指数、2000年12月以来の高水準から鈍化。 (作成:カンファレンス・ボードよりMy Big Apple NY) 今回は現状の労働市場に対し、「職が豊富」から「職探しが困難」を引いたDIは11.7と、2001年8月以来の高水準だった前月の12.8(修正値)を下回った。ただし、10ヵ月連続でプラス圏を維持している。以下は、結果の詳細。 ビジネス環境については、「良い」が低下し「悪い」が上昇 「良い」30.2%→前月の32.4%から低下、前年同月は24.2% 「悪い」13.8%→前月の13.1%から上昇、前年同月は18.2% 「普通」56.0%→前月の54.5%から上昇、前年同月は57.6% 労働市場については「豊富」が低下し「困難」が上昇、DIは10ヵ月連続でプラス 「職が豊富」30.8%→前月の31.8%から低下、前年同月は24.2% 「あまり職が豊富ではない」50.1%→前月の49.2%から低下、前年同月は53.0% 「職探しが困難」19.1%→前月の19.0%から上昇、前年同月は22.8% 6ヵ月先のビジネス環境への見方は、「良くなる」が低下し「悪化する」が上昇。 「良くなる」24.8→前月の26.9%から低下、前年同月は13.8% 「悪化する」10.9%→前月の8.5%から上昇、前年同月は10.8% 「変わらない」64.3%→前月の64.6%から低下、前年同月は75.4% 6ヵ月先の労働市場への見方は「増加」が上昇し「減少」が低下、5ヵ月連続で「増加」が「減少」を上回る 「雇用が増加する」23.0%→前月の23.8%から低下、前年同月は12.7% 「雇用が減少する」13.1%→前月の12.7%から上昇、前年同月は16.7% 「変わらない」63.0%→前月の65.5%から低下、前年同月は71.8% 6ヵ月先の所得への見方は「増加」が低下し「減少」が変わらず 「増加する」19.3%→前月の22.5%から低下、前年同月は15.8% 「減少する」7.5%→前月の7.5%と変わらず、前年同月は12.4% 「変わらない」73.2%→前月の70.0%から上昇、前年同月は71.8% 購入見通しは、住宅のみ低下し自動車と主要機器がそれぞれ前月値を上回った(自動車は前月の13.8%→14.2%と直近で最高、主要機器は前月の51.5%→52.6%と直近で最高、住宅は前月の6.2%→5.8%へ低下)。 ▽米4月マークイット・サービス業PMI速報値 米4月マークイット非製造業PMI速報値は52.5と、市場予想の53.2並びに前月の52.8にも届かなかった。2015年11月以来の高水準だった1月の55.6をピークに低下をたどり、米大統領選挙以前の2016年10月以来の水準へ押し返されたままだ。製造業と合わせた総合指数も52.7と、前月の53.0を下回り2016年10月以来の水準へ下振れしている。 クリス・ウィリアムソン主席ビジネス・エコノミストは、速報値から下方修正された結果を受け「1~3月期国内総生産(GDP)は前期比年率1.1%増、4~6月期は1.7%増」と見込んだ。雇用の鈍化にも着目し、「米3月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)が10万人を割り込む増加にとどまった内容と整合的」と指摘。ただ、あくまで米大統領選挙後の急伸からの調整であり「米経済は数ヵ月内に回復へ向かう」と楽観的だった。 ――4月26日に発表された小売売上高の修正を受け、米1~3月期GDP速報値をめぐり、エコノミストは予想を下方修正してきました。JPモルガンは従来の前期比年率0.6%増から0.4%増、UBSも0.9%増から0.5%増へ引き下げています。NY連銀の予測値は2.7%増でしたが、アトランタ連銀の予測値0.5%増に収れんしてきました。いよいよ明日(28日)は、米1~3月期GDP速報値の公表日でどちらの予測が正しいかが判明します。運命の女神は、どちらに微笑むのでしょうか? (カバー写真:Franck Michel/ Flickr)

トランプ政権の税制改革は、本当に”驚異的”か

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Is President Trump’s Tax Reform Really “Phenomenal”? 2月9日に「驚異的な税制改革を発表する」と豪語してから、約2ヵ月半。就任100日を控え漸く全容が明らかになりました。本当に”驚異的”だったのでしょうか? ムニューシン米財務長官とコーン国家経済会議(NEC)議長、ゴールドマン・サックス出身コンビが記者会見に臨んで配布した税制改革の“基本指針”は、記者団を驚きの渦に巻き込んだに違いありません。税制改革案が500語以下にとどまると、誰が予想したでしょうか。誰もが理解しやすいよう、配慮したのかもしれません。 (出所:Vox) 税制改革の柱である法人税は、共和党案の25%を採用せず報道通り選挙公約の15%を維持しました。米国企業による海外利益の本国送還を促進するため、一度限りの大幅なレパトリ減税も行う方針も表明。“地域的”な税制の導入、すなわち米国に本籍を置く企業の海外利益を法人税対象外とする計画も盛り込んでいます。ここでは明記していませんが、会見では特定目的会社(SPC・TMK)や有限責任事業組合(LLP)向けのパススルー課税も現行の39.6%から15%へ引き下げるといいます。プライベート・エクイティ(PE)やかつてのトランプ米大統領のような富裕層に、多大な恩恵を与える見通しです。 非営利団体の”責任ある連邦予算委員会(CFRB)”は、今回の税制改革に対しこのような試算を弾き出しました。一連の法人・事業体向け減税案は2027年までに利子を含め連邦債務を6.2兆ドル押し上げ、国内総生産(GDP)比では足元の89%から111%へ膨らむとか。国境調整税という歳入増の秘策をを打ち出せなかったため、法人部門だけでこの状態。財政面からは、確かに”驚くべき”税制改革といっても過言ではないでしょう。 (カバー写真:Conecta Abogados/Flickr)

トランプ政権発足直後、1~3月期GDP速報値は3年ぶり低水準

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U.S. Q1 GDP Growth Weakest In 3 Years as Consumer Spending Slows. 米1〜3月期国内総生産(GDP)速報値は前期比年率0.7%増と、市場予想の1.0%増を下回った。前期の2.1%増にも遠く及ばず、税制改革で年間3%成長を掲げるトランプ政権発足直後のGDPは、2014年4~6月期から開始したプラス成長トレンドで最低の伸びとなる。個人消費が落ち込み、全体の足を引っ張った。政治支出も、防衛支出が押し下げ成長にはマイナスを示す。 1〜3月期のGDPは前年同期比で1.9%増となり、前期の2.0%増から鈍化した。なお2016年通期のGDPは1.6%増と3年ぶりに2%台を割り込み、2011年以来で最低となる。2015年は2.6%増で、2006年以来で最高を示していた。 GDPの7割を占める個人消費は0.3%増と、前期の3.5%増から大幅減速した。個人消費の落ち込みには  1)新車販売台数の鈍化、2)ガソリン価格の伸び悩み、3)暖冬の影響で電力消費が軟調、4)確定申告での税金還付の遅れ――など4つの特殊要因が挙げられる。GDPの寄与度は0.2%ポイントと、前期の2.4%ポイントを著しく下回った。 ▽個人消費の内訳 ・耐久財 2.5%減<前期は11.4%増と2014年4〜6月期以来で2番目の高水準 ・非耐久財 1.5%増、2期連続でプラス<前期は3.3%増 ・サービス 0.4%増、2013年4~6月期以来の増加トレンドで最低>前期は2.4%増 民間投資は改善が進んだ。項目別では、企業の設備投資の一角を担う構築物投資や機器投資が大幅改善している。無形資産投資も改善し、住宅投資も大幅増に。ただし在庫投資が全体の重石となり、民間投資の寄与度0.69%ポイントと2015年1~3月期以来の高い伸びを遂げた前期の1.47%ポイントから鈍化した。足を引っ張った在庫投資の寄与度はマイナス0.93%ポイントと、3期ぶりのマイナスに落ち込んだ。 ▽民間投資の内訳 ・民間投資 4.3%増、3期連続で増加<前期は9.4%増、2015 年1~3月期以来の高水準 ・固定投資 10.4%増、3期連続で増加し2012年1~3月期以来の高水準>前期は2.9%増 ・非住宅(企業の設備投資) 9.4%増、4期連続で増加市2013年10~12月期以来の高水準>前期は0.9%増 あ構築物投資 22.1%増、2014年1~3月期以来の高水準>前期は1.9%減 あ機器投資 9.1%増、2期連続で増加し2015年7~9月期以来の高水準に並ぶ>前期は1.9%増 あ無形資産 2.0%増>前期は1.3%増、2015年7〜9月期以来の低水準 ・住宅投資 13.7%増、2期連続で増加し2015年4~6月期以来の高水準>前期は9.6%増 ・在庫投資 103億ドル、3期連続で増加<前期は496億ドル、2015年10~12月期以来の高水準 Q1GDP速報値、個人消費がコケれば失望的な結果に終わるという教訓に。 (出所:MGSSI) 純輸出は貿易赤字が当初予想されたほど拡大せず、若干ながらプラス寄与した。政府支出は防衛支出の落ち込みを背景に前期の±0%ポイントからマイナス0.30ポイントへ沈んだ。 ▽純輸出 ・純輸出の寄与度 0.07%ポイント>前期はマイナス1.82%ポイント、4期ぶりにマイナスに転じ2015年1~3月期に並ぶ弱さ ▽政府支出 ・政府支出 1.7%減、3期ぶりに減少<前期は0.2%増 ・連邦政府 1.9%減、2期連続で減少し2014年10~12月期以来の低水準<前期は1.2%減 (連邦政府は防衛支出が4.0%減と押し下げ、非防衛財も0.9%増と1年ぶりの低水準) ・州政府・地方政府 1.6%減<前期は1.0%増、3期ぶりに増加 GDPデフレーターは前期比2.3%上昇し、前期の2.1%を超え直近で1年ぶりの力強い水準へ戻した。PCEデフレーターも2.4%上昇し、前期の2.0%から加速しただけでなく2011年以来の高水準。原油価格がピークアウトする以前である2014年1〜3月期以来の水準を示す。コアPCEデフレーターも2.0%上昇、前期の1.3%を大幅に上回り1年ぶりにFOMCのインフレ目標値「2%」へ回帰した。 ――米1~3月期GDP速報値は、前述の通り個人消費が4つの要因  1)新車販売台数の鈍化、2)ガソリン価格の伸び悩み、3)暖冬の影響で電力消費が軟調、4)確定申告での税金還付の遅れ――により予想外に落ち込みました。少なくとも3)と4)は4~6月期に影響が及ぶ公算は小さい。問題は1)と2)で、特に1)の新車販売台数は銀行がサブプライム層の融資に抑制的となれば、軟調なペースが続かないとも限りません。5月1日に公表となる上級銀行融資担当者調査の結果に注目です。 今回のGDPは、暗いニュースばかりではありませんでした。4月25日に発表した資本財大手キャタピラーの決算で通期見通しを上方修正したほか複合大手3Mの決算も好調だったように、設備投資など企業部門の支出動向が改善しつつある兆しを確認しています。住宅投資も金利上昇が一服するなか成長を支えており、4~6月期は少なくとも前期比年率2%近い数字を叩き出す余地がありそうです。 (カバー写真:Heidi/Flickr)

バロンズ:トランプ政権の税制改革に立ちはだかる壁

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Barron’ s : The Ambitious Trump Tax Plan Faces Hurdles. バロンズ誌、今週のカバーは資本財メーカー大手キャタピラーを挙げる。4月24日週に決算発表を行った同社の株価は通期見通しを引き上げたため株価は8%上昇し、2014年12月以来となる3桁台の102ドルを超えて引けた。同社は業績見通しで商品価格の回復や中国からの受注改善に加え、インフラ投資拡大や税制改革などを掲げるトランプ政権発足に伴うビジネス重視の政策期待が奏功し 米国内からの需要の上向きを指摘。バロンズ誌は、同社が増益・株価上昇トレンドをひた走る可能性を見込む。詳細は、本誌をご覧下さい。 当サイトが定点観測する名物コラム、アップ・アンド・ダウン・ウォールストリート、今週はトランプ政権の税制改革に焦点を当てる。抄訳は、以下の通り。 トランプの税制改革へ向けた大いなる挑戦=Trump’s Big Tax Challenge. 就任100日を振り返り、トランプ大統領はロイターとのインタビューで「(大統領就任)以前の人生が大好きだった。あらゆることが上手くいっていた」。しかし、1月20日で全てが変わった。トランプ大統領は「かつての人生よりやるべきことが多い。容易だと考えていたのに」と語る。 選挙中に公約として挙げていた政策の変更は、ほとんど成し遂げられていない。例えば就任初日に中国を”為替操作国”と認定すると発言していたが、北朝鮮問題で中国の習近平首席と協力している。 政府機関の閉鎖は、少なくとも1週間にわたって回避された。税制改革は1ヵ月以上の遅れを経て、ムニューシン財務長官と国家経済会議(NEC)のコーン議長が1ページの基本方針を表明。内容は選挙中での公約に沿い税基盤を広げるとともに税率を引き下げつつ、詳細には触れていない。所得税については7つの区分から10%、25%、35%の3区分へ簡素化し、基礎控除を2倍に引き上げ、住宅金利や寄付、退職後の貯蓄を除き項目別税控除を廃止する。医療保険制度改革(オバマケア)の収入源として課された、高所得者層の投資収益に対する3.8%の付加税も撤廃。法人税をめぐっては、現状の35%から15%の引き下げを提案した。 一連の内容は、鈍い経済を刺激する上でサプライサイドに着目した処方箋の基本であると共に、民主党がトリクルダウン・エコノミーの失敗だと冷笑する手段だ。州税と地方税の税控除廃止には州税が高いニューヨーク州やニュージャージー州、カリフォルニア州を中心に共和党議員を含め反対してくるだろう。 税制改革に関わる数字はコストと合わせて検討すべきで、たとえコストを含んでいたとしても修正に直面するに違いない。レーガン元大統領1期目で財務長官を務めたドナルド・リーガン氏は、税制改革案がワープロで作成されたと語ったが、これは修正される運命を示唆していた。 グラスキン・シェフのチーフエコノミスト、デビッド・ローゼンバーグ氏いわくトランプ政権では、レーガン元政権が直面しなかった3つのDすなわち、Debt(債務)、Deflation(デフレ)、Demographics(人口動態、高齢化を指す)に対応する必要がある。債務をめぐってはレーガン元大統領が就任した直後の連邦債務は国内総生産(GDP)比25%にとどまったものの、足元では80%近い。マッキンゼーの調査では、連邦債務をGDP比で25%削減させるには6〜7年かかる。現状で債務縮小は民間で進んだが、政府ではまだ始まってもいない。 米国の連邦債務、GDP比の推移。 (作成:My Big Apple NY) ケインズ派の教科書が示す通り、債務は経済を刺激するというより鈍い成長と関係がある。債務は価格に下方圧力を与え、携帯料金にまで及び始めた。デフレ圧力は、残存していると言えよう。 2016年と言えばBREXITと米大統領選が想起されるだろうが、レーガン元政権時に消費と所得のピークを迎えていたベビーブーマー世代が70代に差し掛かった年でもある。人口動態で米国は高齢化を迎えるなか、貯蓄不足を背景に65歳以上の労働人口はどの年齢層より速いペースで増加中だ。 財政より経済に影響を与える金融政策は、正常化の最中にある。5月2〜3日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利上げを控えようが、市場は6月13〜14日開催のFOMCでの利上げを織り込む状況だ。利上げは経済成長が鈍化するなかで進められる見通しで、米1〜3月期GDP速報値は3年ぶりの低水準にとどまった。トランプ政権の税制改革やインフラ投資拡大の見通しに関わらず、米国の成長は鈍いままだ。しかも金融市場でのリスクが高まり、向こう2年以内での景気後退すら視野に入るとあって、金利正常化の過程にあるものの過去と比較して低金利の状態は続きうる。 ——引き続き、同コラムの執筆者であるランダル・フォーサイス氏はトランプ政権の政策に慎重な見方を維持しています。4月26日の税制改革案公表後、米株が伸び悩むだけに余計でしょう。トランプ大統領と懇意のルパート・マードック氏率いるニューズコープ傘下ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙の論説欄は、わざわざホワイトハウスが引用するほど評価していました。同ニューヨーク・ポスト紙も、”Team Trump unveils sweeping tax reform plan”と伝えます。一方で英ガーディアン紙は”Trump unveils ‘most significant tax reforms since 1986′, but experts sceptical –as it happened”、Voxは”We waited seven months for [&hellip

ドラギECB総裁、経済見通しに楽観的も引き締めの可能性示さず

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Draghi Drops No Hint Of Tightening. 欧州中央銀行(ECB)は27日、フランクフルトで定例理事会を開催した。政策金利にあたるリファイナンス金利は、市場予想通り0%で維持。上限金利の限界貸出金利も0.25%、下限金利の中銀預金金利もマイナス0.4%で据え置いた。金利据え置きは8回連続で、現状の低金利を長きにわたって継続する意思を示す。また、2016年12月に決定した資産買い入れプログラム(APP)の変更を堅持した。 ドラギ総裁、記者会見のポイントは以下の通り。 (緩和策について) ・金利は資産買入の時期をさらに超える長きにわたり、現状あるいはそれ以下の水準で推移すると予想 ・資産買入プログラムは4月から12月まで600億ユーロで進め、必要であればそれ以上にわたって続く ・見通しが良好でなければ、資産買入プログラムを規模と期間において拡大する用意がある ・インフレが持続的に2%台の水準を確保するまで、大いなる金融緩和の継続が必要 ・金利の緩和バイアスは協議せず、大部分はインフレより成長に関するリスクバランスに終始 (経済見通しについて) ・ユーロ圏経済の循環的な改善は一段と底堅さを増し、下方リスクはさらに減退した ・ユーロ圏成長見通しのリスクは均衡へ向かいつつある一方で、未だ下方向へ傾いている ・インフレ率はエネルギー価格や食品価格の影響で上昇したが、足元のインフレ圧力は抑制されたままで、明白な上方トレンドは未だ確認していない ・ユーロ圏の統合消費者物価指数(HICP)が3月に前年比1.5%と2月の2.0%を下回った背景は、エネルギー価格やサービス価格の下落 ・成長は脆弱かつまだら模様だったが、今は広範囲にわたって底堅い ・インフレが数ヵ月にわたって2%台へ戻した2011年とは違う ・デフレのリスクは事実上、消えた(→前回の”概して減退した”から上方修正) (トランプ政権の政策、保護主義について) ・米政権の経済政策について言及するのは時期尚早、今回の会合で明確になった可能性があることとして恐らく貿易保護主義のリスクは幾分低下したようだ (仏大統領選について) ・理事会では政治でなく、政局を協議している ――以上、全体的に明るいトーンへ様変わりしたものの緩和策維持の姿勢を強調しています。資産買入の縮小など、引き締め策への示唆を与えませんでした。トランプ政権が税制改革を公表した翌日、かつ仏大統領の決選投票を5月7日に控え、保護主義への見解も国際通貨基金(IMF)の世界経済見通しと比べて慎重そのもの。欧州系金融機関のエコノミストが指摘したように、ドラギ総裁率いるECBは独連銀などから生じる圧力にめげず”カタツムリのペース”で引き締め策へ向かっていくのでしょう。 (カバー写真:European Central Bank/Flickr)

米4月ミシガン大信頼感・確報値は下方修正も、高水準を維持

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Consumer Sentiment Revised Down But Hovers Around 17-Year High. 米4月ミシガン大学消費者信頼感・確報値、米1~3月期雇用コスト指数、米新規失業保険申請件数指数をおさらいしていきます。 米4月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値は97.0と、市場予想並びに速報値の98.0を下回った。ただし前月の96.9を超え、2000年10月以来の水準を達成した1月の98.5に次ぐレベルとなる。内訳をみると現況指数が112.7と速報値の115.2に届かず、前月の113.2も下回った。見通し指数は87.0と、速報値の86.9や2~3月の86.5を超えている。ただ、2004年1月以来の高水準を遂げた1月の90.3を下回る水準を維持した。 原油先物が50ドル割れから大台を回復するなか、1年先インフレ見通しは速報値並びに前月と同じく2.5%だった。5~10年先インフレ見通しも速報値と前月値に並び2.4%となり、2016年12月につけた過去最低の2.3%に近い水準を保つ。 ミシガン大学の主席エコノミスト、リチャード・カーティン氏は今回の結果を受け「共和党寄りと民主党寄りの乖離がやや縮小し、見通し指数の差は51.0ポイント(112.4 VS 61.4)と3月の63.1(122.5 VS 59.4)を下回り民主党の悲観度が後退した」と説明した。一方で、「消費者の42%を占める無党派の見通し指数は91.3と、米大統領選前となる2016年10月の73.1から大幅に好転した」。2017年の個人消費見通しは2.5%増を予想、2月時点の2.7%増から下方修正したものの米1~3月期の0.7%増から改善を見込む。 ミシガン大学消費者信頼感、現況指数が引き続き牽引。 (作成:My Big Apple NY) ・1年先の家計見通し指数 131、4ヵ月ぶりの高水準=速報値は131、前月は128 向上する 41、3ヵ月ぶりの高水準=速報値は41、前月は39 変わらず 47<速報値は48、前月は46 悪化する 10、4ヵ月ぶりの低水準=速報値は10、前月は11 ・所得と物価の伸び率に対する1−2年先の家計指数は83、直近で最低=速報値は83、前月は90 所得の伸びが物価を上回る 21、3ヵ月ぶりの低水準=速報値は21、前月は23 所得の伸び率と物価が同じ 39=速報値は39、前月は43と直近で最高 所得の伸びが物価を下回る 38=速報値は38、前月は33 ・所得が1年先に拡大するとの回答 今回 49.6%>速報値は48.5%と6ヵ月ぶりの低水準、前月は49.2% ・1年先のビジネス見通し指数 120<速報値は122と3ヵ月ぶりの高水準、前月は113 向上する 42、3ヵ月ぶりの高水準=速報値は42、前月は41 変わらず 34<速報値は36と5ヵ月ぶりの高水準、前月は30 悪化する 22>速報値は20と直近で最低、前月は28 ・米国は向こう1年先も良好な状況を継続する 113>速報値は111と5ヵ月ぶりの低水準、前月は116 良好 49=速報値は49、前月は53 不透明 5>速報値は4、前月は4 困難 36<速報値は38、前月は37 ・1年先の失業率見通し指数 113、直近で最高>速報値は110、前月は111(低下を見込む場合に上昇) 低下する 36>速報値は35、前月は36 変わらず 41>速報値は40、前月は37と直近で最低 上昇する 23<速報値は25、前月は25 ・1年先の金利見通し指数 28>速報値は27と直近で最低、前月は31(金利低下を見込む場合指数は上昇) 低下する 5<速報値は6、前月は6 変わらず 17>速報値は15と直近で最低、前月は18 上昇する 77<速報値は79と直近で最高、前月は75 ・1年先のガソリン価格 13=速報値は13、前月は11と直近で最低(値上がりを見込む場合に指数は上昇) 下落する 5>速報値は4と7ヵ月ぶり低水準、前月は7 変わらず 42<速報値は45、前月は49 上昇する 52>速報値は50、前月は44 ・政府が失業率とインフレの両面で十分対応できる 90>速報値は88、前月は94(値上がりを見込む場合に指数は上昇) 十分対応できる 21>速報値は88と直近で最低、前月は94 普通 44=速報値は44、前月は39 [&hellip
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