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3月は製造業景況指数が低下、トランプ政権への期待剥落の兆し?

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Manufacturing Sentiment Falls, As Trump Euphoria Fades In Stock  Market. 米3月ISM製造業景況指数、米3月マークイット製造業PMI確報値、米2月建設支出をおさらいしていきます。 米3月ISM製造業景況指数は57.2となり、市場予想と一致した。2014年 8月以来の高水準に達した前月の57.7を下回りつつ、7ヵ月連続で分岐点に乗せている。内訳をみると雇用や新規輸出受注、仕入れ価格は上向いた。もっとも新規受注や出荷は低下した。詳細は、以下の通り。 ・生産 57.6、7ヵ月連続で分岐点乗せ<前月は62.9と2011年3月以来の高水準、6ヵ月平均は58.6 ・新規受注 64.5、7ヵ月連続にて分岐点乗せ<前月は65.1と2014年10月以来の高水準4、6ヵ月平均は59.9 ・雇用 58.9、2011年6月以来の高水準で7ヵ月連続にて分岐点乗せ>前月は54.2、6ヵ月平均は54.4 ・在庫 49.0、再び分岐点割れ<前月は51.5と19ヵ月ぶりに分岐点乗せ、6ヵ月平均は48.8 ・新規輸出受注 59.0、2013年11月以来の高水準>前月は55.0、6ヵ月平均は54.8 ・仕入れ価格 70.5、2011年5月以来の高水準>前月は68.0、6ヵ月平均は63.7 ・受注残 57.5、2ヵ月連続で分岐点乗せ>前月は57.0、6ヵ月平均は51.3 ・入荷時間 55.9>前月は54.8、6ヵ月平均は54.2 ISMのブラッドリー・ホルコム会長は、結果に対し前月に続き「18業種のうち17業種で拡大した」と説明、しかもその1業種も横ばいだったようで「縮小を報告したセクターはなかった」という。今回は前月から若干低下したが、ホルコム氏は「堅調を維持した」と指摘。上昇を続けた場合は多少の調整が入るもので流れが変わったわけではないとの考えを寄せた。 ▽米3月マークイット製造業PMI・確報値、米大統領選前の水準へ回帰 米3月マークイット製造業PMI確報値は53.3と、市場予想の53.5並びに前月の53.4を下回った。2015年3月以来の高水準だった1月の55.0から低下を続け、米大統領選後の上昇を打ち消し2016年9月以来のレベルへ押し返されている。 クリス・ウィリアムソン主席エコノミストは、結果を受け「米大統領選前の水準へ押し戻され、熱気が静まったサインが現れた」と分析する。特に「生産が6ヵ月ぶりの低水準を迎え、見通しから楽観度が後退し、雇用も鈍化した」と指摘。今回の結果は軟化が見られたものの、1~2月が堅調だったため米1~3月期国内総生産(GDP)は「前期比年率2%増」が見込まれるという。 マークイットは低下もISMの雇用は上振れ、米雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)の製造業は改善か。 (作成:My Big Apple NY) ――ISM製造業景況指数とマークイット製造業PMI のヘッドラインはそれぞれ前月から低下し、“トランプ・ユーフォリア”から脱却しつつある可能性を示します。ただし雇用は遅行指標なためか、マークイットでは下振れもISMでは高水準を維持。米新規失業保険申請件数では製造業州での増加を確認し製造業での就業者数が強含むか疑問が残るなか、ISM製造業景況指数VSマークイット製造業PMIと米新規失業保険申請件数は、どちらに軍配が上がるのでしょうか。 ▽米2月建設支出、公共が押し下げ予想外の減少 米2月建設支出は前月比0.8%増の年率1兆1,928億ドルとなり、市場予想の1.0%増を下回った。前月の0.4%減(1.0%減から上方修正)から改善、3ヵ月ぶりに増加に転じている。内訳をみると、住宅が1.8%増と5ヵ月連続で増加したものの、非住宅が±0%と横ばいにとどまった。建設支出の前年比は3.0%増と、前月の3.1%増(速報値ベース)を含め増加トレンドを保った。 民間は前月比0.8%増と、前月の±0%から転じた。住宅が1.8%増と5ヵ月連続で増加したほか、非住宅は0.3%減と2ヵ月連続で減少している。公共は0.6%増と、前月の1.9%減を上回り4ヵ月ぶりに増加した。住宅が3.8%増と4ヵ月ぶりに増加に転じたほか、非住宅も0.5%増と3ヵ月連続で減少した後で小幅改善した。 ――米2月建設支出は予想以下だったため、前月分が上方修正されたもののバークレイズは米1~3月期国内総生産(GDP)予想を従来の1.4%増から1.3%増へ引き上げました。ただし、アトランタ地区連銀は逆に米2月個人消費などを含めて勘案し従来の0.9%増から1.3%増へ上方修正。いずれにしても、低成長が見込まれていることに変わりありません。 (カバー写真:Chris Devers/Flickr)

米3月新車販売台数、インセンティブ奏功せず約2年ぶりの水準へ減速

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U.S. Auto Sales Fall To 2-Year Low, Even With Big Incentives. ワーズオートが発表した米3月新車販売台数は、年率換算1,653万台と市場予想の1,730万台を下回った。春の到来に合わせ本来であれば販売台数の加速が期待されるところ、2月の1,747万台から大きく落ち込み2015年2月以来の低水準を示す。3月は米連邦公開市場委員会(FOMC)の出席者が直前に3月利上げの地均しを行い金利が上昇したほか、3月半ばには北東部を中心に豪雪に見舞われたため販売台数を押し下げたとみられる。なお、ワーズオートの数字は米国内総生産(GDP)の算出に使用される。 オートデータが発表した米3月新車販売台数は、前年同月比1.6%減の155万5,859台だった。営業日数は、1~2月と同じく前年同月比較で変わっていない。年率では1,662万台と、前月の1,758万台を下回り少なくとも前年同月の1,667万台を下回った。 車種ではSUVは力強さを取り戻した。販売奨励金(インセンティブ)効果が一因だが、前月から縮小していたためセダンなどその他の車種で販売動向に影響を与えた可能性がある。ガソリン価格は原油先物が2016年半ば以来の54ドル台を回復する過程で、一時2.314ドルと2016年6月以来の高値付近で推移した。 新車販売台数、直近はインセンティブ頼みの状況。 (作成:My Big Apple NY) ケリー・ブルー・ブックによると、平均販売価格は前年同月比1.7%上昇の3万4,342万ドル(約380万円)と、前月の2.3%以下の伸びにとどまった。前月比では0.4%下落し、前月の0.9%の下落と合わせ3ヵ月連続でマイナスをたどり、自動車メーカーが値下げに踏み切った様子が伺える。メーカー別の平均価格を前月比でみると1月に続きホンダやスバルが上昇し、そのほかトヨタやゼネラル・モーターズが入った。一方で売れ行きが絶好調な日産、SUVの売れ行き不振が目立つフィアット・クライスラーの下落、そのほかフォード、フォルクスワーゲン、ヒュンダイ・キアなども値下がりをみせた。前年比ではGM、トヨタ、VWが下落した。 自動車メーカー別ではGMと日産の販売台数が前年比で増加し、日産のみ市場予想を上回った。その他は全て減少フォード、フィアット・クライスラー、トヨタ、ホンダはそろって市場予想に届かなかった。 以下、米国をはじめメーカー別動向。 【GM】 GMは前年同月比1.6%増の25万6,224台と、市場予想の7.0%増を下回りつつ2ヵ月連続で増加した。小売販売台数は5.0%増の20万3,3113台と、こちらも2ヵ月連続で増加している。全体の新車販売台数で4大ブランド別をみると、前月に続き2ブランドで増加した。小売販売台数でも2ブランドで増加し、キャデラックのみ落ち込んだ前月の3ブランドから減少している。年間の販売台数をめぐっては、特に言及せず。2月は3年連続で過去最高を更新するか過去最高近くに到達するとし、1月より若干強気な見通しを後退させた。 ・ビュイック 15.1%増の2万957台、3ヵ月ぶりに増加 →主力のSUV「アンコール」が29.1%増の8,293台と4ヵ月連続で全体を支えたほか、新型「エンビジョン」が3,584台と堅調で、「エンクレーブ」の減少トレンドを抑えた。小売販売台数は22.1%増の1万9,257台と、2ヵ月連続で増加した。 ・GMC 12.0%増の4万9,948台、5ヵ月連続で増加 →SUVの「アカディア」が84.0%増の1万1,432台と3」ヵ月連続で大幅増となり、主力SUV「シエラ」の14.3%減の1万8,460台や「キャニオン」の13.1%減の2,490台の減少を相殺した。小売販売台数は3.1%減の3万9,048台と減少に転じた。 ・キャデラック 1.5%減の1万2,861台、3ヵ月連続で減少 →主力セダンの「XTS」が34.0%減の1,484台と弱含んだほか、その他も減少が続き軒並みマイナスだった。小売販売台数は3.6%減の1万1,103台と2ヵ月連続で減少した。 ・シボレー 2.2%減の17万2,458台、減少に反転 →ガソリン価格の下げ渋りを一因に小型車「クルーズ」が88.3%増の1万8,607台と3ヵ月連続で支えた。他はまちまちでトラックの「タホー」が19.0%増の9,112台、SUVの「エキノックス」も5.5%増の2万2,671台と2ヵ月連続で増加した半面、主力のSUV「シルバラード」は11.6%減の4万2,410台と減少に転じた。小売販売台数は6.2%増の13万3,705台と前月から増加に転じた。 【フォード】 フォードは前年同月比7.2%減の23万6,250台となり、市場予想の5.9%減より下げ幅を広げ3ヵ月連続で減少した。2大ブランド別では、フォードが4ヵ月連続で減少し、リンカーンは7ヵ月ぶりに落ち込んだ。なお同社は2016年1月、日本とインド市場から撤退を決定した。詳細は、以下の通り。 ・フォード 7.5%減の22万6,696台、4ヵ月連続で減少 →アルミ製ボディのトラック「Fシリーズ」が10.1%増の8万1,330台と、単月ベースでは2004以来で最高を記録した。SUVは弱く「エクスプローラー」が6.4%減の2万232台と4ヵ月ぶりに減少したほか、「エスケープ」も1.4%減の2万8,113台と減少に転じた。小型車は前月に続き振るわず「フォーカス」は22.5%減の1万4,437台と10ヵ月連続で減少、「フュージョン」も36.8%減の1万8,759台と8ヵ月連続で減少した。 ・リンカーン 1.4%減の9,554台、7ヵ月ぶりに減少 →主力の「MKZ」は±0%の2,479台と横ばいに転じたところ他は減少が目立ち、「MKC」のみ16.8%増の2,284台と好調だった。 【フィアット・クライスラー】 フィアット・クライスラー・オートモビルは前年同月比5%減の19万254台となり、市場予想の0.4%増から転じマイナスに落ち込んだ。2016年9月に増加トレンドを78ヵ月で止めた後、7ヵ月連続で前年比マイナスとなる。5大ブランド別では2016年9月~2017年1月までラムの1ブランドだったが、今回はドッジに加わり2ブランドとなった。詳細は、以下の通り。 ・ラム 6%増の5万1,749台、10ヵ月連続で増加 →主力の「ラム」が6%増の4万6,384台と7ヵ月連続で増加した程度で、前月減少した「プロマスター・バン」は24%増の4,048台と改善した。 ・ドッジ 10%増の5万76台、7ヵ月ぶりに増加 →主力の「ジャーニー」が100%増の1万1,858台と4ヵ月連続で増加したが、「キャラバン」が19%増の1万5,602台と6ヵ月連続で減少した。ただ「チャージャー」は、6%減の8,236台と4ヵ月ぶりに減少した。 ・ジープ 11%減の6万7,983台、7ヵ月連続で減少 →「チェロキー」が11%減の1万4,589台と減少トレンドを維持したほか、「ペイトリオット」も36%減の5,968台と5ヵ月連続で減少した。前月まで増加していた「ラングラー」も7%減の1万6,336台、「レネゲード」も9%減の8,065台と減少に反転。一方で「グランド・チェロキー」のみ、22%増の2万374台と4ヵ月連続で増加した。 ・クライスラー 33%減の1万6,969台、14ヵ月連続で減少 →新型「パシフィカ」が9,340台だったものの、セダンの「200」が48%減の2,565台と減少トレンドをたどった。 ・フィアット 5%減の2,922台、15ヵ月連続で減少 →「500」が12%増の1,671台だったが、「500X」や「500L」など引き続き2桁減で全体の重石となった。新型「スパイダー」は419台にとどまり、全体を牽引するほどの馬力をみせていない。 自動車メーカー別、米国市場シェアはGMが16.5%で首位を堅持。2位はフォードで15.1%、3位のトヨタは13.8%、4位はフィアット・クライスラーが12.2%に入り日産は11.6%へ低下した。 (出所:Good Car Bad Car) 【トヨタ】 [&hellip

米2月貿易収支、米中首脳会談前に赤字改善

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Trade Deficit Narrows From 5-Year High As Imports Decline. 米2月貿易収支は435.57億ドルの赤字となり、市場予想の436億ドルとほぼ一致した。2012年3月以来で最大の赤字幅を記録した前月の481.73億ドル(484.92億ドルから修正)を9.6%下回り、4ヵ月ぶりの低水準となる。原油関連を除く貿易赤字は362.50億ドルと5ヵ月ぶりの水準へ改善した。 内訳をみると、輸出が前月比0.2%増(3ヵ月連続で増加)の1,928.72億ドルだった上に、輸入が1.8%減(5ヵ月ぶりに減少)の2,364.29億ドルと赤字縮小を促した。 エネルギーを含め輸入が減少、ドル高局面でも赤字縮小。 (作成:My Big Apple NY) 国内総生産(GDP)の算出に使用されるインフレを除いた実質ベースのモノの赤字は597.10億ドルと、2007年7月以来で最大を記録した前月の651.02億ドル(653.46億ドルから修正)を大幅に下回った。2月の実質貿易赤字は、5ヵ月ぶりの水準へ縮小している。 なお2016年の貿易赤字はモノ・サービスを合わせて国際収支ベースで前年比0.4%増の5025.52億ドルで、2012年以来で最大を示した。商品市況の下落を背景に輸入が1.9%減の2兆7,116億ドルだったものの、ドル高を背景に輸出が2.3%減の2兆2,094億ドルだったため赤字が膨らんだ。2015年の貿易赤字は前年比4.6%増の5,315億ドルと、2012年以来で最大を記録した。モノの貿易赤字は米国勢調査局ベースで1.5%減の7,343.32億ドルとなる。 2月の輸出内訳をみると、モノは前月比0.3%増と3ヵ月連続で増加した。ドル高ながら消費財が牽引したほか前月に続き自動車、産業材が堅調。逆に、食料/飲料は前月から大幅減に転じた。 (増加項目) ・消費財 4.0%増、過去5ヵ月間で3回目の増加>前月は0.1%減 ・自動車 1.4%増、過去5ヵ月間で3回目の増加<前月は10.9%増 ・産業財 1.1%増、過去5ヵ月間で4回目の増加<前月は5.9%増 ・サービス ±0%増、過去5ヵ月間で増加は3回<前月は0.4%増 (減少項目) ・食品/飲料 6.0%減、過去5ヵ月間で4回目の減少<前月は5.8%増 ・資本財 1.4%減、過去5ヵ月間で3回目の減少<前月は4.1%減 輸入の内訳をみると、モノは2.1%減と5ヵ月ぶりに減少した。原油価格が2015年半ば以来の高値を示すなか、量ベースでのエネルギー関連輸入は10.9%減と前月の11.3%増から転じている。金額ベースでも、下落に転じた。エネルギー製品を除いたモノの輸入は2.6%減と、前月の1.3%増から転じ5ヵ月ぶりに減少した。項目別では自動車や産業材など、全て増加した。 (増加項目) ・産業財 3.3%増、過去5ヵ月間で4回目の増加>前月は2.5%増 ・食品/飲料 2.3%増、過去5ヵ月間で4回目の増加>前月は0.3%減 ・資本財 0.2%増、過去5ヵ月間で3回目の増加<前月は1.3%増 (減少項目) ・消費財 5.9%減、過去5ヵ月間で2回目の減少<前月は4.8%増 ・自動車 8.3%減、過去5ヵ月間で2回目の減少<前月は2.9%増 モノの実質貿易赤字、5ヵ月ぶり低水準。 (作成:My Big Apple NY) 国別でのモノの貿易収支動向をみると、米中首脳会談を控え中国への赤字は前月比26.6%減の229.66億ドルと減少に転じた。日本への赤字は14.6%減の46.72億ドルと、2ヵ月連続で減少。欧州全体への赤字額は23.4%減の106.50億ドルと、減少へ転じた。欧州のうち英国との貿易収支は4.47億ドルの黒字と、5ヵ月ぶりに黒字だった。 主な原油輸出国への貿易収支は、輸入量が減少したため赤字縮小が優勢。カナダへの貿易赤字は38.1%減の21.13億ドルと、赤字幅こそ縮小したものの6ヵ月連続で赤字となっている。石油輸出国機構(OPEC)への貿易収支も46.0%減の15.18億ドルの赤字と、2ヵ月連続で赤字を計上しつつ大幅に縮小した。一方で、メキシコに対する赤字額のみ46.0%増の57.63億ドルと3ヵ月ぶりに拡大した。 以下は、今回の貿易収支における輸出と輸入の内訳のほか各国ごとのモノの貿易収支動向。貿易動向のランキングは変わらなかったが、輸出動向は前月10位のベルギーが13位へ転落、代わりにブラジルが13位から浮上し10位に食い込んだ。輸入動向のランキングは前月13位のアイルランドが8位、前月12位だったベトナムが9位にランクインした。一方で前月9位だったフランスが11位、前月10位だった台湾が13位へ後退している。 (作成:My Big Apple NY) ――米中首脳会談直前、トランプ米大統領は貿易赤字縮小に乗り出しました。3月31日には、商務省や通商代表部に対し貿易不正を調査したレポートを90日以内に提出することなどを求める大統領令に署名。最高経営責任者(CEO)などとの会合を開いた4月4日には、北朝鮮問題のほか「貿易赤字について協議し、貿易不均衡是正を求める」と明かしたものです。ツイッターでも、貿易協議を行う可能性を示唆していました。 英フィナンシャル・タイムズ紙のインタビューでは、対中関税に絡む協議は「次回」と述べつつ、北朝鮮問題で中国からの協力を得る上でのインセンティブは「貿易」と発言しています。しかも、米中首脳会談前のセンシティブな時期に、商務省は反ダンピングや相殺関税の法制度に基づいて中国を”非市場経済国”として調査すると通知しました。 中国の世界貿易機関(WTO)加盟は2001年12月11日に発効し、加盟から15年間は厳格な反ダンピング措置などを受け入れる”非市場経済国”として扱われることが取り決められました。2016年12月11日に”非市場経済国”から外れると計算していた中国に、米国は2016年11月に鉄鋼などダンピング問題を背景に中国に対する”市場経済国”認定見送りを表明し、冷や水を浴びせます。欧州委員会も同年7月に”市場経済国”と認めない基本方針を固め、日本も同年12月にならいました。結果、同年12月に中国はWTOに”市場経済国”認定を狙い米欧を提訴したわけですが、今回の商務省による中国への反ダンピング関連調査は中国への”返礼”と言えるかもしれません。 ▽米2月製造業受注、3ヵ月連続で増加し在庫も堅調 米2月製造業受注は前月比1.0%増と、市場予想と一致した。前月の1.5%増(1.2%増から上方修正)に続き、3ヵ月連続で増加している。耐久財受注は1.8%増と、市場予想並びに速報値の1.7%増を超え、前月の2.4%増と合わせ2ヵ月連続で増加した。コア資本財(民間航空機を除く非防衛財)の受注は速報値と同じく前月比0.1%減で、前月の0.2%増を下回り5ヵ月ぶりの減少を示す。 製造業出荷は前月比0.3%増と、増加トレンドを維持。コア資本財の出荷は速報値通り1.0%増で、前月の0.4%増から改善した。在庫は0.2%増と、5ヵ月連続で増加。在庫相当は出荷の伸びとほぼ変わらず、3ヵ月連続で1.31ヵ月だった。 ――2月は製造業受注が市場予想と一致し貿易赤字も改善したとはいえ、肝心要の個人消費が減速する見通しに変わりありません。米2月新車販売台数が約2年ぶりの低水準だったため、バークレイズは米1~3月期GDP見通しを従来の1.2%増から1.0%増へ下方修正してきました。アトランタ連銀は1.2%増で変更しなかったものの、1%付近の低成長見通しとなっています。NY連銀は3%近い成長を見込みますが、アトランタ連銀の予想に収れんしつつあるようです。 (カバー写真:Jose [&hellip

日本人には理解できない?ペプシのCM、全米で大炎上のワケ

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Kendall Jenner’s Pepsi Commercial Causes Twitter Backlash. ケンダル・ジェンナーと言えば、アメリカで知らない者はいない21歳のスーパーモデル。2016年のヴォーグ9月号、いわゆるセプテンバー・イシューで表紙を飾り、名実ともにトップモデルの座を手にしました。父親は元五輪選手で最近では性転換手術を経て女性に生まれ変わったブルースあらためケイトリン・ジェンナーで、姉はパリス・ヒルトンの元親友でソーシャライトのキム・カーダシアン。キムの夫はヒップホップ界の異端児カニエ・ウェストであり、元NFLスター選手のO・J・シンプソンを無罪にした敏腕弁護士を父に持ちます。アメリカでも有数のセレブ・ファミリーに生まれ育った異父姉妹は、全米女性の憧れの的といっても過言ではありません。 そんなセレブ一家の四女であるケンダルが出演するペプシのコマーシャルが、ただいま米国で大炎上中なんです。 どんなCMかといいますと・・・。 撮影中のケンダルは、デモ行進中の男性と目が合った瞬間に身につけていた金髪のウィッグを投げ捨てます。ペプシをつかみ、そのまま行進の輪に加わるケンダル。手にしたペプシは傍にいた警察官に渡し、最後は拳を上げて会心の笑みを見せるのでした。動画はこちらでどうぞ。 (出所:youtube) 全米で大ブーイングが起きた理由、分かりますか? 問題は、警察官にペプシを手渡したことにあります。 2015年頃から白人の警察官が黒人を殺害する事件が相次ぎ、全米で”黒人の命も大切(Black Lives Matter)”旋風が吹き荒れました。デモ隊と警官隊の激しい衝突は、黒人男性が射殺される悲劇も生み出します。 ”黒人の命も大切”運動の象徴こそが、この写真。 (出所:Jonathan Bachman/Twitter) 死者を出すほどに激化した対立を記憶するデモ参加者あるいは賛同者は、ペプシを手渡せば全て丸く収まるといった安易なイメージをCMが与えたとして猛反発したというわけです。一部のツイッターには、何千件もの”いいね”がつきました。 ある女性は、「ペプシはCMを製作した意図を説明しなければならない」と抗議。 天安門事件を引き合いに出し、ペプシがあれば解決できたのか問い掛ける皮肉なツイートも。 (出所:EW) ペプシ側は、「違う人生を歩む人々が一つになる姿を描く世界向けのCM」と説明しています。仮に日本で放映されたならば、違和感なく受け止められたんでしょうね。 (カバー写真:youtube)

米3月ADP全国雇用者数、トランプ政権の製造業復活確約を支えに3年ぶり高水準

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Trump’s Vow To Restore Manufacturing Business Could Push Private Payrolls. 米3月ADP全国雇用者数は前月比26.3万人増となり、市場予想の18.5万人増を上回った。前月の24.5人増(29.8万人増から下方修正)も超え、2014年4月以来の高水準を達成。年初来の3ヵ月間では25.3万人増となり、3ヵ月平均でみると2014年6月以来で最高となる。2010年2月以来の増加トレンドも保った。なおADP全国雇用者数は民間のみであり、政府を含まない。 ADP全国雇用者数、3年ぶり高水準で3月雇用統計に期待。 (作成:My Big Apple NY) 内訳は、以下の通り。 ▽企業規模別 ・中小企業(従業員1~499人) 21.8万人増>前月は15.0万人増 ・大企業(500人以上) 4.5万人増<前月は6.3万人増 ▽業種別 サービス業 18.1万人増>前月は14.5万人増、6ヵ月平均は16.4万人増 (米3月ISM非製造業景況指数の雇用は51.6、前月の54.7から低下し7ヵ月ぶり低水準) ・専門/ビジネス・サービス(派遣を含む) 5.7万人増>前月は5.1万人増、6ヵ月平均は5.2万人増 ・娯楽/宿泊 5.5万人増>前月は3.2万人増、6ヵ月平均は2.9万人増 ・金融 2.5万人増>前月は0.7万人増、6ヵ月平均は1.6万人増 ・教育/ヘルスケア 1.3万人増<前月は4.4万人増、6ヵ月平均は3.4万人増 ・貿易/輸送/公益 3.4万人増>前月は0.9万人減、6ヵ月平均は3.2万人増 ・情報 1.0万人減<前月は0.9万人増、6ヵ月平均は0.4万人減 財生産業 8.2万人増<前月は10.0万人増、6ヵ月平均は4.4万人増 (米3月ISM非製造業景況指数の雇用は58.9と2011年6月以来の高水準、前月は54.2) ・建設 4.9万人増<前月は5.9万人増、6ヵ月平均は2.7万人増 ・製造業 3.0万人増<前月は3.3万人増、6ヵ月平均は1.5万人増 ・天然資源 0.4万人増<前月は0.8万人増、6ヵ月平均は0.3万人増 ADPとともに統計を担当するムーディーズ・アナリティクスのマーク・ザンディ主席エコノミストは、結果を受け「2017年は力強い雇用の伸びを記録し幸先の良いスタートを切った」と振り返る。特に、財部門での伸びが顕著で「建設や製造業、鉱業などの勢いが目立つ」と結んだ。 ――米3月ADP全国雇用者数は、3ヵ月連続で20万人の大台を突破してきました。気になる米雇用統計の民間就労者数の乖離は、プラス4万人。従って、単純に当てはめれば22万人増が期待できます。問題はISM非製造業景況指数と明暗が分かれた点にあり、トランプ政権発足前に反しサービス業が足を引っ張るリスクも。米雇用統計・非農業部門就労者数の占める財部門(製造業、鉱業、建設)は13.7%に過ぎないだけに、ISM非製造業景況指数の雇用の下振れは要注意です。 (カバー写真:Washington State Dept of Transportation/Flickr)

ISMとマークイット、3月のサービス業は大統領選挙後の上昇を相殺

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ISM Service Index And Markit PMI Slashes Gains After Presidential Election. ISM非製造業景況指数、マークイットが発表した3 月の景況指数をおさらいしていきます。 米3月ISM非製造業景況指数は55.2となり、市場予想の57並びに2015年10月以来の高水準を達成した前月値の57.6を下回った。2016年10月以来の低水準となり、大統領選挙後の上昇を完全に相殺している。医療保険制度改革(オバマケア)撤廃・代替案への移行をめぐり共和党内で足並みがそろわず採決が撤回され、税制改革やインフラ投資への期待が剥落した影響か、サービス業のセンチメントは勢いを失っている。 18業種別では16業種が拡大を報告、逆に不動産、貸出・リースの2業種のみが縮小した。項目別動向ではビジネス活動をはじめ新規受注、雇用、新規輸出受注がそろって上向いた。ただ米1月消費者物価指数や米1月PCE価格指数が上振れした一方で、仕入れ価格は前月から低下している。詳細は、以下の通り。 ・ビジネス活動 58.9<前月は63.6と2011年2月以来の高水準、6ヵ月平均は60.4 ・新規受注 58.9<前月は61.2と2015年8月以来の高水準、6ヵ月平均は59.1 ・雇用 51.6、7ヵ月ぶり低水準<前月は55.2と3ヵ月ぶりの高水準、6ヵ月平均は53.6 ・新規輸出受注 62.5、2006年10月以来の高水準>前月は57.0、6ヵ月平均は55.5 ・在庫変化 48.5<52.0と分岐点を回復、6ヵ月平均は50.7 ・仕入れ価格 53.5、1年ぶりの低水準に並ぶ<前月は57.7、6ヵ月平均は56.3 ▽米3月マークイット非製造業PMI確報値、速報値から下方修正 米3月マークイット非製造業PMI確報値は52.8と、速報値の52.9から下方修正され市場予想の53.1にも届かなかった。2015年11月以来の高水準だった1月の55.6をピークに、前月の53.8からも低下。2016年9月以来の水準へ鈍化し、米大統領選挙後の上昇を完全に打ち消している。製造業と合わせた総合指数は53.0と、速報値の53.2から下方修正された。前月の57.6 も下回り、2016年10月以来の水準へ下振れしている。 クリス・ウィリアムソン主席ビジネス・エコノミストは、速報値から下方修正された結果を受け「1~3月期の成長が比較的控え目となる可能性を示し、同国内総生産(GDP)は前期比年率1.7%増」と見込んだ。前月の予想値である2.5%から下方修正している。またビジネス見通しから楽観度が後退したため、「米3月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)は2016年10月以来の水準へ鈍化するのでないか」と予想した。米3月ADP全国雇用者数の結果と、正反対となる見通しを示した格好だ。 ISMとマークイット、3月は共に下振れ。 (作成:My Big Apple NY) ――非製造業景況指数はISMとマークイットそろって大統領選後の上昇を巻き戻し、雇用も鈍化しています。米3月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)は現時点で18.0万人増と予想されていますが、大統領令で軍以外の政府機関の新規採用を停止したため政府が足を引っ張る可能性も。3月半ばには、北東部を中心に積雪に見舞われた影響もあり、米3月ADP全国雇用者数の勢いを引き継ぐかは微妙と言えるかもしれません。 (カバー写真:Dolapo Falola/Flickr)

3月FOMC議事録、バランスシート縮小を示唆しリスク資産の上昇にも言及

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Fed Sets To Shrink Its Balance Sheet, Eying On Risky Assets. 3月14~15日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録は、年内に再投資を終了する意思を挟み込んできました。利上げを行った割に声明文はハト派寄りでしたが、議事録で巻き返すというFOMC恒例のバランス技を駆使しています。米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長はFOMC後の記者会見では明言しなかったものの、FF金利が2%にたどり着かない間にバランスシートを縮小する構えです、FOMC議事録の詳細。 ▽バランスシート政策をめぐる協議 ・今回の議事録では“連邦準備制度公開市場勘定(SOMA)”の再投資政策の段落を設け、バランスシート政策についての協議内容を紹介。 ・ほとんどの出席者は、経済が見通し通りに推移すればゆるやかな利上げと共に年内のバランスシート縮小が適切と判断。 ・バランスシート縮小は、2014年9月に発表した手順に則る。 ・ほぼ全員の参加者は再投資政策の変更が経済指標と金融動向次第との見方を示しつつ、数人の参加者はFF金利の定量判断で行うべきと主張、別の数人は経済や金融動向の定性判断が有用と指摘。 ・バランスシートの縮小をめぐり、参加者は“徐々に、かつ予想可能(gradual and predictable)”な手法で行い、まず償還された元本の再投資を段階的に減らしていくべきとの見解で一致。 ・ほぼ全員の参加者は、主たる金融政策手段は金利の上げ下げと判断。 ・多くの参加者は、経済に甚大な負のリスクが直撃し利下げだけでは対応できない大幅な緩和が必要になった時に、再投資を再開すべきと主張。 ・数人の参加者は、経済活動が著しく落ち込む局面で再投資を再開すべきとコメント。 ・再投資の終了について、米国債と住宅ローン担保証券(MBS)を同時に行うべきとの見方優勢。 ・再投資を一度に終了させる場合と段階的に終了する場合の、利点と欠点を協議。 ・段階的な再投資終了は、金融市場のボラが上昇するリスクを抑える半面、バランスシートの規模縮小を小幅にとどめる意図が誤解されかねないと指摘。 ・一度で再投資を終了させる場合はコミュニケーションが容易で、正常化を迅速に行える利点あり。 ・1人の参加者は早急な正常化を促進するため、MBSの縮小最低規模を設定し必要な場合は売却すべきと主張。 ・ほとんど全員の参加者が、再投資政策を変更するずっと以前から市場と対話すべきとの見解で一致。 ・再投資政策の変更を発表する際には、規模やタイミング、構成などについての情報を提供することが望ましい。 ▽利上げについて ・参加者は概して経済指標を通じ、労働市場がさらに力強さを増しインフレが目標の2%に達するとの見通しに沿ったと判断。 ・経済見通しにほぼ変化はなく、参加者は“ゆるやかな利上げ”がほぼ適切と判断。1)数人の参加者はインフレ目標を達成するまでに時間が掛かると判断し、2)数人の参加者はFF金利の下限が依然として低く経済下振れ局面で利下げ余地が狭いと指摘しつつ、3)均衡実質金利は未だ低水準であり、4)均衡実質金利の水準自体、見通しと含め不透明――であることが理由。 ・参加者は、不慮の経済的なショックに直面した場合の政策評価や市場とのコミュニケーションに対応する姿勢を強調。リスク要因には1)家計と企業の支出の大幅拡大、2)予想以上の財政刺激策、 3)インフレ圧力の一段の高まり――など、利上げペース加速要因を挙げる。 ・足元の金融情勢が経済見通しに上振れリスクを与えるとも指摘、同時に急激な調整局面を迎えた場合は経済に下振れリスクが浮上すると警戒表明。 ▽経済動向 ・労働市場は強まり続け、経済活動は緩やかに拡大すると予想。 ・経済見通しは1~2月から変わらず、ただ1~3月期の成長率は一時的な季節的要因を背景に鈍化へ。 ・経済見通しのリスクはほぼ均衡、 ・引き続き財政出動の規模やタイミングを引き続き注視するも、一部の参加者は2018年まで導入されないと予想。 ・参加者の半数は、経済・金利見通しで財政刺激の影響を加味せず。 ・参加者は引き続き、財政出動による景気上振れリスクを予想。 ・財政刺激に注意を傾ける一方で、参加者や企業関係者はトランプ政権の政策変更、特に移民や通商政策に絡み、労働市場と経済動向に下振れリスクを予想。 ・多くの参加者が消費者センチメントの急伸について言及、ただ個人消費に反映されずとの認識。 ・企業のセンチメントも大幅改善したが政権の経済政策が不透明で、設備投資を報告した企業は連銀ごとで少数。・2地区連銀(ダラス連銀とリッチモンド連銀か)はシェールを中心に、掘削活動の回復を指摘。 ・何人かの参加者は、インフレの強含みを背景に年内のインフレ目標2%の達成を見込む。 Fedのバランスシート、3月末時点で4兆4,696億ドル也。 (出所:Gage Skidmore, Fedealreserve/Flickr) ・スタッフは下振れリスクを予想も、海外から派生するリスクが後退し家計や企業のセンチメントが強まり、過去ほど下向きではないと判断を据え置き。 ・インフレのリスクはほぼ均衡、ドル高による物価見通し下振れリスクは経済が潜在成長を上回るペースで拡大し物価が上振れするリスクで相殺する見通しを維持。 ▽海外動向、金融市場 ・中国、欧州から派生する経済下振れリスクは前回に続き後退してきたと指摘。 [&hellip

米3月チャレンジャー人員削減予定数が増加も、採用予定数は好調

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Forget About Job Cuts, Hiring Plans Surge In March. 米3月チャレンジャー人員削減予定数は、前年同月比17.2%増の43,310人となった。前年比での増加は、3ヵ月ぶりとなる。前月からは2.0%減少した。 発表元であるチャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスのジョン・チャレンジャー最高経営責任者(CEO)は、小売の動向に着目。年初来で前年同期比19%増の38,464人を数え、そのうち「3月分は4,084人だった」と振り返る。もっとも「採用予定数は人員削減予定数を上回るペースで増加中であり、年初来で12,100人に及んだ」と指摘。そのため、チャレンジャーCEOは、小売について「人員削減の数だけ採用も増えている」と楽観的な見解を寄せた。 小売に次いで弱かったセクターは通信で「自動化に伴う人員削減が増え、新たな事業計画にシフトしている」こともあり、1〜3月期は前年同期比184%増の9,782人を示した。一方で「2014年半ばから2016年1〜3月期まで続いたエネルギー関連での人員削減が止まり、全体の数字が改善した」と説明する。同氏の指摘通り、年初来のエネルギー関連の人員削減予定数は前年比84%減の7,880人にとどまった。 人員削減予定数、3月は小売と通信が牽引して増加。 (作成:My Big Apple NY) 2017年の年初来3ヵ月間での人員削減予定数は、前期比38%増の126,301人だった。前年比では、30%減となる。 2017年の年初来3ヵ月での州別動向は、ラストベルトと呼ばれる製造業が盛んだったオハイオ州が3ヵ月連続1位だった。2位と3位は変わらず、テキサス州とカリフォルニア州に。4位と5位は圏外からニュージャージー州とニューヨーク州が入った。逆にペンシルベニア州やミシガン州など、製造業州が圏外ヘ押し出されている。 1位 オハイオ州 17,943人(3ヵ月連続で2位) 2位 テキサス州 17,798人(3ヵ月連続で1位) 3位 カリフォルニア州 15,279人(2ヵ月連続で3位) 4位 ニュージャージー州 9,031人(圏外から浮上) 5位 ニューヨーク州 6,655人(圏外から浮上) 年間で人員削減が多かったセクターのランキングは以下の通り。1〜2月と変わらず1位は小売で、前月2位だったエネルギーは4位に転落した。なお前月は1位が小売、2位が通信、3位がヘルスケア、4位がコンピューター、5位が自動車となる。 1位 小売 38,464人(全体の30.5%) 2位 エネルギー 9,782人(全体の7.7%) 3位 ヘルスケア 8,116人(全体の6.4%) 4位 コンピューター 7,880人(全体の6.2%) 5位 自動車 5,498人(全体の4.4%) 3月の人員削減数ワースト5は、以下の通り。前月は1月が小売、2位がエネルギー、3位が金融、4位が食品、5位が通信だった。 1位 通信 7,768人(全体の17.9%) 2位 教育 4,375人(全体の10.1%) 3位 小売 4,034人(全体の9.4%) 4位 産業財 3,947人(全体の9.1%) 5位 電化製品 1,600人(全体の9.1%) リストラ実施の理由、3月のランキングは以下の通り。前月は1位がコスト削減、2位がリストラ、3位が閉鎖、4位が自主退職、5位がM&Aだった。 1位 コスト削減 26,561人(全体61.3%) 2位 閉鎖 7,927人(全体の18.3%) 3位 再編 4,393人(全体の10.1%) 4位 契約打ち切り 2,338人(全体の5.4%) 5位 M&A 1,591人(全体の3.7%) 採用予定数は前年同月比で5倍超の127,006人となり、3月単月では景気回復サイクルで最高を記録した。1〜3月期では前年同期比で10倍超の289,272人となる。リフォーム関連小売ホームデポが3月に8万人もの新規採用を発表していたため、小売が88,100人と牽引している。前月は1位が小売、2位が航空、3位がコンピューター、4位が食品、5位が通信だった。 1位 小売 13,070人 2位 航空 3,500人 3位 コンピューター 2,361人 4位 食品 3,000人 5位 通信 675人 ――米3月チャレンジャー人員削減予定数が前月比、前年比ともに増加したとはいえ、採用予定数のグッドニュースが吹き飛ばした感があります。小売がまさに格好の例で、服飾関連がダメでも住宅市場が底堅いだけにリフォーム関連が補いました。米3月ADP全国雇用者数は約3年ぶりの高水準を叩き出したこともあり、米3月雇用統計にも期待が集まります。気掛かりな点は、米3月ISM非製造業景況指数で確認した雇用の低下です。米3月ADP全国雇用者数でもサービスは鈍化の兆しがみえるだけに、番狂わせもあり得る? (カバー写真:perzon seo/Flickr)

積雪が労働市場を冷やし、米3月雇用統計・NFPは10ヵ月ぶり低水準

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Blame It On The Bad Weather, Job Growth Slumps To 10-Month Low. 米3月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)は前月比9.8万人増と、市場予想の18万人増を大幅に下回った。2ヵ月連続で20万の大台に乗せた前月の21.9万人増(23.5万人増から下方修正)と正反対の結果を示し、2016年5月以来の水準へ落ち込んでいる。米3月ADP全国雇用者数や人材派遣会社チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社が発表した3月の採用予定数で明らかになった動きとは正反対となり、予想外に弱含んだ。過去2ヵ月分は、3.8万人の下方修正(1月分が23.8万人増→21.6万人増)となる。1〜3月期平均は17.8万人増で、2016年の平均18.7万人増を下回った。 NFPの内訳をみると、民間就労者数が前月比8.9万人増と、市場予想の17.0万人増を下回った。2016年6月以来の高い伸びだった前月分の22.1万人増(22.7万人増から下方修正)に程遠い。民間サービス業が6.1万人増と、前月の12.5万人増(13.2万人増から下方修正)より格段に弱まった。セクター別動向では、前月まで2ヵ月連続で2位だった専門サービスが1位に返り咲いた。前月に1位だった教育/健康は、2位に転落。3位は金融が入り、娯楽がトップ3圏外に押し出された。米大統領令で国防を除く政府職員の採用を凍結するものの、政府は増加に反転。一方で店舗閉鎖が相次いで発表されるなか、小売も雇用の重石となっている。詳細は以下の通り。 (サービスの主な内訳) ・専門サービス 5.6万人増>前月は3.6万人増、6ヵ月平均は4.8万人増 (そのうち、派遣は1.1万人増>前月0.9万人増、6ヵ月平均は0.9万人増) ・教育/健康 1.6万人増<前月は6.6万人増、6ヵ月平均は3.8万人増 (そのうち、ヘルスケア/社会福祉は1.7万人増<前月は3.7万人増、6ヵ月平均は3.1万人増) ・金融 0.9万人増>前月は0.6万人増、6ヵ月平均は1.4万人増 ・娯楽/宿泊 0.9万人増>前月は0.2万人減、6ヵ月平均は1.9万人増 (そのうち食品サービスは2.2万人増、2016年平均に近い) ・政府 0.9万人増>前月は0.2万人減、6ヵ月平均は±0人 ・輸送/倉庫 0.4万人増<前月は0.8万人増、6ヵ月平均は0.8万人増 ・その他サービス 0.1万人増<前月は1.0万人増、6ヵ月平均は0.3万人増 ・卸売 ±0人<前月は0.8万人増、6ヵ月平均は0.4万人増 ・公益 0.1万人減=前月は0.1万人減、6ヵ月平均は±0人 ・情報 0.3万人減>前月は0.4万人減、6ヵ月平均は0.7万人減 ・小売 3.0万人減>前月は3.1万人減、6ヵ月平均は0.5万人減 財生産業は前月比2.8万人増と、少なくとも2000年以来の高水準だった2月の9.6万人増(修正値)から鈍化。ただし、7ヵ月連続で増加した。北東部を中心とした積雪が災いし、建設は7ヵ月連続で増加したなかで最小の伸びにとどまる。製造業は4ヵ月連続で増加しつつ、こちらも伸びは鈍化。鉱業のみ原油価格が2015年半ば以来の水準で安定推移するなかで、前月と変わらない伸びを示し5ヵ月連続でプラスだった。 (財生産業の内訳) ・建設 0.6万人増<前月は5.9万人増、6ヵ月平均は2.6万人増 ・製造業 1.1万人増<前月は2.6万人増、6ヵ月平均は1.0万人増 ・鉱業/伐採 1.1人増(石油・ガス採掘は0.2万人の増加)=前月は1.1万人増、6ヵ月平均は0.6万人増 NFP、まさかの1桁台に。 (作成:My Big Apple NY) 平均時給は前月比0.2%上昇の26.14ドル(約2,880円)と、市場予想並びに前月(0.2%から上方修正)に及ばなかった。前年比では2.7%上昇し、2月の2.8%並びに2009年4月以来の力強さを遂げた2016年12月の2.9%を下回った。 週当たりの平均労働時間は34.3時間と下方修正された前月と一致し、市場予想の34.4時間に届かなかった。財部門(製造業、鉱業、建設)の平均労働時間は40.1時間と前月の40.3時間を上回りつつ、約7年ぶりの高水準を遂げた2014年11月の41.1時間が遠い。 失業率は4.5%と、市場予想並びに前月の4.7%を下回った。景気後退以前の2007年5月以来の水準まで改善が進み、3月に公表した米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーによる2017〜19年見通しに並んだ。マーケットが注目する労働参加率は63.0%と、前月にならい原油安が開始する前の2014年3月以来の大台を維持。労働参加率が前月と横ばいだったものの失業率は低下し、労働市場に復帰した人々が就職に成功した様子が伺える。なお労働参加率のボトムは2015年9〜10月で62.4%と、1977年9月以来の低水準だった。 失業者数は前月比32.6万人減と2ヵ月連続で減少し、失業率の低下を促した。雇用者数は47.2万人増と前月に続く2桁増を記録している。おかげで 就業率は60.1%と、前月の60.0%を超え2009年2月以来の高水準を果たした。 フルタイムとパートタイム動向を季節調整済みでみると、フルタイムは前月比0.4%増の1億2,551万人と5ヵ月連続で増加した。パートタイムは0.2%増の2,760万人と、2ヵ月連続で増加している。増減数ではフルタイムが47.6万人増、パートタイムは4.9万人増となる。 総労働投入時間(民間雇用者数×週平均労働時間)は民間雇用者数が鈍化したものの、前月比で若干ながら7ヵ月連続で伸びた。平均賃金の伸びは変わらず、労働所得(総労働投入時間×時間当たり賃金)は前月比0.3%上昇し、前月の0.4%以下ながら底堅さをみせた。 イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長のダッシュボードに含まれ、かつ「労働市場のたるみ」として挙げた1)不完全失業率(フルタイム勤務を望むもののパートタイムを余儀なくされている人々)、2)賃金の伸び、3)失業者に占める高い長期失業者の割合、4)労働参加率――の項目別採点票は、以下の通り。 1)不完全失業率 採点-○ 経済的要因でパートタイム労働を余儀なくされている不完全失業率は8.9%と、前月の9.2%を下回り2016年12月に続き金融危機前にあたる2007年12月以来の最低を更新した。不完全失業者は340.2万人と、前月に続き減少。ムニューシン米財務長官候補が指名公聴会後に書簡で重視すると明らかにしたU-5すなわち縁辺労働者を含む失業率は5.4%と、前月の5.7から改善が一段と進んだ。 2)長期失業者 採点-△ 失業期間の中央値は10.3週と前月の10.0週からわずかに延び、2008年11月以来の10週割れに至らなかった。平均失業期間は前月まで2009年7月以来の低水準となる2ヵ月連続で25.1週だったが、3月は25.3週に。27週以上にわたる失業者の割合は23.3%と、前月の23.8%を下回り2009年1月以来の水準まで改善が進んだ。 3)賃金 採点-× 今回は前月比0.2%上昇、前年比は2.7%上昇し、前月の2.8%並びに2009年4月以来の高水準だった前月の2.9%を下回った。生産労働者・非管理職の平均時給は前月比0.2%上昇の21.90ドルとヘッドラインに並んだが、前年比は2.3%の上昇と2月の2.5%だけでなく、管管理職を含めた全体の伸びにも届いていない。非管理職・生産労働者の賃金は、2016年10月からの流れを引き継ぎ管理職を合わせた全体を下回ったままだ。 平均時給、前年比では引き続き生産・非管理職の労働者が管理職を含めた全体に及ばず。 (作成:My [&hellip

バロンズ:シリア攻撃で、トランプ政権の優先課題は変わるのか

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Barron’s : President Trump Could Change His Priorities After The Air Strike. バロンズ誌、今週のカバーは年金運用・金融サービスで知られるTIAAにスポットを当てる。2016年までTIAA-CREF(全米教職員保険年金協会・大学退職年金基金)として知られる同社は、2014年に運用会社ヌビーン・インベストメンツの買収を発表。グリーンスパン時代に米連邦準備制度理事会(FRB)で副議長を務めたコーン氏が2008年4月から最高経営責任者(CEO)を務めるTIAAは、成長を求め大胆な変革に着手し始めている。詳細は、本誌をご覧下さい。 当サイトが定点観測するアップ・アンド・ダウン・ウォールストリート、今週は米国によるシリアへのミサイル攻撃とトランプ政権の狙いについてフォーカスする。抄訳は、以下の通り。 空爆は、トランプ政権の優先事項の変化の現れか?=Do Airstrikes Signal New Priorities for Trump? トランプ米大統領は4月6日夜、化学兵器を使用したシリアに制裁を下しシャイラト空軍基地へ59発のトマホーク巡航ミサイル攻撃を断行した。ミサイル攻撃をめぐっては共和党だけでなく民主党の支持を得たため、ワシントン・ウォッチャーで知られるホライゾン・インベストメンツのグレッグ・バリエール氏は「決定的な瞬間であり、トランプ政権の勝利」と分析する。また、核実験並びにミサイル発射を続ける北朝鮮にも牽制を与えた格好であり「(オバマ前政権での)8年にわたる消極的関与の終幕”との見方も示した。 地政学的リスクの影響は数日で消えるものだが、今回は早かった。S&P500は米国によるミサイル攻撃のニュースに反応し時間外取引で0.75%近く下落したが、通常取引ではプラス圏を回復して引け。リンゼー・グループのピーター・ブックバール氏に言わせれば、「トランプ政権の税制改革と世界の金融政策が今年の重要テーマであることに変わりない」ためだろう。 ダウ先物は時間外で一時100ポイントも下落も、一時的。 (出所:Marketwatch) ストラテガス・リサーチ・パートナーズのエコノミスト、ドン・ロスミラー氏とエリカ・ハリー・コンプ氏はシリア攻撃後の次の一手こそ「単独で北朝鮮の脅威を制する」動きとなる可能性をにらむ。仮にそうなれば「政策優先課題が入れ替えられ」、税制改革その他ではなく防衛問題が最優先されるだろう。 思い起こせば、ライアン米下院議長は5日に税制改革をめぐり医療保険制度改革(オバマケア)撤廃・代替案への移行より時間がかかる可能性について言及していた。米上院も独自の動きをみせており、ホワイトハウスと合わせそれぞれが同じ方向に進んでいるようには見えない。さらに4月28日に暫定予算案が期限切れを迎え、最悪の場合には政府機関が閉鎖されてしまう。4月10日から2週間にわたってイースター休暇を迎えるため、政府機関の閉鎖を回避するための協議時間は24日から1週間程度しかない。 しかしバリエール氏は、シリア攻撃がトランプ政権の転換点でこれまでの失敗を水に流すものと判断し「米国は侮れない権威(=force)として再浮上する」と予想。同時に超党派の支持を漸く得られた今、問題はトランプ政権が今回の転換点を有効利用できるかだという。ただし、地政学的リスクへの対応が優先されれば税制改革やインフラ投資などがないがしろにされかねない。2018年の中間選挙にも影を落とすだろう。 ブックバール氏によると、最終的に市場が注目するのは金融政策と財政政策だ。米3月雇用統計は、年内あと2回を予想する米連邦公開市場委員会(FOMC)は政策の道筋を変更するものではない。時期となれば、話は別だ。市場では6月と12月の見方が大勢を占めるが、非農業部門就労者数(NFP)の減速や25〜54歳の男性就業者数の減少など弱い材料を反映したのだろう。2月は過去2番目に高い気温だった一方、3月は積雪に見舞われるなど天候の変化が影響を与えたとも考えられる。失業率が4.5%と2007年5月以来の水準へ改善したものの、平均時給の伸びを踏まえれば好結果とも言いづらい。 3月FOMC議事録では、4兆ドルを超えるバランスシートの年内縮小を目指す意思を確認した。”受動的かつ予想可能な”方法と表現されたように、突然再投資を止め市場に衝撃を与えるような手段を講じない見通しだ。利上げと同時に行うリスクも意識しており、NY連銀のダドリー総裁は利上げと再投資の停止を同時に行わない可能性に言及している。 膨大なバランスシートは米議会を中心に批判を浴びてきたため、Fedとして縮小するのはやぶさかではない。しかし、米国債や政府機関債、住宅ローン担保証券の再投資停止はドルの流動性を高めることになる。JPモルガンのマイケル・フェローリ主席エコノミストいわくバランスシートの右側、つまり負債に相当するドルについては「プーチン露大統領や北朝鮮の金正恩といった世界の政治的指導者次第だろう」。結局、マーケットは地政学的リスクを無視できないというわけだ。 ——トランプ米大統領のシリア攻撃は、非常に手際良く抜群のタイミングを見計らったものでした。海外への関与に否定的なスティーブ・バノン首席戦略官を米国家安全保障会議(NSC)の閣僚級委員会常任メンバーから外した後というのも、ポイントです。また支持率が低下中だった事情もあり、幼い子供や赤ちゃんが犠牲になった映像を見て民主党の支持を獲得すると判断し結束を図るチャンスと判断したのでしょう。税制改革やインフラ投資の遅れの隠れ蓑にもなり、シリア攻撃はトランプ政権にとって失地回復の好機と移ったに違いありません。シリア攻撃をきっかけに政府機関の閉鎖を回避できるか、トランプ米大統領にとっての正念場は続きます。 (カバー写真:Defense Department)

トランプ政権、シリア攻撃決断の裏で就任100日を意識?

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Trump Made A Decision To Strike Syria 2 Weeks Before His First 100 Days. トランプ米大統領のシリア攻撃は、フォーリン・ポリシー誌が”人道的介入(humanitarian intervention)”と評価したように共和党だけでなく民主党からも支持を集めました。 バロンズ誌が指摘する通り内政で得点稼ぎができない以上、外交に訴えた可能性が高い。医療保険制度改革(オバマケア)撤廃・代替案移行に失敗し、頼みの綱である税制改革やインフラ投資にも相当な時間を要する可能性が浮上していました。さらにロシア・ゲートまで抱え、トランプ政権はある意味で八方塞がりにあったわけです。 しかし、就任100日となる4月20日まであと数週間に迫ります。 支持率は右肩下がりにありました。4月4日には、39.8%と史上最速で40%の壁を割り込む米大統領になってしまいます。 (出所:RealClearPolitics) これでは、トランプ政権として起死回生の策に打って出ないわけにはいきませんよね?哀れ、その犠牲となったのがシリア攻撃反対派のバノン首席戦略官で、作戦前日の5日に米国家安全保障会議の閣僚級委員会常任メンバーから外されてしまいました。そもそも同氏の”経済的国家主義者”的な主張は、娘婿で中国をはじめ海外とのビジネスを展開してきたクシュナー上級顧問とは相容れないものだった。しかもトランプ米大統領は経済政策で国家経済会議のコーン議長に全幅の信頼を寄せるようになっていました。クシュナー氏とコーン氏はもともと民主党寄りですから、NY派閥が結束して国家主義者寄りの政権メンバーを駆逐しにかかってもおかしくありません。 ただしトランプ米大統領は5日、クシュナー氏とバノン氏に対し「何とかしろ(work it out)」と喝を入れたといいます。NY派閥VS国家主義者の面々の対立が結末を迎えるまで、もう少し時間が掛かりそうです。 米中首脳会談の予定も、シリア攻撃にとって好機でした。トランプ氏は米大統領選挙中に就任初日に中国を「為替操作国認定する」と豪語したものの、貿易に関する米大統領令に署名する程度で直接行動を避けています。米中首脳会談でも現実的に中国から大幅な譲歩を引き出せるはずもなく、手ぶらで終わっては中国に厳格な態度を示してきた沽券に関わりますよね。その点、シリア攻撃は北朝鮮問題だけでなく南シナ海問題においても中国を牽制でき、有用と判断されたことは想像に難くない。 つまりシリア攻撃は民主党の支持獲得や中国牽制だけでなく、ロシア・ゲート問題から目を逸らすことができ、かつ支持率回復につながる期待もあって、トランプ政権にとって一粒で何度もおいしい策でした。就任100日を前にトランプ政権が難局を乗り越えられるのか、乞うご期待です。 (カバー写真:NASA HQ PHOTO/Flickr)

家計債務に忍び寄るリスクは、学生・自動車ローンのみに非ず

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Student And Auto Loans Are 2 Big Problems, And There’s One More. 米国では2016年末に家計債務が12.58兆ドルへ拡大し、過去最高を記録した2008年7~9月の0.8%に接近したとこちらでお伝えしました。 牽引役は学生ローンや自動車ローンとご説明していましたが、シェアは以下の通りです。 サブプライム・ローンの焦げ付きが問題視された2008年と比較し、2016年は住宅ローンが1兆ドルも減少していました。逆に学生ローンと自動車ローンが大幅に拡大し、合計で約7,000億ドル増加しています。家計債務の項目ごとのシェアをみても住宅ローンの比率が低下した一方、学生ローンと自動車ローンの上昇は目覚ましいですよね。学生ローンが占める割合は2003年の3.1%から、あれよあれよという間に10.4%まで拡大しました。 (作成:My Big Apple NY) 学生ローンや自動車ローンを問題視し、債務の時限爆弾が爆発すると警鐘を鳴らすのもむべなるかな。しかし、もう一つ忘れてならないのが年齢別の債務シェアです。 (作成:My Big Apple NY) 60歳以上の債務は2003年の12.6%から、2016年に22.5%へ拡大していました。労働参加率をみると、債務を抱える事情を一部反映したのか働く意思を持つシニアが増えていることが分かります。55歳以上の労働参加率は3月に40.1%と2011年9~10月につけた1961年以来で最高の40.6%の水準近くを保ち、65歳以上も同じく1962年以来の19.5%と高止まりする状況。もちろん健康で労働意欲に富むシニアも増えているのでしょうが、仮に景気が急減速した場合は学生ローンや自動車ローンに加え、シニア層の債務不履行が問題視されかねません。 (カバー写真:morganschneider/Flickr)

全米初!NYが居住者を対象に公立大学の授業料を免除へ

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NY Becomes First State To Offer Free Tuition To Public Colleges In The U.S. 2016年の米大統領選挙で善戦したバーニー・サンダース上院議員の魂が、出身地であるニューヨーク州で引き継がれました。 全米で初めて、公立大学の授業料免除を決定したのです。NY州のクオモ知事(民主党)が公立大学の無料化を提案してから3ヵ月後、議会が予算案を可決し晴れて”エクセルシオール・スカラーシップ(Excelsior Scholarship)”が設立され、今年の秋に始まる新学期からアメリカ人や永住権保持者、難民などの居住者を対象に4年制大学の授業料を負担します。ちなみにエクセルシオールとは、NY州の標語で「さらなる向上」という意味です。 具体的にはNY州立大学(SUNY)で6,470ドル×4年=25,880ドル、NY市立大学(CUNY)で4,350ドル×4年=17,400ドルが免除される運びとなり、学生ローンの負担がグッと軽くなること間違いなし。と言いますのも、授業料以外はの諸経費は自己負担ですから、全てが無料化されるわけではないのですよ。例えばマンハッタンから北へ車で3時間の距離に位置するSUNYオールバニ校なら、学生寮の費用や教科書代などで学生寮の費用で12,590ドル、入学費や受講料その他経費で1,590ドル、教科書その他に1,000ドル掛かるんですって。CUNYならNY市内なので好きな場所に住めますが家賃だけで年間10,386ドル、食費で3,283ドルとなる見通しです。 オードリー・ヘップバーンのこのセリフを思い出す? (出所:Attn) ただし、エクセルシオール・スカラーシップを受けるには条件を満たさなければなりません。まず家族の年間世帯収入が挙げられ、2017年は10万ドル以下が対象となります。ただし2018年には11万ドルへ、2019年は12.5万ドルへ引き上げていく方針です。 またクエクセルシオール・スカラーシップで授業料が免除された年の分だけ、NY州に居住しなければいけません。無事卒業した学生であれば、NY州での就職がマストというわけです。 履修単位も決められており、年間で30単位を取得しなければ奨学金を受け取る視覚を失う羽目になります。 不法移民はもちろん対象外ですが、居住者年齢制限はありません。事前に低所得者層の学生を対象としたPell Grantと呼ばれる連邦政府の奨学金制度、あるいはNY授業料補助金制度といった返済義務のない奨学金制度が認められた学生は、まずそこから授業料を捻出。残りは、エクセルシオール・スカラーシップが負担します。 クォモ州知事が「NY州では750万もの雇用を抱えるが、そのうち7割は大卒の教育が必要だ」と発言した通り、大卒でなければ就職しづらい環境になってきました。大卒の割合がニーズに合わせて高まる一方、授業料は高騰を続け、学生ローンの負担が問題視されているのはご周知の通りです。 2o10年のNY州知事選では、クリントン元大統領がクオモ氏を応援。 (出所:Andy /Flickr) なぜ今、クオモ州知事が決断したのか?ヒラリー・クリントン陣営に近い金融市場関係者いわく「クオモ州知事は2020年を見据えている」ためだといいます。民主党は足元、全国委員会委員長を選出するにも左寄りリベラルのサンダース議員支持派と中立寄りのクリントン元支持派が対立するなど足並みがそろわず、挙党体制に程遠い。指導者不足のなか、クオモ州知事が虎視眈々と空席を埋めるべくまずはプログレッシブに歩み寄ったというわけです。 仮にクォモ州知事が2020年に出馬すれば、トランプ候補VSクリントン候補に続き2回連続でNY対決となります。果たして、自由の女神は自分の庭での戦いを再び許容するのでしょうか? (カバー写真:marc thiele/Flickr)

米2月雇用動態調査、求人数は増加も採用数と離職数は鈍化

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Job Openings Rise, But Hires, And Quits Decline In February. 米2月雇用動態調査、米3月労働市場情勢指数(LMCI)をおさらいしていきます。 米労働省が発表した米2月雇用動態調査(JOLTS)で求人数は前月比2.1%増の574.3万人と、市場予想の565.0万人を上回った。雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)が1~2月に20万人台を超える力強さを示した通り2ヵ月連続で増加し、2000年の統計開始以来で最高だった2016年7月以来の高水準(597.3万人)に接近した。 新規採用人数は前月比2.0%減の531.4万人と、5ヵ月連続ぶりに減少した。2015年12月の550.4万人でピークアウトした可能性を残す。 離職者数は前月比3.4%減の507.1万人と5ヵ月ぶりに減少し、2006年11月以来のレベルに達した前月の524.7万人を下回った。定年や自己都合による自発的離職者数は3.2%減の308.4万人と8ヵ月ぶりに減少し、2001年2月以来の高い伸びを示した前月の318.6万人に届かず。解雇者数は4.5%減の158.4万人と、前月から減少に転じた。 求人数のみ増加、採用数や離職者数は直近久々に減少。 (作成:My Big Apple NY) 求人率は3.8%で、前月まで4ヵ月連続で続いた3.7%から上昇し2016年9月の水準に並んだ。過去最高の3.9%に接近している。民間が4.1%と5ヵ月続けての4.0%から転じ統計開始以来の最高だった2016年7月の4.2%が視野に入った。政府は前月と同じく2.2%だった。 採用率は3.6%と、前月の3.7%から低下した。今回は民間が4.0%と前月の4.1%から低下。過去最高の4.4%からやや遠ざかった。政府も1.5%と、前月の1.6%から低下した。 自発的および引退、解雇などを含めた離職率は3.5%と、前月の3.6%から低下し過去最高の3.8%が遠のいた。民間が3.8%と2016年2月以来の高水準だった前月の4.0%から低下。政府は3ヵ月連続で1.5%だった。自発的離職率は2.1%と前月の2.2%を下回り、2015年12月以来の水準及び過去最高の2.4%以下を保つ。解雇率は5ヵ月連続で1.1%と、過去最低を維持した。 離職者数は、自発的離職者数が押し下げ。 (作成:My Big Apple NY) ――以上の結果を踏まえ、イエレン・ダッシュボードをおさらいしてみましょう。達成項目は9項目中、1月に続き5項目でした。 なお2016年2月は6項目を達成し、最多でした。以下は詳細で、()内の最悪時点とは、金融危機以降での最も弱い数字です。 1)求人率—○ 2009年7月(最悪時点) 1.6% 2004-07年平均 3.0% 現時点 3.8% 2)解雇率—○ 2009年4月(最悪時点)2.0% 2004-07年平均 1.4% 現時点 1.1% 3)自発的離職率 ○ 2010年2月(最悪時点) 1.3% 2004-07年平均 2.1% 現時点 2.1% 4)採用率—× 2009年6月(最悪時点) 2.8% 2004-07年平均 3.8% 現時時点 3.6% 5)非農業部門就労者数—○ 2009年3月までの3ヵ月平均(最悪時点) 82.6万人減 2004-07年の3ヵ月平均 16.2万人増 現時点の3ヵ月平均 17.8万人増 6)失業率—○ 2009年10月(最悪時点) 10% 2004-07年平均 5.0% 現時点 4.5% 7)不完全失業率—× [&hellip

米3月NFIB中小企業楽観度、低下続き不透明指数は過去2番目の高水準

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NFIB Small Business Optimism Declines For 3 Months. 米3月NFIB中小企業楽観度指数は104.7となり、市場予想と一致した。前月の105.3と合わせ、2004年12月以来の高水準だった1月の105.8から少しずつ鈍化している。なお同指数は、米連邦準備制度理事会(FRB)が公表する労働市場情勢指数(LMCI)に含まれる。 発表元である全米独立企業盟(NFIB)のウィリアム・ダンケルベルグ主席エコノミストは、結果に対し引き続き高水準にあるとのコメントを寄せた。ただし「不透明指数が93と、統計開始以来で2番目の水準へ上昇した」と指摘。中小企業のオーナーは「政治を中心に、見通しを予想する上で困難に直面している」とまとめた。 楽観度指数と経済見通し、そろって2004年と2006年以来の高水準から鈍化。 (作成:My Big Apple NY) 内訳をみると、13項目中プラス圏にのせた項目は2016年11~17年2月に続き10項目だった。今回は「経済がより良くなる」が2002年3月以来の高水準を達成した2016年12月から3ヵ月続けて低下した。そのほか「設備投資を拡大」、「求人数」、「売上の拡大を予想」などが軒並み前月を下回り、特に「売上の拡大」は顕著だ。一方で「設備投資を拡大した」、「賃金」、「賃金見通し」などが上昇、「黒字トレンドにある」が下げ幅を縮小した。以下は、項目ごとの変化。 「経済がより良くなる」46%<前月は47%、6ヵ月平均は33% 「求人件数」30%<前月は32%、6ヵ月平均は30% 「設備投資を拡大した」29%>前月は26%、6ヵ月平均は27% 「賃金」28%>前月は26%、6ヵ月平均は26% 「事業拡大に良いタイミング」22%=前月は22%、6ヵ月平均は19% 「売上の拡大を予想」18%<前月は26%、6ヵ月平均は19% 「賃上げ見通し」18%>前月は17%、6ヵ月平均は18% 「採用見通し」16%>前月は15%、6ヵ月平均は15% 「販売価格の上昇」5%<前月は6%、6ヵ月平均は5% 「在庫を増加させる」2%<前月は3%、6ヵ月平均は3% 「信用状況が緩和する」−3%=前月は−3%、6ヵ月平均は−4% 「在庫満足度」−5%しょうなり前月は−2%、6ヵ月平均は−4% 「黒字トレンドにある」−9%<前月は−13%、6ヵ月平均は−15% ISMの製造業、非製造業とともにNFIBは頭打ちを示す可能性。 (作成:My Big Apple NY) ――米3月NFIB中小企業楽観度指数はトランプ政権誕生を祝うかのように2016年11月の米大統領選挙後に急伸した後、頭打ち感が現れています。インフラ投資、税制改革、規制緩和といったトランプノミクスへの目途が立たず、鈍化したのでしょう。シリア攻撃や朝鮮半島への空母を派遣するなど、直近でさらに地政学的リスクへの影響も気掛かり。仮に北朝鮮に攻撃した場合、短期的に収束しなければ韓国の半導体や液晶パネルのサプライチェーンはもちろん、日本を含め裁量消費を圧迫しかねません。日本としては、北朝鮮のミサイルが本土に着弾する恐れがゼロとも言い切れず。米国の中小企業の楽観度も緊張状態を受けた海外需要低下を見越して、4月に改善する可能性は低いでしょう。個人的には想定外の事態に直面した場合、復興需要で上振れする恐れを禁じ得ませんが・・。 (カバー写真:Alper Çuğun/Flickr)

米国と北朝鮮、緊迫化の影でトランプ米大統領が抱える現実

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Will Trump Face His Reality Before Taking Actions Against North Korea? 円高が進み、11日に円キャリーの巻き戻しを誘ったとみられ2016年11月以来となる110円割れを示しました。VIX指数は15.07で引け、米大統領選挙当日の2016年11月8日以来の水準へ急伸。金先物も上昇を続け1274.2ドルと約5ヵ月ぶりの高値で取引を終えるなど、リスク回避モードの様相を呈しています。 その上、11日にはトランプ米大統領がこんなツイートを放ちました。 (出所:Twitter) 「中国が北朝鮮問題を解決すれば貿易でより良い取引が可能であるものの、中国の支援を得られないなら単独で解決する」――。米海軍空母“カール・ヴィンソン”はじめ巡洋艦を含めた空母打撃群を朝鮮半島へ派遣したニュースも重なり、リスク回避相場を促すに十分でした。現地時間の夕方に放映されたフォックス・ニュースのインタビューでシリアに地上軍を展開しないと発言、朝鮮半島には潜水艦を含め“無敵艦隊”を送ったとのコメントもあって北朝鮮への戦力集中を連想させ東京時間でもリスク低下を促したものです。 対して北朝鮮は核兵器を利用する意思をちらつかせる一方、海外メディアを15日に予定する故・金日成生誕105周年記念イベントに招待するなど目まぐるしい。中国はといえば、国営の中国中央電視台が現地時間の12日朝に習近平主席とトランプ米大統領が電話会談し、習主席が「平和的な解決を望む」と伝えたと報じています。ただし中国側も、指を加えて見ているだけではありません。米国の“無敵艦隊”が15日頃に朝鮮半島へ到着する前に、中国軍が北朝鮮との国境地域に2個集団軍15万人を集結させたと報じられ、緊迫感を煽ります。 北朝鮮で15日に生誕105周年記念、25日朝鮮人民軍の創設85周年を控えていることはご周知の通り。米国では、20日にトランプ米大統領就任100日を迎えます。両者は一歩も引けないところ、特にトランプ陣営は勝算のない攻撃では一段の支持率悪化と政策実行力の低下を余儀なくされ代償も大きい。トランプ政権としては圧倒的な軍事力を誇示し、北朝鮮とのチキンレースをものにしなければなりません(北朝鮮軍との違いはこちらをご参照)。 カール・ヴィンソンといえば、映画“トップ・ガン”にも登場。 (出所:Official U.S. Navy Page : Flickr) チキンレースで決着がつかない場合は、米国による空爆が視野に入ります。ただ軍事拠点の空爆は北朝鮮による反撃の危険性を拭えず、選択肢としては有効と言えません。有力な作戦は2003年当時のイラク攻撃で、政権中枢部の施設を通じた金正恩・委員長の狙い撃ちです。しかし北朝鮮のレジーム・チェンジでイラクのような長期戦を強いられるシナリオあるいは中露との対立も想定され、トランプ支持者が賛辞を贈っても一時的な可能性を残します。 地政学的リスクと合わせ、市場のリスク選好度の低下はインフラ投資や税制改革、規制緩和の遅れが影響しています。バロンズ誌が報じたように外交・防衛を優先すれば経済政策は後ろ倒しとならざるを得ない(地政学的リスクへの注力は、トランプノミクスの遅れを見越した作戦とも考えられます)。前述のフォックスによるインタビューでは、トランプ米大統領自ら下院共和党やムニューシン米財務長官が掲げた税制改革の成立時期である8月から大幅にずれ込む可能性を表明していましたよね。引き続き医療保険制度改革(オバマケア)撤廃・代替案の移行を優先事項と掲げるため、税制改革は年末までにまとまれば御の字といったところ。しかし、その間に利上げの影響もあり個人消費や企業支出に鈍化リスクが横たわります。地政学的リスクでツチをつければ、さらに景気を減速させる公算大です。。 トランプ米大統領が抱えるもう一つのリスクには、光が見えてきました。28日に期限切れを迎える暫定予算が保守強硬派のフリーダム・コーカスが軟化姿勢へ傾き政府機関の閉鎖を回避する望みをつなぎます。 米中央情報局(CIA)長官にカンザス州選出のマイク・ポンペオ下院議員が就任したため11日に実施した下院特別選挙では、幸い州財務官で共和党候補のロン・エステス氏が勝利し、トランプ米大統領に明るいニュースを届けました。 ただトランプ政権発足以来で初の選挙は、コーク・インダストリーズの本社を有し共和党下院議員が20年近くも議席を確保していたため楽勝かと思いきや、土壇場で対立候補の巻き返しを受け共和党陣営をやきもきさせていたのです。陸軍経験者で人権問題担当の弁護士であり、バーニー・サンダース上院議員を支持する団体“Our Revolution”の後ろ盾を得たジム・トンプソン氏の思わぬ善戦は、想定外だったでしょう。しかしトランプ米大統領が応援ツイートを放ち、ライアン下院議長をはじめ共和党が土壇場で資金援助に動いたため、辛くも勝利をもぎ取っています。 どんな戦いでも勝てば官軍、同じことは北朝鮮問題でも言えますが、果たしてトランプ政権はどのような戦略を行使してくるのでしょうか? (カバー写真:(stephan)/Flickr)

米3月輸入物価指数、エネルギーと食品が弱く前月比で低下

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Energy And Foods Push Import Price Index Down In March. 米3月輸入物価指数、MBA住宅ローン申請件数指数、米3月財政収支をおさらいしていきます。 米3月輸入物価指数は前月比0.2%低下し、市場予想に並んだ。前月の0.4%の上昇(0.2%から上方修正)から反転し、過去5ヵ月間で2回目のマイナスを示す。原油先物がしばらく50ドル割れで推移したため、エネルギーが3.6%低下し全体を押し下げた。食品・飲料も0.7%低下している。燃料と食品を除く輸入物価指数は0.3%上昇し、3ヵ月連続でプラスを示した。項目別では産業財のほか消費財が低下したが、資本財が支えた。以下は項目別動向。 ・エネルギー 3.6%の低下、4ヵ月ぶりのマイナス<前月は1.3%の上昇 ・食品/飲料 0.7%の低下、過去4ヵ月間で3回目のマイナス<前月は1.0%の上昇 ・資本財 0.1%の上昇、2ヵ月連続で上昇<前月は0.2%の上昇 ・自動車 ±0%、過去5ヵ月間で3回目の横ばいでうち2回はマイナス=前月は±0% ・消費財 0.2%の低下、3ヵ月ぶりのマイナス=前月は0.3%の上昇 ・産業財 0.6%の低下、5ヵ月ぶりのマイナス<前月は1.1%の上昇 輸入物価は前年比で4.2%上昇し、市場予想の4.0%を下回った。前月の4.8%の上昇(4.6%から上方修正)を含め5ヵ月連続でプラスに。前月は原油価格が100ドル前後で推移していた2012年2月以来で最大となった。 ▽MBA住宅ローン申請件数指数、金利低下を支え4週ぶりに上昇 全米抵当貸付銀行協会(MBA)住宅ローン申請件数指数は、4月7日週に前週比1.5%上昇し402.9となった。4週ぶりに上昇し、過去5週間で2回目のプラスを示す。新規が2.6%上昇の386.9と3週続伸し、全体に寄与。借換は±0%の1272.3となり、低下の流れを3週で止めている。住宅ローン申請件数指数は前年比では20.7%の低下を示し、4週連続で含めマイナス基調を維持している。 30年固定金利型の住宅ローン金利(平均)は前週の4.28%と前週の4.34%から低下し3週直近で最低を更新した。もっとも、前年同期の3.82%を上回ったままだ。15年固定金利型(平均)は3.57%と、前週の3.68%から低下。FHAのローン金利は4.24%と、こちらも前週の4.33%を上回った。 MBA住宅ローン申請件数指数、4週平均では低水準を維持。 (作成:My Big Apple NY) 申請全体に占める借換の割合(件数ベース)は41.6%と、前週の42.6%から低下した。2009年6月以来の低水準である2015年7月3日週の48.0%から切り返した水準を維持。ただし2013年5月以来の高水準となった2015年1月16日週の73.9%からは、大きく遠ざかったままだ。 ▽米3月財政赤字、カレンダー要因で大幅増加も年度初来でも拡大 米3月財政収支は1,762.32億ドルの赤字となり、市場予想の1,690億ドル字より拡大した。前年同月の1080.43億ドルの赤字からは、月末が金曜日とカレンダー要因を背景に63.1%増加。歳入が4.9%減の2,165.84 億ドルだった一方、歳出は16.9%増の3,928.16億ドルとなり赤字拡大につながった。 2017年度(2016年10月~2017年9月)の年度初来の財政赤字は、前年同期比14.7%増の5,268.55億ドルだった。ただし、米議会予算局(CBO)の予想値である2070億ドルの赤字を超えた。CBOが2106年8月に発表した2017年度の財政赤字予想は、5940億ドルとなる。 2016年度の財政赤字は9%減の5,268.55億ドルと、2013年以来で最大を記録した。前年比ででは、2009年度以来の増加を示す。過去12ヵ月間のGDP比では3.6%と過去40年平均の3.1%を上回り、2015年度のGDP比2.6%からも上昇した。2016年度は2015年12月に企業向け優遇税制法案が通過したほか、2015年11月に合意した2017年度までの予算案で強制削減を上回る支出を承認。裁量支出も2016年度に500億ドル、2017年度に300億ドル増額することを盛り込んだため、赤字が拡大した。 (カバー写真Rico S/Flickr)

トランプ政権、北朝鮮問題の秘密兵器はクシュナー氏?

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Trump’s Secret Weapon Against North Korea Could Be Jared Kushner. 金日成生誕記念105周年まで、あと2日に迫りました。 米海軍空母“カール・ヴィンソン”率いる空母打撃群が朝鮮半島に刻々と近づくとともに、トランプ政権の対応をめぐり様々な観測が流れています。 日本にとって一番重要な問題は、米国が北朝鮮を空爆するか否か。筆者は、以下の点で北朝鮮への攻撃はリスクが大きいと考えています。 1)就任100日を前に報復行為が予想される空爆は、さらなる支持率の悪化を招きうる (仮に北朝鮮体制を倒したとしても、新体制樹立はイラクのように長期化する恐れあり、”米国第一”と乖離) 支持率、直近は42.1%まで改善も低空飛行は続く。 (作成:My Big Apple NY) 2)カンザス州特別下院選挙で証明された通り、トランプ政権の求心力は低下中 (共和党の巨額資金提供者、コーク兄弟のお膝元でリベラル派が猛追) 3)北朝鮮で有事が発生すれば日中韓を通じ、米国経済にも打撃 (米国との貿易額1位は中国で2月時点に全体の15.9%、4位は日本で5.2%)、6位は韓国で3%) 4)日中韓の3ヵ国の企業は米国での設備投資並びに雇用創出を計画中 (少なくとも設備投資額は700億ドル、雇用はアリババが中小企業を通じ100万人、ソフトバンクが5万人など) 予算教書からも”力による平和”を目指す姿勢が色濃くにじみ出ているとはいえ、中国と通商問題を抱えるため平和的解決を望む同国をないがしろにするとも考えづらい。既にトランプ米大統領は「北朝鮮問題に支援すれば貿易条件で一段と有利になる」、「中国を為替操作国に認定しない」と発言済みで、両国間で外交ルートを活用した解決に向けた努力が進展していたとしてもおかしくありません。 外交ルートを駆使するならば、クシュナー上級顧問による平壌・電撃訪問という奇策が飛び出す可能性に注目です。 マティス国防長官やキッシンジャー元国務長官との良好な関係を築くクシュナー氏は1月10日生まれの36歳と、金正恩氏と3歳しか変わらず誕生日も2日しか違いません。最愛の娘イバンカ氏の婿という続柄も、家族関係を重んじる北朝鮮側にとって申し分ないでしょう。外交実績としては、最近ではイラクを訪問し大きな話題を呼びました。 何よりクシュナー氏は、自身が最高経営責任者(CEO)だった不動産投資会社を通じ安邦保険集団をはじめ中国とのパイプもございます。長女アラベラちゃんに中国語を習得する機会を与え、米中首脳会談での晩餐会で民謡”茉莉花”や唐詩”三字経”を披露させる辣腕ぶりも、見逃せません。そのクシュナー氏が大陸間弾道ミサイル(ICBM)や核開発問題で功績を上げれば、将来の大統領候補として箔もつきますよね。 過去には、ニクソン元大統領が中国を電撃訪問した例もあります。時の大統領補佐官で訪中の立役者こそキッシンジャー氏であれば俄然、信憑性が増すというものです。 これまで過激な発言や行動で世界を驚かせてきたトランプ氏なだけに、クシュナー氏の電撃訪朝という離れ業を披露しないも限りません。Never Say Neverですよ。 (カバー写真:Chairman of the Joint Chiefs of Staff/Flickr)

米3月生産者物価、原油価格を反映し7ヵ月ぶりに前月比で低下

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Producer Price Index Posts First Drop In 7 Month In March. 米3月生産者物価指数(PPI)は前月比0.1%低下し、市場予想の±0%より弱い結果となった。前月の0.3%の上昇から転じ、2016年8月以来と7ヵ月ぶりのマイナスに。原油価格が3月に50ドル台割り込み米大統領選直後の2016年11月以来の水準まで鈍化した結果、エネルギーが押し下げている。PPIコアは前月比±0%で、こちらも市場予想の0.2%に届かず。前月の0.3%も下回り、2ヵ月ぶりに横ばいへ戻した。 PPIは前年同月比で2.3%上昇し、市場予想の2.4%を下回った。ただ前月の2.2%を超え7ヵ月連続でプラスをたどっただけでなく、2012年3月以来の水準へ上振れしている。コアPPIは市場予想の1.8%に届かず1.6%だったが、3ヵ月ぶりに2015年1月以来のレベルへ戻した。 PPI、原油価格の回復につれ前年比では上昇継続。 (作成:My Big Apple NY) ――米3月PPIはエネルギーが重石となり、鈍化しました。米3月輸入物価指数と合わせ、インフレ圧力の後退を示します。足元の米株安は地政学的リスクで説明される傾向が高いものの、トランプ米大統領が税制改革の成立の目標を8月から明確へ後ろ倒ししたことも一因でしょう。5年先5年物フォワード・レートも、2.1%台と2ヵ月ぶりの水準へ鈍化中。NY連銀のインフレ調査でも1年先は1月の2.98%から3月は2.74%へ伸びを狭めました。原油価格自体、2014年6月の高値から2016年2月の下落分、3分の1戻しにあたる53ドル付近で伸び悩む状況で、トランプ政権の経済政策が動き出さない限り物価上昇の余地は限られそうです。 ▽米新規失業保険申請件数、1973年以来の低水準近くを維持 米新規失業保険申請件数は4月8日週に23.4万件と、市場予想と一致した。前週の23.5万件(23.4万件から下方修正)を含め、2月24日週に続き1973年以来の低水準を保つ。米労働省によると、特殊要因を確認していない。4週平均は24万7,250件と、前週の25万250件(修正値)から減少した。 季節調整前の州別動向では、カリフォルニア州が1万人近い増加を示したほかNY州、テキサス州など、前週に反し人口が多く都市部を抱える州での増加が目立つ。一方で、推計値となったルイジアナ州やカンザス州などで小幅に減少した。製造業の州は増加が優勢だったものの、ペンシルベニア州を除き概して小幅にとどまった。 4月1日週までの継続受給者数は202.8万人と、前週の203.5万人(修正値)から減少。ただ2000年以来の200万人割れを示した前週の198.7万を上回る。被保険者に占める失業者の割合は1.5%と、年初来初めて過去最低に並んだ3週前の1.4%を上回った水準を保つ。 米新規失業保険申請件数は減少も、4週平均は年初来で最大。 (作成:My Big Apple NY) ――米新規失業保険申請件数は低水準を維持する半面、米3月雇用統計・非農業部門就労者数は10万人を割り込むなど、直近では整合性に欠けています。医療保険制度改革(オバマケア)導入を受け、50人以上の正社員を有する企業が医療保険を提供しなければ罰金を科す仕組みになっていますよね。正社員の採用とともに、失業保険対象の従業員の伸びを抑えた可能性は否定できません。オバマケア代替案が成立すれば、新規失業保険申請者数の数字にも変化が及ぶ余地を残します。 (カバー写真:SMelindo/Flickr)

米4月ミシガン大信頼感・速報値、2004年以来の高水準に接近

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Consumer Sentiment Improves In April. 米4月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値は98.0と、市場予想の96.5並びに前月の96.9を上回った。2000年10月以来の水準を達成した1月の98.5に次ぐレベルとなる。内訳をみると、現況指数が115.2と、市場予想の112.5並びに113.2を超え、2000年5月以来の水準へ上昇。見通し指数は86.9と、市場予想及び前月の86.5を上回った。ただ2004年1月以来の高水準を遂げた1月の90.3を下回る水準を維持している。 原油先物が50ドル割れから大台を回復するなか、1年先インフレ見通しは前月通り2.5%だった。5~10年先インフレ見通しも2.4%と、2016年12月につけた過去最低の2.3%に接近した。 ミシガン大学の主席エコノミスト、リチャード・カーティン氏は今回の結果を受け「見通し指数は民主党支持層で7%ポイント上昇した一方で、共和党支持者は7%低下した」と指摘。引き続き「両者のかい離は50.5と著しい」ものの、縮小の兆しを見せた。とはいえ、両者のかい離幅はあまりにも大きく、センチメントから経済見通しを導くことは困難との見方を示した。なお個人消費見通しは前回2017年につき2.7%増と予想したものの、今回は触れていない。 ミシガン大学消費者信頼感、現況指数が引き続き牽引。 (作成:My Big Apple NY) ・1年先の家計見通し指数 131、4ヵ月ぶりの高水準>前月は128 向上する 41、3ヵ月ぶりの高水準>前月は39 変わらず 48>前月は46 悪化する 10、4ヵ月ぶりの低水準<前月は11 ・所得と物価の伸び率に対する1−2年先の家計指数は83、直近で最低<前月は90 所得の伸びが物価を上回る 21、3ヵ月ぶりの低水準>前月は23 所得の伸び率と物価が同じ 39<前月は43、直近で最高 所得の伸びが物価を下回る 38>前月は33 ・所得が1年先に拡大するとの回答 今回 48.5%、6ヵ月ぶりの低水準<前月は49.2% ・1年先のビジネス見通し指数 122、3ヵ月ぶりの高水準>前月は113 向上する 42、3ヵ月ぶりの高水準>前月は41 変わらず 36、5ヵ月ぶりの高水準>前月は30 悪化する 20、直近で最低<前月は28 ・米国は向こう1年先も良好な状況を継続する 111、5ヵ月ぶりの低水準<前月は116 良好 49<前月は53 不透明 4=前月は4 困難 38>前月は37 ・1年先の失業率見通し指数 110<前月は111(低下を見込む場合に上昇) 低下する 35<前月は36 変わらず 40>前月は37と直近で最低 上昇する 25=前月は25 ・1年先の金利見通し指数 27、直近で最低<前月は31(金利低下を見込む場合指数は上昇) 低下する 6=前月は6 変わらず 15、直近で最低<前月は18 上昇する 79、直近で最高>前月は75 ・1年先のガソリン価格 13.4>前月は11、直近で最低(値上がりを見込む場合に指数は上昇) 下落する 4、7ヵ月ぶり低水準<前月は7 変わらず 45<前月は49 上昇する 50>前月は44 ・自動車購入指数 152、直近で最高>前月は145 買い時 73、直近で最高>前月は71 分からない 6>前月は5 買い時ではない 21、直近で最低<前月は24 ・住宅購入指数 157>前月は150 買い時 73、直近で最高>前月は71 分からない 3、直近で最高>前月は2 買い時ではない 20<前月は24 ・主要機器 170、直近で最高>前月は162 買い時 82、直近で最高>前月は78 分からない 6=前月は6 買い時ではない 12、直近で最低<前月は16 [&hellip
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